ココア味のホットケーキ
「はい。今日の全体練習はココマデデス!あとはご飯を食べて各自でポートレイトの練習に励んでくださいネ!」
合宿での練習は普段の練習とは比べ物にならないほど大変だった。
「お腹すいたよぉ〜…。もう動けない…。」
「ぽんちゃん頑張って!さっきかなちゃんがホットケーキ焼こうって言ってたよ!」
「なな⁉︎ニトちゃんその話本当ですか⁉︎それは期待しちゃいますねぇ〜!」
「あんまり期待しないほうがいいと思うぞ、ぽん。」
「大凶さん、何でそういうこと言うんですかぁ〜‼︎だから大凶なんですよ〜!」
「食ったことあるからわかるんだよ。」
ぽんとニトが首を傾げた。
「みんな〜ホットケーキできたよ!…ちょっと焦げちゃったけど…ココア味〜…なんつって〜…。」
お皿に乗っているのはちょっと焦がしたのレベルには当てはまらないほど真っ黒な物体。
ニトがなるほどと納得したように大凶を見る。大凶もそれに気づきうんうんとうなずく。
「ココア味⁉︎素敵です!早速いただきますね!」
ぽんが席につきいただきますと言って真っ黒な物体を口に入れた。
「んん‼︎美味しいです!生き返りますなぁ‼︎」
その状況を見てかなは嬉しそうに頬を赤らめている。
「嬉しい!人に料理褒められたの初めて!ちょっと失敗したかと思ったけど大丈夫そうだね!みんなも食べて!」
「いや、そこはぽんも気付けよ…。かな、違う。これはぽんの舌がバカなだけだ。現実を見ろ。」
さすが猫目さま。容赦ないとその場にいたみんなが思った。
「そうですよねぇ…。ぽんちゃん、作り直すから吐き出して…。」
「なんれれすか〜!おいひいれすよ!」
「ぽん、実はそれ、食べたら腹痛に襲われる魔のホットケーキなんだぞ。」
嘘っぽく聞こえるが嘘じゃない気がする。
「⁉︎ね、猫目さま…早く言ってくださいよぉ!」
ぽんが申し訳なさそうに手で口元を隠して吐き出した。
「作り直してくるね…。」
かなが肩を落として台所に戻ろうとする。
「かなちゃん、よかったら料理、俺がやろうか?」
「いえいえ!私のせいで作り直しなので申し訳ないです!おかんは座ってて!」
「いや、いいの。俺がやるから、ね?」
おかんの圧に押されたのかはいとかなが素直に応じた。ここでまたかなが作っても振り出しに戻るだけだ。
10分後に運ばれてきたのはきれいな丸型で黄金色をしたホットケーキだった。
「食べてください。」
いただきますとそれぞれ口にして食べ始める。
「⁉︎今まで食べた中で1番美味しいっす!」
「本当?パリピにそう言ってもらえて嬉しいな!」
「なんか…悔しい…。」
「今度、かなちゃんに作り方教えるから。」
「はぁーい。」
「おかん」というあだ名がついたのも納得できるなとみんなが思った。
「さ、これ食べて、午後からも頑張ろう!」
先生の一言にみんな頷いた。