不完全な多面体
コウミ「私は思うのだ。マサトくん。君は男だ。だが、君の中には何割か女性という一面が保存されているとね。」
マサト「なぜ、そう思うんですか?」
ユウミ「な〜に。簡単な事だ。こうやって女である私と会話が通じているじゃないか。」
マサト「何だか、今とてつもなく名誉を傷付けられた気がします。でもいいです。とにかく、続きを聞きましょう。」
ユウミ「ありがとう。君のその断定する際は、必ず仮説と実証を行う性格を大いに評価しよう。」
マサト「…」
ユウミ「さて、では話しを戻して続けよう。今、君はこう思ったはずだ。会話が通じる、詰まり言葉が通じるということは、日本人であるから。もっと還元して言えば、人間であるから通じると。あぁそうだ。君の言っていることは間違っていない。でも答えとは常に2つの輪が重なった要素であると私は考えていてね。2つの輪は常に陰と陽、プラスとマイナス、つまり相反する物だと考えている。この場合だと、1つ目の輪が意味を還元した人間。ではマサトくん、もう一つの輪はどうすれば見つかると思う?」
マサト「そうですね…意味を還元するの真逆ですから、意味を突き詰めた答えですかね?」
ユウミ「そうだ!つまり、私という要素を還元した答えが人間。逆に突き詰めると女という答えがでる。」
マサト「仮にそうだとしたら、ユウミ先輩にも男性としての一面が何割か有ることになりますよ。」
ユウミ「そうだ!だから私達は常に自分とは真逆の異性の一面を登場させ、話している。だが、それはあくまで、本当の性別の割合に比べると少ない割合だ。まぁ、人にもよるが。」
マサト「配慮は要りません。僕は女性が好きな男ですから。」
ユウミ「そうか、では話しを続けよう。その少ない割合の性別で話すのだ、それは余りにも不完全で、未熟なものであるはずだよね?」
マサト「えぇ。そうですね。」
ユウミ「不完全、未熟である物を見つけたら君はどう思う?」
マサト「まぁ、不完全なものは完全なものへ。未熟なものは成熟したものへとしたく思いますね。」
ユウミ「だろ!だがその不完全な一面は決して完全になれないんだ。なぜなら、多面体を構成する内のたった一面であって、その多くの面は、本当の性別が占めているからだ。だが、そのやるせない気持ちを抱えたまま、完全なものが今こうやって目の前にいた場合、君はどう思う?」
マサト「間違いなくその完全なものが欲しくなりますね」
ユウミ「そ、そうだろ!!だ、だから!!私は」
マサト「ま、待って下さい!!ヘタレですみません。今回だけは先輩の証明は僕が完成させます!ずっと前から先輩が好きでした。付き合ってください!」
ユウミ「フフッ。私こそ、君という完全な存在が欲しいと思っていたところだ。宜しく頼む。」
Q.E.D