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2話 男の子視点での話 ①

【夏のホラー2024用に作った連載文章です】

【この物語はフィクションです】

【登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません】

【男の子視点での物語です】

 ここは、日本。○○県の、××市というところ。

 今は、202X年の7月。そしてここは、オレの通う小学校。



 あぁあ痛ってぇ・・・アイツ、ふざけんなよ。

 いきなり噛みついてくるなんて意味分かんねぇよ。しかも血が出るまで噛みつくって何だよ、お前モンスターか何かかよ。まぁ、そこまで傷は深くないだとかで、保健室で手当てしてもらって、包帯で右腕をグルグル巻きにされて。

 痛みとしては、すり傷や切り傷とかと同じ感覚。怪我した部分はアイツの口ほどの大きさだから、ここまで広めに包帯巻かなくても・・・とも思ったけど。

 これはこれで、アリかもしれねーな。お前のせいでこんな怪我をしたんだぞ、って証明になる。実際、母ちゃんがこれを見た時にはめちゃくちゃ驚いてた。そしてめちゃくちゃキレていた。母ちゃんからしてみれば、仕事中にいきなり学校から呼び出しが来て、息子のせいでこんなことに・・・って感じのはずなのに、

「もしこれで伝染うつったら、どうしてくれるのよ!これで息子が死んだら、どう責任を取るつもりなのよ!?言ってみなさいよ!」

 うん、まったくもってそうだよ。いやでもさすがに死んだりはしないと思うけど・・・まぁ、そういうウワサだからなぁ。

 本当だったら今は午後の授業を受けてる時間なんだけど、ちょいと騒ぎがデカくなっちまったので。お互いの保護者と、担任の先生と、あとついでに教頭先生を交えて。教室からは離れたとある部屋で、オレ達は話し合っている。

 向こう側は、オレに噛みついたクラスの女子と、その保護者2名。オレのほうは、母ちゃんと先生2人。ふふん、どうやら学校側はオレの味方をしてくれてるぜ。それともやっぱり、先生も伝染りたくないのかな?


 話し合うと言ったけど、オレは何も言わずに、ずっと黙っている。しいて言えば、顔を伏せて、噛まれた腕を押さえているだけ。こうしていれば、うぅう痛いよぉ・・・って感じに見えるだろうからな。いわゆる同情作戦ってやつだ。

 一方のアイツは、母ちゃんや先生に口答えしてる。うわぁ、子供なのにそんな生意気な態度取っていいのかよ。それだとますますお前の印象が悪くなるぞ?

 ただでさえお前は、あのウワサで教室内では完全アウェーなのに。まあでもいいか、このままいけば相手が悪いってことで、

「孫から話は聞きましたが。改めて、今回の出来事について。順を追って、お話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 おっと、相手は婆ちゃんに変わったか。まあでも・・・うっ。

「何様のつもりですか。お宅の子が、いきなり噛み付いてきたんでしょう?息子からは、そう聞いていますよ!?先生、違うんですか!?」

「え、ええ、噛み付いたのは、本当ですけど」

「だったら話なんて必要ないわ!謝りなさいよ!土下座しなさい!これは正当な要求よ!一方的に怪我させられて、しかも伝染るかもしれないのよ!?」

 母ちゃんはヒートアップしている。一方の婆ちゃんは意外とクールだな。だけど今のオレはそれどころじゃない。だって、相手のもう1人の保護者が、

「一方的、と言いますが。そちらの息子さんの落ち度については」

「いいかげんにしてよ!年寄りだからボケちゃってるの!?ウチの息子のどこに落ち度があるのか言ってみなさいよ!」

「・・・フン」

 アイツの爺ちゃんメチャクチャ怖えええええええっ!

 見た目は年相応のポロシャツ姿。だけど背負っているオーラが1人だけ明らかに違う。現実にそんなオーラだとか何だとかは無いとは分かっているけど、さっきからずっとオレを見てきやがる怖いですマジでやめてください。


「――ゴメンなさい。オレが、悪かった」

 なので、こうするしかない。

「その、母ちゃんには言ってなかったけど。オレが、その、意地悪をして。みんなで、コイツに近づいたら伝染るって言ったから、それで」

 爺ちゃんの圧力に負けた。だってマジで怖いんだもん・・・。

「私も、そのように聞いています。直接殴られたり、叩かれたりはしなかったけど。みんなで寄ってたかって、酷いことを言ってきたと」

 うん、婆ちゃんの言う通りなんだよ。母ちゃんに言ったら怒られそうだったから、言わないでおいたけど・・・ううぅ、これだと母ちゃんも、

「酷いこと?事実でしょうが!そういうウワサなのよ!?それともアンタ、テレビが嘘吐いてるとでも言うの!?みんな知ってるのよ、その話は!」

 と、思ってたけど。これならオレは怒られずに済みそうだな。

「だからアンタ達も同じよ!本当だったらこうして直接話したくも無かったわよ!こっちはアンタ達年寄りと違って忙し――ひっ!?」

 場が凍りつく。正しく言えば、オレ達サイドの全員が固まる。

「・・・話は、それだけか?」

 さっきまで一切喋らなかった爺ちゃんが、口を開いた。この爺ちゃん、タダ者じゃない。何なんだよこの殺気、この人マジで人間かよ!?

「さっきから聞いていれば、なんだ?」

 爺さんが立ち上がる。オレ達を睨んでいる。向こう側のアイツはドヤ顔をかましているけど、婆ちゃんはちょっとだけ慌てている。

「あ、あなた、落ち着いて話を」

「子供の喧嘩に、親が口出ししてどうする。子供同士で解決させんか!たかが軽く血が出た程度で、親がいちいち出しゃばるでないわ!」

 ・・・そっち?ええと、ツッコみどころ、そこで合ってるの?


 爺ちゃんは再び席に着いた。だけど今はお互いに何も言えない状態だ。たぶんだけど、みんなもどうツッコんでいいのか迷っているのだと思う。

「・・・今日のところは、お互いに早退したほうがよろしいのでは?」

 しばらくして、口を開いたのは相手の婆ちゃんだ。

「な、何言ってんのよ。まだ話は終わってないわ。ケジメってものを付けなさいよ。そちらのお子さんが、ウチの子に怪我をさせたのは事実でしょ?」

「ええ。なので、病院の治療費などはこちらで負担します。・・・息子さん、病院に連れて行かなくてもよろしいのでしょうか?」

 婆ちゃんの言葉に、母ちゃんが眼を見開く。

「――そ、そうよ。こうしていられないわ、伝染ってないか確認しないと・・・!もしものことがあったら、アンタ達を一生恨んで」

「黙れ。お前の恨みなぞ、ウチの孫には到底及ばんよ」

 ・・・また爺ちゃんがよく分かんないことを言ってる。だけど圧力と眼力が物凄いので、みんなは黙るしかない。ええと、とりあえず今日は帰っていいの?いつもだったら、早く家に帰れてラッキー、って気分だけど、

「ほ、ほら、さっさと行くわよ。ええと、どの病院に行けば・・・」

 ウチの母ちゃんも大概怖いので、何も言えねーんだ。

 アイツは、じぃっとオレを睨んでくる。や、やめろよ、そもそもオレは被害者だぞ?そりゃあ確かに、言葉の暴力って言うのか?そういう意味ではオレも悪いかもしれないけど、もしお前からオレに伝染ったらお前のせいだからな?

 ・・・じゃーな。オレはともかく、母ちゃんが怖がってるんだよ。



 なぁ母ちゃん。いったい何を怖がってんだ?

 オレが、伝染ったかもしれないから怖いのか?

 それとも、オレからさらに母ちゃんに伝染るのが怖いのか?

 ――うん。ひとまずは検査だな。あぁあ、伝染ってたら嫌だなぁ。

この時点で登場人物全員の名前が決まってないんだけど、誰になんて名付ければいいの・・・?

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