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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
9/80

9、兄妹喧嘩勃発

しばらく更新できなくて、すみませんでした。


タイトル、中国語っぽいですけど、普通に日本語なんで、ご了承くださいませ……。


 「おはよう、ソラにぃ。珍しく早起きだね」

 「珍しくは余計だよ。俺だって、たまには早く起きるさ」

 「そりゃそうよね。だって今日はソラにぃが当番だもの」

 「……昨日の夕飯は俺に作らせたくせに……」

 「何か言った? ソラにぃ」

 「いえ! 何でもございません、大佐!」

 「……大佐?」

 妹の視線が朝から痛い……。ていうか、メッサ冷たい。

 「ふぁああ、……おはようございます、ソラ様」

 「おはよ、ローグ」

 「飯はまだか」

 「朝の挨拶くらいできねぇのかよ、ウネ」

 「う、ウネ!?」

 「だって、長いから略して呼ぶ事になっただろ?」

 「私は了解など―――」

 「してないって言ったら、今日のご飯は妖精のソテーね」

 「すみませんでした、閣下!」

 「……大佐の次は閣下?」

 ま、まあ、それぐらい恐ろしいって事だよ、妹よ。

 あれ? そいえば、なぜウネビガラブがウネになったのか、説明してなかった気がするぞ。

 簡単に、そして気分転換に説明します! えっとですね、昨日の晩の事なんですが、我が妹曰く「ウネビガラブじゃ、名前が長い。覚えにくい!」って事で、ウネになりました。

 え? よくわかんねぇよ? ……単刀直入に言います。ただ単に、名前を略しただけです。ウネビガラブだから、ウネ。もしくは、ウネちゃん。テキトーに使い分けてやってください。

 「で、今日のご飯はー?」

 「チャー」

 「ハンだったら、私家出します」

 「えぇ!?」

 「『えぇ!?』じゃないでしょ! なんで、チャーハンしか作れないの? もっとレパートリー多くてもよくない!?」

 「えー。だってさ、簡単だし、残り物で作れるし……。いいよ、チャーハン」

 「そーゆー事じゃなくて! 他の料理を作ろうとは思わないの?」

 「うん」

 「我らが日本食にチャレンジ、とか」

 「全然」

 「たまには洋食にチャレンジ、とか」

 「全く」

 「じゃあ、もう少し中華料理のレパートリーを増やしてみよう、とか」

 「論外」

 「……じゃあね、短い間だったけど、お世話になりました」

 そう言って、妹は旅立っていきました。って、だめだよそんなの!

 「ちょ、ちょ待って! 待てって!!」

 「止めないで! 私は、……私はもう……チャーハンなんて嫌い!」

 「チャーハンをなめちゃいけないよ! あいつは結構使えるんだ。ちょっとめんどくさい時、そんな時、あいつの出番がやって来るんだぜ!」

 「めんどくさくなくたって、ソラにぃが当番の時はいつもチャーハンじゃない! 毎朝毎晩、チャーハンじゃない!」

 「アレはただのチャーハンじゃない! 地中海風チャーハンに、海鮮チャーハンだよ!」

 「結局はチャーハンじゃない!」

 「一味違ったチャーハンだ! それを忘れちゃいけない!」 

 「何よ、さっきから、チャーハンチャーハン! 私とチャーハン、どっちが大切なの!?」

 「そ、それは……」

 きゅ、究極の選択だ! 簡単お料理、適当な材料があればすぐに出来る、主夫の味方のチャーハンか。それとも、血の繋がっているたった一人の肉親か……。こ、これは、重要な選択だ……!

 「お、オレァ……」

 「俺は?」

 「俺はぁ……」

 優しいチャーハンも捨てがたい。だけど……。

 ど、どうすればいいんだ? 俺は、一体、どうすれば……!

 こ、これは……困った人間の手にだけ現れる、伝説のカードではないか!?

 「さあ、どうするの? ソラにぃ」

 その伝説のカードが今俺の手に……って事は、俺って困ってるって事!? マジで!? ヤベ、なんか嬉しい……。

 えっと、選択肢は……っと。

 『チャーハン』

 『妹』

 『他の料理にチャレンジ(和風)』

 『他の料理にチャレンジ(洋風)』

 『右から左に受けながすぅ〜♪』

 ……最後のってあり!?

 こ、こういう時は、ナレーター的存在の人が、「WEBへ続く!」て言ってくれるはずなんだけど……。いないよね、ナレーターなんて……。

 「ソラにぃ! いい加減にしないと、本当に出てくよ!」

 「ま、待て! ……分かったよ、俺は……」

 「俺は?」

 「俺は……大切な……大切な………………………………………………………チャーハンを選ぶ!」

 「「そっちかよ!!」」

 んむ? 見事なハモりは、ローグとウネ? ……あ、存在をすっかり忘れて言い合ってたよ。

 「それだけタメといて、私を選ばないなんて、最低!」

 「チャーハンを甘く見るウミも悪い!」

 「私は悪くない! 私はただソラにぃに……!」

 「なんだよ」

 「……」

 「沈黙という技は卑怯なので、失格とみなしますよ?」

 「誰に言ってんのよ」

 「ん? ローグ裁判官と、ウネ補佐官」

 「「ええ!?」」

 おお、全く同じリアクション! ある意味奇跡。ていうか、メッチャ奇跡。

 「どうなのよ、ローグ裁判官!」

 「えっと、ですわね……どうしましょう」

 「はっきりなさってください! で、あんたはどうなの、補佐」

 「我だけぞんざいな扱いなのは何故じゃ!」

 「いいから早く答えなさいよ、かったるいわね」

 「……では、沈黙はなし。それでいいな」

 「うおっしゃ!」

 「チッ……」

 悔しそうにウミが舌打ちをして、鋭い目線で睨み付けてきた。怖いから目をそらすと、ローグが右頬に自分の人差し指を当てて、不思議そうに首を傾げていた。

 「……と、言いますか、ソラ様達は、学校という所に行かなくていいんですの?」

 「「はい?」」

 おお、さすが妹。見事なハモりだ。褒めてつかわそう。

 「ありがた迷惑よ」

 「俺まだ何も言ってな―――」

 「言ってないつもりでも。ブツブツ言ってました。伝説のカードがどうとか……」

 そ、そこから言ってたのか!

 「驚かなくてもいいでしょ?」

 「あの、―――」

 「驚くよ! 絶対に驚くよ!」

 「ソラにぃが鈍いだけよ!」

 「んだと!?」

 「何よ!?」

 「もう、7時過ぎてますわよ!」

 「「What!?」」

 「お二人が言い合いをしているうちに、もうとっくに過ぎましたわ!」

 「早く言いなさいよ、そういう事!」

 「遅刻だぁぁぁ! 遅刻記録更新だぁぁぁぁぁ!!」

 てな感じで、全く関係ないけれど、兄妹喧嘩は終幕を迎えました……。

 ってこんな呑気にしてられない! 遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

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