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絆されない。終わった事。


「というわけで、マリサは洗脳が解けた反動で身体も心も不安定な状態だから、女神教の事を聞くのはもう少し先にするわ」


「うん、それでいいよ。ていうか、マサキって本当に子供に甘いよねー」


「そんな事ねーぞ? 十分ヒカリにも甘いと思いし自分にも甘いぜ」


「えへへ、わかってるよ! いつもありがと!」


 俺たちは普通に登校をし、学校の廊下を歩く。

 学校は昨日の女神教の襲撃により、壊された建物の修繕作業をする土木ギルドの人たちがわちゃわちゃ働いていた。帝都警察の刑事が生徒に聞き込み調査を行っていた。


 三年の教室がある階の被害が一番ひどかったみたいだ。


 どうやら俺のスキル【覇王】は対象の強さを……というよりも人としての階位をワンランク上げる事ができる。

 ジャイアたちが単純にEランクになったわけじゃない。


『はい、そのとおりです。階位を上げるという事は魂の格を上げる事です。エルフがハイエルフに進化するのと同じように、人族が高次元人族に変化しました』


 まあ強くなるって事で問題ないね。


『スキル【覇王】の力の一端です。現在、ご主人様の強さはBランク相当となります。……ですが、ランクでは測れない力を有しております』


 俺はシステムさんの説明を聞き流して教室へと向かう。

 アリスはマリサと一緒にギルドの医療室でお留守番をしている。

 ビビアンはスバルの付添だ。いくら俺に仕えると言っても、流石に昨日まで女神教だった男だ。まあ、大丈夫だろうと思うけどさ……。

 ギルド長であるリュータロウさんに挑んでボコボコにされたみたいだしさ……。

 意味わかんねーよ。強い人を見ると戦いたくなるってよ……。

 ていうか、忍び族なんて聞いたことねえよ。どんだけマイナーな種族なんだよ。


 まあいいや、ジャイアたちは元気かな?


 そんなことを考えながら廊下を歩いていたら……、正面から取り巻きを引き連れていないミヤビが待ち構えていた。

 マジか……。





 ***********




 私、ミヤビ・タナカはマサキの教室の前で佇んでいた。

 誰かが通るたびに、昨日の話題が聞こえる。


「昨日はマジやばかったっしょ? ていうか、上級生が女神教に立ち向かったみたいっしょ」

「魔帝のエリ先輩が超かっこよかったらしいね?」

「うんうん、古代魔法で女神教を拘束して――」

「開発帝のハカセ先輩の人形ゴーレムが……」

「あれ? レオンハルト様はボロボロに……」

「賢帝のレミール様の眷属が――」

「いやいや、最強は剣帝ギルバード様じゃんっ! スキル【剣帝】で超絶剣技を――」


 うちの先輩たちは化け物揃いであった。――最上位と言われているスキル帝系の持ち主。

 ……学校の四帝と言われる存在。

 だけど、先輩たちの噂よりも――


「マサキ君超かっこよかった!」

「ていうか、あいつってツンデレ? マジかわわ――」

「なんかよーく見たら超イケメンだしさ」

「極大魔石を手で砕くなんて……、四帝超えしてんじゃね?」

「あれだよね『俺は幼馴染に振られたけどこの教室が好きなんだよ!』って叫んでたよね? 超しびれたよ!」

「女神教の司祭を一撃って……、Fクラスの強さじゃねーよ」

「私、Bランクの剣闘士と戦ってる所見たことあるよ。ボコボコにしてたじゃん」


 そんな生徒たちは私の姿を見ると、気まずそうにそそくさと教室へ入る。

 ……私はどこで間違えたんだろう?


 学校に入学して都会を知って、マサキがダサく見えた。

 男子生徒が私をちやほやしてくれた。自分が可愛いと自覚した。

 ……いつしかマサキが煩わしくなった。もっと自由に生きてみたかった。マサキといると田舎の事を思い出してしまう。私は田舎が大嫌いだ。あんなところに二度と戻りたくない。


 マサキは入学式の時に行なわれたクラス選別の儀式で、最低の結果を残した。

 そんな事を気にした素振りを見せずに、私に笑いかけてくる。

 私はそれがひどく恥ずかしくて……、嫌だった。


 マサキが色々努力していたのは知っているけど……、結果がでなければ意味がないと思った。

 帝都で育った男子生徒に比べてたら――


 私はいつしか教会でマサキと交わした誓いなんて……忘れてしまった。

 だから『距離を置きましょう』なんて言ってしまったんだ。


 マサキと別れたあと、幾人の貴族生徒とお付き合いをした。

 ……初めは良かったのに……、だんだんと薄っぺらい本性が見えてきて嫌になる。

 相手も私の嫌な部分を指摘して、喧嘩になって別れる。その繰り返し――


 いつしか、私はマサキとの思い出が素晴らしいものだったと気がついた。


 だけど――気がついた時にはもう遅かった――

 私は人生で一番大きな失敗をしてしまったんだ。





 そんな事を考えていたら、マサキがヒカリさんと一緒に登校してきた――

 マサキは私を見ても何も感情を浮かべない。少し面倒臭そうな顔をしている。


「――マサキ……怪我……なかったの」

「んあ? ああ、問題なかったぜ。お前も教室戻れよ、授業はじまるぞ」


 昔と全然変わらないマサキ。……その優しさに甘えていた私。

 胸の奥から罪悪感が一気に広がる。


「ち、違うの……、わ、私、マサキに謝りたくて……、きょ、教会で誓いあったのに……」

「ああ、もう終わった事だから気にすんな。俺も友達と楽しい日々を過ごしてんよ」


 違うの、私はまたマサキと一緒に――

 マサキの隣にはいつもヒカリさんがいるけど、恋愛的に発展する雰囲気はない。

 マサキは急速に女子生徒から評価をあげているけど、幼馴染である私にチャンスはある。

 だからここで諦めちゃだめ。私はマサキとよりを――


「ちょっと、俺忙しいんだ。わりいな、教室に入るぞ。――んあ?」

 

 私がマサキの制服を掴んで引き止めようとしたら――、誰かが先にマサキを後ろから羽交い締めにした。


「げっ、エ、エリさんじゃないっすか……。ちょ、離して欲しいかな?」

「エリ先輩こんちわ! いつもおやつありがとう!」

「なんだ、ヒカリ? お前いつの間にかエリさんからおやつをもらう仲になってんだよ!?」

「あらあら、ヒカリちゃんとは仲良しよ? ところで、昨日の悪魔について聞きたいですわ」

「え、バレてんの?」


 私の手は空を切った。

 エリ先輩はそんな私にいま気がついたかのような態度を取る。

 目が笑っていなくて口角だけが釣り上がる。


「あらあら、マサキ君の元カノですわね? ふふ、ごめんなさい、ちょっとマサキ君を借りるわね」


 有無を言わさぬ口調――

 その言葉だけで私の心が凍りつきそうだった。


「で、でも、わ、私がマサキと喋って――」

「んあ? そういやミヤビの用ってなんだ? 」

「そ、それは――」


 エリ先輩が鼻で笑ったような気がした――


「あらっ? マサキ君をボロ雑巾のように捨てた貴女が今更なんのようなの? 確かうちのクラスのレオンと付き合っていたわよね? ……まさか、マサキ君の方が良かったからヨリを戻すなんて都合の良い話じゃないわよね? それはちょっと人として――」


 私は頭がカッとなってしまった。


「ち、違います! ふ、ふんだ、少しかっこよくなったと思ったら、こんな魔女相手にデレデレしちゃってさ……、もう知らないんだから!」


 私は捨てセリフを吐いてエリ先輩をにらみつける。


 マサキは首をかしげていた。


「ん? まあ、俺とミヤビはもう縁がないからな。まあ女神教に気をつけろや、じゃあな」

「あ……」


 マサキはエリ先輩と一緒に教室に入ってしまった。

 私はその後ろ姿を見ている事しか出来なかった。

 嗚咽がこみ上げて来そう……、こっぴどくマサキを振ったのに、マサキは私の心配をしてくれる……優しすぎるのよ。

 自分が惨めな気分になってきた。


 ふと、背中に柔らかい感触が生まれた。

 優しく背中を撫でてくれるそれは……惨めになった私の心を慰めてくれた。


「んーとね、よくわからないけど、元気だしてね! じゃあね!」


 ヒカリさんが私の背中をさすってくれたんだ。

 私はマサキに手招きされて教室へ走っていくヒカリさんを見ている事しか出来なかった。


 私の汚れた心が、ヒカリさんの純粋な優しさによって打ちのめされてしまった――




現在、帝国候補生は17位です!


ジャンル1位とのポイント差は大体【4000ポイント】です!


1位になるにはほぼ不可能なポイント差です!

でもなんかイケると信じて超書いてます!


1人10ポイントまでつけることができますので、


「なんか面白かった!」


「ちょっと幼馴染の今後が気になる!」


「絆されるんじゃねえぞ」


「更新しろや!」


と、少しでも思われた方は下の【☆☆☆☆☆】をポチッと押して【★★★★★】で応援して頂けるとガチで励みになります!


今後も毎日更新を続けていく大きな励みになるので、よろしくお願いします!





と、今回は本気のお願いですが、地道な可能性を信じてます!

応援よろしくお願いします!

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