「早起きの辛さ」
いよいよ迎えたテスト当日の朝
「顕起きなさいよ」
時計は遅刻寸前の時間を指していた。
「なんでもっと早く起こさなかったんだよ」
「散々起こしたわよ」
俺は慌てて支度をした。テスト本番なのにこんな調子である。
「鉛筆持った?」
「持った」
「消しゴムは?」
「持った」
「線引きは?」
「持った」
「コンパスは?」
「いらんやろ」
「聞いてるのかなと思って」
「聞いとるわ」
急いで朝ご飯を手に持ち家を出ようとした。
「あ、昼ご飯忘れた」
「大丈夫、私が作ったから」
「さすが」
「テスト終わったら焼肉で」
「はい」
うえはがさすがすぎてなにもいう言葉がなかった。
というか、うえははすごいなと感心していた。昨夜は夜遅くまで俺の勉強に付き合ってくれ、さらにはこうして早く起きてお弁当を作り、俺をおこしに来てくれている。ふと、あれ紗夢はどうしたんだと思っていたら、
「紗夢ちゃんを少しは見習いなさいよ」
「なんでだ」
「顕よりも早く起きてもう学校へ行ったわよ。自分で起きてね」
「そうですよね」
わかっていたことである。俺より遅く起きるはずがないのである。
「ほらいくよ」
うえはに連れられて重たいドアを開けた。