お金が欲しい!④
悠真が裏で緊張していると、ちょうど演歌のお姉さんのステージが終わるところだった。
「ありがとう〜!」
観客から大きな拍手が湧き上がる。
そこへ、司会がステージ中央に立ち、マイクを握った。
「さぁ! 次のステージは、みんなお馴染み! 見守り猿のおじいさんが登場するぞー!!」
「うわー!!」
子どもたちが 一斉に歓声を上げる。
(……マジか、めっちゃ人気じゃん……)
悠真は、予想以上の盛り上がりに圧倒されていた。
「行くぞ!!」
サル爺は気合い十分でステージに飛び出し、
それに、3匹の猿たちも続く。
悠真は、舞台袖で待機していた。
——まだ、お主にはオープニングは早い。
そうレッドから指示されていたからだ。
「ワシたちはサル〜♪」
突如として、ステージに軽快な音楽が流れ出す。
サル爺はステップを踏みながら歌い出した。
「街を守るサル〜♪」
(なんだこれ……!!)
悠真は一瞬、現実を疑ったが、気づけば他のメンバーは完璧なフォーメーションダンスを決めていた。
会場は大盛り上がりだ。
華麗にタップを刻むレッド、流れるような動きのグリーン、パワフルなイエロー、そしてセクシーなピンク。
ふと、サル爺と目が合った。
——お主もこうなりたいか?
そう、目が語っていた。
…悠真は、軽くイラっとした。
そんなこんなで、無事にオープニングパフォーマンスは終了。
——そして、いよいよストーリーの始まりである。




