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凍結した過去サイトの作品を発掘したので、そっと保存しに来ました←
10年以上前の作品ですが、設定は気に入っています。
その世界では羽根が降っていた。
天使の翼。
人間達の住む地上の上には天界。
その天界に住むのは、全能の神と天使。
地上に生きる人々は、神を崇め天使を敬う。
それを生まれた時から当然のようにして、彼等は生きている。
けれど、彼等は。
天から降ってくる天使を、狩るのだ。
その白い翼を忌むべきモノとして、刃を携えて。
時にその姿に敬意を払いながら、自らの手で討つ。
その、業の深き事。
されど、天より落ちる天使は減らぬ。
狂った天使は、全てを滅ぼすただの兵器。
その強い魔法の力を持って、彼等は世界を滅ぼすだろう。
だから人々は、天使を討つのだ。
自らの生活を、護る為に。
その、痛みよりも尚深き苦しみ。
けれど、それをそれとして理解するモノは、少ない。
神を崇める教会の者達でさえも、疑わない。
天使を狩る事が、神の意志だと。
自らを護る為に、当然の事なのだと。
その世界で、只一人。
狩られ逝く、救われる事のない狂った天使の為に。
哀れな、かつては神の御使いとして天を翔けた者達の為だけに。
一人、涙をこぼす子供がいた。
子供の名前は、フィアーラ。
フィアーラ・レスペンド。
幼い頃から教会に足を運んでいた少女。
父と兄を天使討伐隊の戦士に持つ少女。
母と姉を教会のシスターに持つ少女。
彼女は、ただそれだけの、子供だった。
けれど、天使の為に涙したのは、
そんな、ごく平凡な子供だけだった。
古い作品なのでつたないですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
ご意見、ご感想、お待ちしております。