プロローグ
目に留めていただきありがとうございます。ムラバヤシヨシタカと申します。
前書き堅いですが、本編は楽しく書かせてもらってます。皆様にも楽しんで読んでいただければと思います。よろしくお願いします。
プロローグ
『....った。この世界には、自分が何か特別な力があると、信じてやまない人間は何人いるのだろうか。そして、実は一人一人に特別な力があることに、気づいていない人間は何人いるのだろうか。さらに、その力が本当は必要のない力だとしたら、それに気づける人間は何人いるのだろうか。気づかせてくれる人間が近くにいるのだろうか。その不必要な力から、救ってくれる人間はいるのだろうか。君がこの救いの手になる人間ならば、その手を離さず、守ってやってほしい。』
「はい、おしまい。」
無精髭を生やした男は、いつの時代の物か分からない古い絵本を、静かに閉じた。
「ねー、難しすぎて最後わかんない!」
「えっ、俺らには特別な力があるって事
だろ??俺は分かったぞっ。」
男の前で聞いていた、6歳程の男児達が口々に言う。
「違うでしょ?要らない力を持った人間を、 守れってはなしでしょ?本当に男の子って何にも分かってないんだから。」
一緒に見ていた女児が、澄ました声で反論した。それを聞きながら、男は帽子を深く被りながら立ち上がる。
「感じ方はなんでもいいんだよ。この話を覚えておいてさえくれればね。」
そう言って、男は去って行った。
「変なおじさん」
「分かった!!俺覚えとくっ」
「私は人を虜にする力があるわよ!」
子供達は、去りゆく男の背中に向かって、叫ぶのだった。