プロローグ
多分明日くらいに書き直します。
ちょっと修行してきます。
文才磨いてきます
生まれて初めて馬車に乗った。
ガタンガタンと縦によく揺れる馬車は、決して気持ちの良いものでは無かった。
ただただお尻が痛い。
クッションを貫通して、振動が痛みとなって伝わってくる。
馬車に乗るなんていう経験は普通の日本人なら、いや日本人に限らずとも、現代社会真っ只中の環境で暮らす人々にとって一生を通して経験することがないであろうことである。
ガン。
再び大きく縦に揺れた。
これに慣れる気がしない。
思わず尻を席から少し浮かせてしまう。
屈んでいる体勢になったことで足腰に体重の負荷がかかる。
目の前には先程俺を拾ってくれた白い髭を一杯に蓄えた恰幅のよい老人が対面に座っている。
この男性は相当歳がいっているように見えるが、先程から覇気に似た雰囲気を放っていてどうしても視線を逸らしてしまう。
結果流れ着いた先は左の車体に嵌め込まれている窓であった。
透明なガラス越しに中世ヨーロッパさながらの古臭いようで明るく賑わっている人達が見える。
今更ながらここは俺の知らない土地であることを再認識した。
先程のことである。
俺は見たことのない場所に立っていた。
どのタイミングで、どうやって、この場所に連れてこられたか分からないが、気付いた時にはここにいたのだ。
その2つが不明であれどうであれこの環境でこれから俺は生き抜く必要がある。
認識した後すぐには少しの間混乱したが、気持ちが落ち着いて納得してからは次に為すべきことを考えていた。
むしろ気分が高揚してきたまである。
そしてこれからどうすればいいか、まず周りを見回した。
両左右にレンガ造りの壁。
今俺のいる場所は少し開けたところになっている。
前方と後方に細い道が続いている。
ドラマやスパイ映画で見る、秘密に落ち合うための待合場所のような空間。
そう考えたら胸が踊る。
おそらく昼であろうにも関わらず光の差し込まない裏通り。
夏の夜の虫のように、とりあえず光の見える方向へと俺は歩いた。
だんだんと、そして確実に光は大きくなっていく。
それとともに人々の雑踏、話し声が聞こえるようになってきた。
不安と期待が入り混じった複雑な心持ちのままでゆっくりと足を進めていく。
心臓がバクバクと脈をうっている。
足元の木箱を跨いだのち、光源の通りまで後10メートル程くらいに至った時、突然頭を後ろに強く引っ張られた。
激しい痛みが頭部に走った。
不意のことで歯を噛んだ。
くそ痛い。
引っ張られたというよりは押し倒されたという表現の方が適切だったかもしれない。
ともかく俺は後ろ向きに体重を崩され地面に体を強く打ち付けた。
急にフラッシュした視野がだんだんと正常に戻ったのち、じんわりとした痛みと痛みと共に首筋に鋭いナイフが突きつけられているのが見えた。
「は?」
いや理解不能。
なんだこの状況。
いや分からん。
「……どうします?」
「……」
後頭部に感じた鈍痛はゆっくりと引いていくものの、完全に無くなることは無かった。
そしてだんだんと分かってきた。
今俺にナイフを突きつけている人がいて、その後ろにもう1人誰かいる。
頭部を押さえつけられていて視認することができないが、おそらくもう1人いる。
暗くてはっきりとは認識できないが、その人に確認を取っているようだ。
その二者で何かしらのやりとりがあったに違いない。
シャツの首元を強く握られてそのまま引っ張られた。
ズルズルと地面を引きずられる。
石の凹凸が体に食い込んで痛い。
引っ張られる方向は案の定、光のある方と反対方向であった。
先程の暗闇の中に引きずり込まれる。
痛み。
そして恐怖。
怖い。
まだ死にたくない。
まだ死にたくない!!
突然としてそんな強い感情に襲われた。
どうにか抵抗しようとしてとにかく手足を動かした。
が、その後すぐに強烈な一撃が腹部に食らわされた。
「んガッ…」
俺は沈黙した。
否、させられた。
なんだよこれ……
今後一生といっても良いほどの付き合いとなる名前も知らない彼らとの初邂逅は、散々なものであった。
今日もう一つ投稿します