「感情の高鳴り」
「うえは!」
病院につくと俺は叫んでいた。
しかしうえははまだ集中治療室のなかであった。勢いでここまで来てしまいここまでの経路を覚えていない。
「少し冷静になれ」
俺は池真に止められていた。
「ごめん。でも感情が抑えきれないんだよ」
「それはわかるが今は待つしかない」
池真はなぜか落ち着いていた。
俺が感情的になりすぎていたのかもしれない。
あたりを見渡すとすぐ後ろに咲がいた。
咲は泣いていた。
見たことのない光景であった。咲が泣いているなんてみたことがなかった。咲は馬鹿でいつも明るくてそんな咲が泣いていた。
「咲、大丈夫か」
俺はおもむろに聞いた。
「大丈夫なわけないでしょ」
ごめん。
それはわかっていた。
しかしそれは言葉にできなかった。
「一番苦しいのはうえはなんだよ。それをわかってそばにいてあげられないのが辛いの」
それも俺と同じ気持ちだった。
今すぐにでもうえはの顔を見たかった。
そしていつもみたいに馬鹿な会話がしたかった。
そして、そして、そして・・・・・・・
様々な感情がこみ上げていた。
池真も咲も同じであろう。
俺だけがこの感情なわけがない。
すると、
「今看護師さんに聞いてきた」
緒方先生が息を荒くしながら俺らに話した。
「どうやらうえはさんの両親はまだこれそうにない。」
先生はこうも言った。昨日の夜うえはのおばあさんがたまたま家に来たらしい、そのときに苦しんでいるうえはを見て救急車を呼んだ。しかし病院につくと様態が安定して一時病室に入ったがまた様態が急変し今の状況に至る。
集中治療室に入ってからすでに5時間が立っていた。