Mirror・Re・Tail
集団において規律戒律は遵守されるべきであり、自身を一員であると認識する為に定められた服装もまた然り。
定められた容姿に揃える事で、常時、視覚から仲間の認識、連帯感を強める。
“着衣の乱れは心の乱れ” 個を捨て、右に倣えで誰もが遜色無く一様に集団を構成する一員として存在する事が重んじられる。
また、そうする事で個人が所属する集団を容易に判別する事が可能であり、それにより、ある程度のステータス・カテゴリー・ランクも判断可能。
人を見た目だけで判断するものでは無いが、人を判断出来る最初の情報は“見た目”によるものが多い。
西暦3021年 地球の温暖化により北極・南極の氷は全て溶け、海面上昇により陸地は減り、熱波が吹き荒れ、頻繁に往来する超大型台風や激しい雷雨やハリケーンの被害に加え、荒れ狂う波が襲いかかる上に環境適応に柔軟な微生物が大挙して、人類の生存区域は限り無くゼロに近づいていた。
抗菌・断熱・耐圧に優れ、取り込む空気を浄化する全身を包む銀色のスーツは継目も無く、両眼部分は紫外線を遮る黒一色。
誰もが憧れるその凛々しい制服姿は《グレイ》と呼ばれ、日夜タイムトラベルを繰り返し、人類誕生から繁栄の道を標し、人類滅亡の危機を救ってきた。
しかし、彼等の時間軸は滅亡の只中、救われる事は無い。それでも、滅亡の分岐点を数え切れぬ程、繁栄に導いた。導いた分だけ世界と文化は産まれ、生命の可能性を発見してきた。
そして彼等は気付いてしまう。人類を滅亡から救うのは《無理ゲー》だ。その両眼は絶望に黒く染まる。
落胆と絶望は最終手段を選択させる。
《ムー》と呼ばれた人類最後の科学帝国は、禁忌を犯し、全てを2億5千万年前に……
タイトルについて
Mirror・Re・Tail ←みられている
鏡に映された多数の世界
滅びの道へのResponse 救済された世界
尾=最後 トカゲの尻尾切り 見限られた世界
または 尾が返り頭と繋がり 鏡合わせのように
この世界はミラレテイル なんて