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プロシュート  作者: ボクノート
第1章 気づき力
3/21

「テスト...」

キーコーカーンーコーン

「うぇい!授業終わり!」

池真が空に手を伸ばす。

「ほんとの戦いはこれからだけどな」

顕がボソッというと

「かたいこというなって」

いつもはお昼になると顕は一人で屋上に行き、ご飯を食べている。この学校では昼休みになると、屋上やテラスが開放され、自由に行き来することが出来るが、この学校が創設された当初はよく出ていたそうだが今となってはいない。テラスをつかいものはたまにみかけるが、屋上をつかうものは顕を除いてめったに見ない。ゆわば、穴場スポットであることは間違いない。ましてや、顕は大勢でいることを好まず、一人を好む。決してぼっちという訳では無い。ただ孤独を自ら求めているのだ。

屋上は人工芝でつくられており、南には駿河を、北には富士山を拝むことができる。朝は東より朝日が上り、夕方には真っ赤な夕焼け、夜には満点の星空を見ることが出来る。

そんな屋上ではたまに池真が一緒に行って食べることもある。そのことを知っていたうえはは今日はいつも食べてるメンバーと離れ、屋上へと向かった。ガチャリとゆっくりドアを開けた。するとやはり一人で食べる顕の姿があった。

「顕、いつも一人なの?」

うえはは知っていたうえできいた。

「あぁそうだよ。悪いか」

「別に悪くわないよ」

うえはは顕の隣に座った。海からの風がすっと頬をかすめてゆくとても気持ちのいい場所であった。ふと視線を落とすと、顕の手元にはお弁当と一冊のノートがあった。うえははどうしてもその中身が知りたくなった。

「ねぇそれ見して」

うえはが突然いうと顕はノートを隠し気味に

「なんで」

とテレ気味にいった。そう顕はそのノートでライトノベルを書いていたのであった。だが、うえはにはどうしてもみせたくなかったのだった。

「ま、まぁこれはあれだテスト勉強のノート」

「ならなおさら見せて欲しいよ、わからないところがあるんだよね。」

俺の方が頭が悪いのになぜ見たがるのかという疑問を頭の中に残しそっと心の奥にしまった。

「明日になったらみせる。」

と、つい口から飛び出してしまった。逃げようと思っていったセリフがなんだか歯切れの悪い言葉だったことに驚いた。

うえはは少し待ったあとに

「わかった」

と案外素直に受け入れてくれた。きっとこの言葉の裏にはもっと深い意味があった気がしたが、考えないようにしてしまった。そして俺はお弁当を開く。すると時計の針は昼休み終了の十分前を指していた。


授業開始のチャイムとともにテストが始まった。俺は内心テストなどどうでもよくなっていた。なぜなら、今日は期待の新作ユニボーン百人限定の試写会であった。一年前からずっと待っていた。この抽選に当たってからというもの勉強をおろそかにしてきた。俺にとってアニメは誇りだった。

「はい。やめてください」

担任の合図が教室に響き渡る。テストが終わったのだ。顕は早く教室を出たくてうずうずしていたしかし、なかなか先生がこなく、ホームルームが始まらずにいた。

「顕ーテストできた?」

うえはがまるで背中に羽が生えたかのような声で聞いてきた。きっとうえははできたであろうことを察した俺は、

「テスト簡単だったな。あんなの楽勝や!」

と作り笑顔を浮かべながら、堂々といってのけた。

「じゃあ、負けたらジュース一本ね」

と捨て台詞のように言ってどこかへいってしまった。何も言い返す時間が無くただただ後悔が俺を襲っていた。すると真がきて

「なぁこのあとゲーセン行かない?」

この言葉は重く俺を苦しめた。実のところ俺は友達からの誘いがあまり来たことがなく、

一度断ってしまえばもう来なくなってしまうと思ってた。まるでどこかの落ちぶれた主人公みたいである。

「掃除終わったら教えてくれよー」

「わかった」

と二つ返事をして、その場を去った。


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