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プロシュート  作者: ボクノート
第1章 気づき力
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「夕飯」

俺の中には二つの未来があった。試写会は一度きりだがここで友達の約束を断ればもしかしたら一度きりかもしれない、この問にヒントをくれたのは、咲の何気ない歌であった。咲は歌が好きで日頃からよく口走っている。

「大切なものってなんだろ〜♪一人一人違う道がある〜♪」

俺はなんて愚かだったんだと思った。同時にやればいいんだと、大切なものは全部なくしたくないから全部大切にしようと。なぜこの歌からそんなことを思ったのかは謎である。すぐに顕は池真のとこへいき、

「少ししか入れないけど行こう」

ということができた。もちろんうえはにはこのことを伝えておいた。こういうところだけは真面目である。

掃除が終わり、俺と池真はゲームセンターへ行った。ゲームセンターに行く道中あることが気になっていた。でも、そんなことを気にしていたら楽しく遊べなくなると思った俺は有耶無耶にしてしまったのである。ゲームセンターにつくと一心不乱に遊んでいた。

そのころ、うえはは咲と一緒に買い物をしていた。「うえは、今日も顕にご飯作るの?」

と少し笑いながら咲が聞いた。

「うん」

少し嬉しそうだった。うえははいつも作っているわけではなかった。顕の妹の紗夢から頼まれていたのであった。うえはにとってこの時間が至福のひとときであった。

「今日は何つくるんですか姉御」

「ちょっとやめてよ咲」

と会話が弾むことであった。

買い物を終えて咲と別れた。あたりを見渡すと顕と池真の姿が見えた。顕を呼ぼうか呼ばないか迷っていると、目の前に顕がいた。池真の姿はもうない。

「わっ」

と感嘆な声をあげると、顕は腹を抱えて笑っていた。

「今日のご飯、顕の嫌いなピーマンたくさんいれるからね」

顔を少しピンクで頬を膨らましながらいうと、

「え?今日はうえはがつくるの?」

「そうだよ」

「少し楽しみかも」

顕はうえはの手料理が好きであった。とくにうえはの作るカレーは格別であった。

「少しって何よ!大いに期待しなさい!」

照れくさそうにいった。

「はいはい」

顕はいろはの荷物を何も言わずに持った。

「今日のメニューってなに?」

「カレーかなけどいつものとは少し違うよ」

俺は心の底から叫びたかったちょうどうえはのカレーが食べたかったのだった。

「俺が・・・!当ててみせるッ」

カレーを作ってる間うえはは鼻歌を歌っていた。

「あ、その歌知ってる!なんだっけーほらあれだよあれ」

「あれじゃわからないでしょ。《なくもんか》ね。」

「あ!それそれ」

俺も鼻歌をし始めた。この歌はなんだか俺に勇気をくれる歌のように感じた。うえはがテーブルに目をやる。テーブルの上には昼休みに顕が持っていたノートが置いてあった。

どうしても気になって

「顕、そのノートみせてくれない?」

俺はその返事に少し時間がかかった。

「一つだけ約束してくれる?」

俺がうえはに問うと、うえははすぐに首を立てに振った。

「誰にも見せないでね。」

「わかった。」

すぐに手を洗いうえはは飛ぶようにノートをみた。

ノートを開くとうえはは固まっていた。

「顕、これって小説?」

「まぁ小説だね。正確にはライトノベルっていうんだけどね」

うえはは一生懸命字を目で追った。だがどうしても理解ができない言葉などにあたると時折首をかしげて不思議そうな顔をするそぶりを見せた。

「ライトノベルって難しい言葉を使うんだね」

確かに言われてみれば俺の書いたライトノベルは当て字が多く理解し難い内容もある。これを初めてライトノベルを読んだ人が理解しろというのは無茶な話であった。

「うえははこういう小説に興味ある?」

「あるにはあるよけどここまで難しいと読みたくないかな」

直球的な意見であったがなんか嬉しかった。この本を書いて誰にも見せたことがなかったので、素直に意見をしてくれたのはうえははが初めてであった。

「うえは」

「なに」

「簡単に読めるやつあるから読むか?」

嬉しそうな顔をしながら首を大きく縦に振った。

「ちょっと待ってて」


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