変化
扉を開けると中に10人ほど人がいた。
「トム、連れてきたよ。」
「Oh,Thanks!」
まだ春だというのにノースリーブで短パン姿で麦わら帽子をかぶっている外国人が返事をした。
「Ladies and gentlemen!」
それ以降の英語は聞き取れなかった。英語を聞くのなんて何年ぶりだろう。
先ほどの男の子がトムと呼ばれていた外国人に英語で話しかけた。多分、この場にいる人がほとんど聞き取れないからだろう。
「Oh sorryね!ついついコーフンしてね!カンニンやねん!」
うわ、エセ関西弁…!関西に住んだことのない俺にもわかるエセ関西弁…。
「皆さんお集まりthank you !コレカラこのメンバーで演劇やりまっせ〜!ほんならジコショーカイし合いまっか!」
「ちょ、ちょっと待って!」
どうやらこの状況に追いつけていないのは俺だけらしい。
「え、演劇って?」
「Are you Ok?えりな、この人だよね?」
「うん。」
えりなってこの男の子女の子だったのか…⁉︎声が高かったから声変わり前の子なのかと思っていた。
「演劇のチラシ配って集まったのこの8人だけじゃん。あと1人必要でしょ。なかなか集まんないな〜って思ってフラフラしてたらちょうどこの人がスリに合っててこれは使える!って思って財布スリ返してこのおじさんを脅して、間違えた。返す代わりの交換条件として演劇やってもらうの!説明したじゃ〜ん!」
「してないから!しかも『脅した』から『交換条件』って言い換えたけど完全に脅してたからね⁉︎」
「Oh 〜餅ついてよ〜…。」
「餅ついて…?」
「も〜落ち着いて、でしょ。」
この2人と会話をしてると調子狂う…。
「入んないならこの財布ドブに捨てるよ?」
脅しじゃん。脅し以外の名前があるのなら誰か教えてほしい。
「入ります。すみません。」
入るしか道は残されていない。
「じゃあわたしからいきまっせ!My name is Tom.Call me Mr. Tom please!トシは24サイでっせ!」
Next と言われて指名されたのはポニーテールで爽やかな女の子だ。
「大森かなえです。21歳大学生3年生です。」
次の人はつり目で身長の高い女の子。
「栗原ちそら、25歳OL。」
2つ結びで童顔な女の子。背が低い。
「山田聖理奈、25歳大学院生です。」
癖っ毛で少女漫画のヒロインのような女の子。
「和田花音、25歳音大卒で一回だけミュージカルに出たことがあります。」
財布を取り返してくれた女の子。ショートヘアで左目が前髪で隠れている。
「諸橋えりな17歳高2。ニートでえす♡」
メガネをかけた真面目そうでかなり美形な男性。
「村上春樹っす。32歳サラリーマンです。」
童顔で聖理奈さんと同じぐらいの身長の男の子。年はえりなさんと同じぐらいだろうか。
「野本圭、20歳大学2年です。」
彼が大学生だと聞き、全員が驚いた顔をした。
ボサボサ癖っ毛頭の男性。
「古山聡志、26歳昨日会社クビになって無職になってアパート解約されて今ホームレスです!」
オレンジ頭で緑色のピン留めをつけた男の子。
「田崎優馬っす!えーと19歳、大学1年!よろっす!」
「佐藤健、32歳サラリーマンです。」
一通りみんなの自己紹介が終わった。
「じゃあコレカラ、シンボクカイっていうことでイキマショ〜!Let’s party!」
「呪いの劇場」を出て向かいの建物に入って地下に降りて行った。
中に入るとお洒落なバーだった。