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03

「なんで————出だしからこんななんだ」

 俺は入口で1人、涙声で呟きながら座り込んでいた。


 ——5分前——

「お嬢さん、冒険者登録をお願いします」


「ギルドへようこそ! 登録受付ですね。かしこまりました」

 いろいろ苦労はあった。全てが報われる! 俺の冒険が今始まるんだ!


「登録料1000ドールになります」

 えっ? 思わず言葉が漏れ、しばらく沈黙が続いた。


「あのぉ、今なんと?」


「はい、登録料千ドールになります」

 笑顔で応える受付嬢


 まずい‥‥お金なんて一銭も持ってない‥‥

「お金‥‥払わない‥‥といけないんですかね?」


「はい、初回のみ登録料を支払ってもらう事になっています」


「払えない場合って‥‥どうなっちゃうんですかね?」


「残念ですが‥‥登録することはできません」


「どうしても?」


「残念ですが」


「出世払いとか」


「ムリです」


「後払いとか」


「ダメです」


「体で払うのは‥‥?」


「お帰りください」


 ——そして現在——


 なんだよ登録料金って‥‥ゲームだとすんなり登録できてここから大冒険の始まりの所だぞ!

 ここで詰むなんて思わないじゃないか‥‥。


 仕方ない! お金を用意しないと始まらないなら稼ぐしかない。考える前に行動あるのみだ。とりあえず街を回ってみて良い仕事がないか考えるか。


 ショウタは立ち上がり、重いエクスカリバーを引きずりながら考える。

 ズズズ……ズズッ‥‥

「とは言ったものの。どうやってお金を稼げば良いんだ?」


 ズズッ‥‥ズズッ‥‥

「モンスターを倒せばお金をドロップしたりするんだろうか‥‥」


 ズズッ‥‥ズズッ‥‥

「でも今の状態で行くと返り討ちに遭いそうだな‥‥」


 ズズッ‥‥ズズ‥‥ピタッ‥‥

 だあああああ! 重い!

 この剣すっごい邪魔!! 持ち上がらない上に重すぎる‥‥今の俺にとってはただの重りでしかない。


「この剣……売れるかな‥‥」

 これが、俺とエクスカリバーと最後であった。

 その後、道具屋へエクスカリバーを売り飛ばした代わりにお金を手に入れた俺は急いでギルドへ向かった。


「お金‥‥持ってきました‥…冒険者登録お願いします」

「ご、ご苦労様です。では受付をしますね」

 受付嬢がカタカタと手際よく俺の情報を入力している。


「はいーームトウショウタ登録完了です。では、ショウタさんにギルドの基本的なシステムを説明しますね」

 受付嬢の説明によると、依頼は掲示板から選んで受注する仕組みらしい。

 依頼は街以外からも来るらしく、依頼が少なくなることは滅多にないようだ。


「システムは以上です。それでは最後に(ジョブ)を調べさせてもらいますね」

 そう言うとカウンター奥から地球儀のような道具を持って俺の目の前に立った。


「ではショウタさん、このジョブセンサーに手をかざして下さい」

「こうですか‥‥?」

 ジョブセンサーと呼ばれるものに手をかざすのに合わせてセンサーもクルクル回って反応している。

 回っているのを眺めていると急に「ピタッ」と止まった。それと同時に受付嬢の表情も固まった。


「どうですか? 俺の(ジョブ)分かりました?」

「ショウタさん‥‥あなた本当に人間ですか?」

 この反応ーー俺は知っている。これは異世界から来た主人公だけの特権‥‥チート能力!

 やはり普通じゃない人間はこう言う小さな所から特殊な能力がバレちゃうか。


 ショウタはニヤけながら聞いた。

「俺の(ジョブ)はなんですか? もしかして、いきなり上級職とk‥‥」

()()です!!」


「な‥‥なにいいいいいいいいい!」

 この世界でも俺の(ジョブ)は変わらないようです。


 続く





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