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10話 男の子視点での話 ⑤

【夏のホラー2024用に作った連載文章です】

【この物語はフィクションです】

【登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません】

【男の子視点での物語です】

 ここは、日本。○○県の、××市というところ。

 今は、202X年の7月。そしてここは、って痛たたたたた!



「ん!んぐんん!んああああああああああ!」

 もはや何を言ってるのかわからない。

「痛い痛い痛い痛い!離せ!離せって!」

 首がメチャクチャ痛い。

 右の首筋に、熱いものが。どうにか離そうとしたけど、痛てててて!?さっきまではオレがコイツの手を押さえていたけれど、首があまりにも痛くて、コイツの噛みつきがメチャクチャなので、頭を掴んで離そうと、したけれど、

「ん、ん――ぷはっ!はあっ、はあっ、絶対に、離さないぃ・・・!」

 息継ぎのためか、少しだけコイツが離れる。だけどオレは離れられない。オレの押さえ付けから逃れた両手で、ガッチリと抱き着いてやがる。ちなみにコイツはオレと同学年の女子だ・・・って待て待て、お前自分が何をヤってるのか分かってんのか!?オレは男だぞ!?だから、おま、ちょ、いいかげんに、

「痛ああああああ!?おいマジやめろマジやめろ」

「殺す、殺してやる、もうどうなってもいい、ブッ殺す・・・!」

 だ、ダメだコイツ聞いてねぇ・・・!オレ達はまだ子供だから、学校でケンカになった時には、ついつい殺すだとか死ねだとか、そういうことを言っちまうことはある。これも以前、父ちゃんや母ちゃん達に怒られたことだけど、小学校とかの子供同士のケンカだったらこれくらいは言っちまうもんだろ?

「あは、あはは、死ね、死んじまえ、お前、うあああああ!」

 だけどコイツの場合は、マジだ。密着しているからコイツの顔は見えないけど、そのぶん耳元で、コイツの言ってることがあああああ!?やめろこれ以上はマジで死ぬからやめ・・・い、いや、まだ、大丈夫か。痛てててて。


 オレん家の、オレの部屋。

 クーラーを付けるために、ドアも窓も閉め切って。日差しを避けるためにカーテンも閉めて。だけど今は昼過ぎなので、それなりに明るさは確保されている。ついでに親連中はここから離れたところで話し合って・・・るのかな?もしかしてだけど、オレ達みたいにケンカしてたりして。今のオレ達のように、

「お、おい、サヤ、もう離し痛てててて」

「ふううぅ、ふううぅ・・・!ん、んぐっ」

 ・・・いや、これはケンカでいいのかな?

 最初はコイツが――サヤから、殴りかかってきた。だけど女子と真正面にヤり合って負けるオレじゃないぜ。両手首を掴んで、床に押え付けてハイお終い、ってなるはずだったのに。いつの間にかコイツのマスクが外れてて、

「や、やめろって。マスクが無いと伝染うつっちギャアアアア!?」

「うる、さい。人を、病原菌扱い、しやがって」

 い、いや、だってこの前の時も、お前のマスクが外れてたから、それでみんながビビって・・・ていうかお前、マスクのサイズ合ってないんじゃねーの?まぁでも今はマスク不足だから、ちょうどいいサイズのものが手に入らな痛てててて!?う、うぐぐ、コイツ、バカの一つ覚えみたいに噛みついてばかりだよ。

「聞いたよ。お前のお母さん、騒いでた、って。ウチのお母さんの知り合いが、働いているところで、騒いでた、って。電話、あったよ?」

 コイツは依然と、噛んだり離れたりを繰り返している。一回の噛みつきはそこまで長くない。オレが上に乗っかっているから、たぶん息が続かないのだろう。実際コイツはハァハァ言ってる。とても苦しい体勢のはずだ。

「お前が、私と、年が近そうだから、って。もしかしてと思って、ウチに電話が来たんだよ?駐車場で応対してた人、心当たり、ある?」

 ・・・あー、あの人か。ヤベぇ、心当たりがあり過ぎる。

「お母さんが、言ってた。看護師って、知り合いばかりに、なるんだって。ふ、ふふ、そうかぁ、心当たり、あるん、だねぇ・・・!うがああああ!」

 痛い痛い痛い痛い・・・う、うう、少しずつ噛みつきの強さが弱くなってる。これならどうにか耐えれそうだ。首がメチャクチャ痛いけど。


「ふうう、ふううぅ・・・!まだ、ヤってやるぅ・・・!」

 どれだけ噛みつかれたのかは覚えてないが、だいぶ疲れているようだな。よし、そろそろ反撃するか。と言ってもコイツは女子だから、こちらから殴ったり蹴ったりすることはできない。これが男子のつらいところだぜ。

 ――と、なると。女子相手だから通用する作戦で行くか。

「お、おい。そろそろ離れてくれって」

「ナニ、言ってんのぉ・・・?絶対に、離したりは」

「いや、その。こう抱き着かれたら・・・その、胸元が、当たって」

「・・・。」

 ん?黙っちまった。まあいいや、続けよう。

「他にも、その、いわゆる18禁な場所が」

「きゃあああああああああああ!?馬鹿っ!どこ触ってんのよ!?離れてっ!離れてったら、このスケベ!変態!セクハラ!いやあああああっ!」

「ごっふぉおぉ!?」

 横にぐるんと転がるように、投げ飛ばされる。といってもそこまで飛んだわけじゃないけど。どちらかと言えば床に叩きつけられる感じになって、どのみち痛かった。ううぅ痛ててて、やっぱり首から血が出ちまってるよ。

「へ、変態、ふざけんな、うううぅ・・・」

 そしてコイツは、自分の胸元を手で覆っている。オレの名誉に誓って言っておくけど、そこは絶対に触ってないし、他にもアレな場所には一切触れてはいない、と思う。ま、まあその、コイツが抱き着いてきて、若干少々は体が――。

 って、話はどうでもいい。とりあえず今は怪我の確認だ。ええと鏡は・・・うん、自転車からコケた時に比べればまだマシだな。ええと次は・・・。


 ここはオレの部屋なんで、タオルやハンカチはいくらでもある。オレの首を覆う用と・・・ハンカチやるから涙拭けよ。あと口元の血も。

「何のつもりよ。こんなことで、許されるとでも?」

「ああ、べつに許してくれなくてもいいぞ。ていうか、どれだけ謝ったら許してくれるんだ?土下座でもしたら、それでお前の気が済むのか?」

「済むわけないでしょ。そんなことで、手打ちになるわけが」

「だったら、それでいいんじゃねーの?無理して仲直りしなくても」

 サヤは元いた場所に座っている。なのでオレも元々の場所に座り直す。首元にタオルを押さえつつ・・・やっぱり消毒からしたほうが良かったかな。まぁこれについては後で母ちゃんにやってもらうか。また一悶着起きそうだけど。

「学校で、先生とかは。ケンカはするな、ケンカをしたら仲直りしろ、って言うけど。みんながみんな、仲良しってわけじゃねーだろ?学校もそうだし、ウチは爺ちゃんが離婚してるし、お前ん家も・・・って話はやめとくか」

「ふん。それを言ってたら即ブン殴ってたよ。それで、お前は何が言いたいの?私に謝るつもりが無いって言うのなら、今度こそ、お前を」

 サヤは未だにおっかない顔で睨んで来る。それでも、オレは。

「いいぜ。それでお前の気が済むのなら」

 あえて、お前がブチ切れそうなことを言ってやったんだよ。お前が心置きなく暴れられるように。昨日と違って、今日は誰も邪魔する奴がいないからな。

「オレも、お前も。ずっと家に閉じこもってばかりだから、こうした方がスッキリするだろ?少しはスッキリできたか?あー、首イテェ」

「・・・ふん。まだヤり足りないけど、また騒ぎになりそうだし、医療機関に迷惑を掛けるわけにもいかないから、ここまでにしてやるよ。命拾いしたね」

 おう。とりあえず口を洗って来いよ。洗面所はあっちだ。



 サヤが洗面所に行ってる間に、オレは上のシャツを着替えた。だって血が付いちゃったし、かといって女子の前で脱ぐのも・・・だからなぁ。

 しばらくして、サヤが帰ってきた。コイツからすれば、親連中は話し合いの最中だから勝手に帰るわけにはいかないし、かといって他人の家をうろつくわけにはいかないので、仕方なしでここに戻ってきたんだろうけど。

「・・・ねぇ。ちょっと、いいかな?」

 ん?何だよ、今度、は――え、ええと、ナニを、なさる、気で?

R-15設定にして、もう少し踏み込んだ描写を入れたほうが良かった・・・?

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