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一日の始まり

 目が覚める。

 同時に胸の奥にムカムカしたものを感じて吐き気に襲われる。


 気分の悪い目覚め。



 朝5時。

 まだあと2時間は寝ていられるのに、そこからもう眠れなくなる。

 瞼を閉じていても嫌なイメージと不安だけが頭の中に湧き上がってくる。


 布団の上で丸くなったり、部屋の隅で膝を抱えてうずくまったり、部屋の中をうろうろしたり、自分でも奇怪な行動をしていると思う。

 でもそうせずにはいられない。


 そして最後には、やはり布団の上で横になる。



 ただじっとして、瞼を閉じて、不安な思いに苛まれなれ続ける。

 時間だけが過ぎ去っていく。



 やがて目覚ましに使っているラジオの電源が入り、陽気な音楽を響かせる。

 今日はロックだ。

 激しい音と甲高いギターの音がする。

 耳障りだ。



 気が重い。心が重い。体の重い。

 それでも起きなければならない。


「起きるか……」


 会社になんか行きたくない。できれば辞めてしまいたい。

 でも、今の会社を辞めたら、多分きっともう二度と就職できない。働けない。今よりも苦しい現実が待っているだけだ。厳しい日々が待っているだけだ。それはそれで辛い。


「死にたい」


 口癖のように今日もその言葉を呟く。


 ……違う。

 死にたいわけじゃない。これ以上生きられないだけだ、こんな辛い日々をこれ以上過ごしたくないだけだ。

 まだ、死にたくない。まだ生きていたい。

 でも、生きるのがつらい。


 ラジオから、ピ、ピ、ピ、ポーンと7時の到来を告げる時報が響く。

 タイムリミットだ。これ以上は会社に遅刻する。


 仕方がなく布団から抜け出し、重い心と体を引きずってトイレに向かう。

 そして今日もまた、憂鬱で、辛くて、苦しくて、嫌な一日が始まる。



 生きるのが辛い。でも死にたくはない。

 でもどうしようもなくて、どうすることもできなくて、だからもう死ぬしか道はない。

 でも、死ねなくて……


 私は今日も心の中でその言葉を呟く。


 誰か、助けてください。


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