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いいから魔法を教えやがれ!  作者: サトウユミコ
第一章 無銭飲食の犯人
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犯人の正体

 魔導士ギルドに所属していて、かつ積極的に情報収集しているなら知りえていて当然の情報。

 それはこの国、シュターデ国の宮廷魔導士長の地位に、つい最近、白エルフの魔導士が任命されたことだった。宮廷魔導士になったのもほんのつい最近で、話題にもあがり、全国の魔導士たちを驚かせた。なぜなら白エルフという種族が他の種族の前に姿を現したのが250年ぶりだったからだ。

 白エルフという種族は、白髪に長い耳、高い身長に深紅の瞳、透き通るような白い肌と、まるで絵に描かれたような美男美女ぞろいで、魔法能力に長けているという特徴があった。


「確か、白エルフが宮廷入りしたのが3か月前、宮廷魔導士長についたのがつい最近だったな。名前をファティア。よりにもよって、宮廷魔導士長さんがホスト狂いの食い逃げ犯とは……」

魔法ランプの明かりにノートを照らして、自分の書いたメモを見る。

 エクセルは町の外に来ていた。それも町の大外れの荒れた作地と林の間にある草むらにマントを広げ、ごろんと横になっていた。月はまだ明るい。

「やっと本人に会えると思ったのに、大金をたたきつけて自ら釈放されたとか、なんなんだ一体! だったら酒場で金払っておけっての! ……!」

メモをバックにしまい、中から革手袋を出して、手を通す。腰元に手をやり、今度はショートソードを抜き放つ。キラリと月明りが反射してエクセルのまぶたを一瞬閉ざした。

「寝てなんかいられないよな」

抜き身の剣を持ったまま立ち上がると、周囲の気配に注意する。


 エクセルの持つショートソードは純銀でできており、刃もついていた。通常魔導士が持つ剣とは、儀式用であることが多く、刃はついていない。また、長さも長くて手のひら大であることが多いが、エクセルのそれは肘から手の先までほどの長さがあり、より実戦向けであるといえた。この長さがあるからこそ魔導士ギルドで冒険者扱いされていた。

 両手でしっかりショートソードを持ち直し、やや腰を落として息を殺す。


 ぐるる……


 肉食獣の喉を鳴らす音が聞こえ始めていた。


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