「入学そうそう!?」
「顕、そんな調子で朝のテスト大丈夫か?」
と活誠が尋ねると、顕は不思議な顔をして、
「なんのことだ?」
そう今日は、年に数回行われる校内学力診断テストであった。このテストで学年のトップ十番までに入ると、来年の修学旅行の支援金が多くなるというシステムがあり、また最下位のほうでは、エンドレス追試がまっている。この追試組と呼ばれるところに入ってしまうと土日がなくなってしまう恐れがあるのであった。なんとしてでもそれを回避したい顕は、このテストのために必死に頑張って勉強をするはずであったがしかし、アニメを観るという行為に入ってしまいすっかりこの日を忘れていたのであった。
「うえはは大丈夫だよね。」
咲がいった。うえはは常時トップ十番にいてとても頭が良かったのだ。
「うん。でも今回は不安かも。」
「は〜い。みんな席についてェ〜、時間だワよ!」
学級委員の塩 見友が堂々といった。見友は私立駿河丘高校が誇るオネェNo.1であった。よって女子たちはみんな彼女のいうことを聞き、女子の方が強いこのクラスでは男子が負けてるので皆がオネェのいうことを聞くのであった。
「今日のテストは午後からです。午前は普通に授業なので皆さん気を引き締めていきましょう」
担任の緒方先生がそういうとすぐ一時間目の授業が始まった。一時間目が終わると休み時間となった。
顕は机の上で伏せて寝ていた。お調子者の池真がそれを見逃すはずもなく、横っ腹をつねった。すると顕はこの世のものとは思えないくらいの目をして池真をみるなり、すぐに反撃をした。これは毎日のことであった。そのころうえはは午後のテストに向けてのテスト勉強をしていた。咲が、
「うえはって顕のどこが好きなの?」
と聞くとうえはは顔を赤くして、
「ど、どど、どどどうして、そうなるの?」
と慌てて聞き返した。
「誰がどう見たって好きとしか思えないでしょ」
いつも顕のことをみているので、誰が見たって好きとしか思えないのである。まぁまず、顕はそんなこと微塵も感じたことはないのである。でも周りからすればなぜあのなんでもできるうえはがと思う人もいたと思われる。実際うえはは高校に入ってから何度か告白をされていた。しかし、うえはは誰一人としてうなずくことはなかったのである。そうあの学級委員でさえ、うえはに告白をしたのである。でもうえはは顕のことをずっと好きでいたから、誰とも付き合ってこなかったことはいうまでもない。
「顕もおそこまで鈍感だとこっちも笑えてくるよ」
咲がいうと、うえはは少し寂しそうに笑った。