9、兄妹喧嘩勃発
しばらく更新できなくて、すみませんでした。
タイトル、中国語っぽいですけど、普通に日本語なんで、ご了承くださいませ……。
「おはよう、ソラにぃ。珍しく早起きだね」
「珍しくは余計だよ。俺だって、たまには早く起きるさ」
「そりゃそうよね。だって今日はソラにぃが当番だもの」
「……昨日の夕飯は俺に作らせたくせに……」
「何か言った? ソラにぃ」
「いえ! 何でもございません、大佐!」
「……大佐?」
妹の視線が朝から痛い……。ていうか、メッサ冷たい。
「ふぁああ、……おはようございます、ソラ様」
「おはよ、ローグ」
「飯はまだか」
「朝の挨拶くらいできねぇのかよ、ウネ」
「う、ウネ!?」
「だって、長いから略して呼ぶ事になっただろ?」
「私は了解など―――」
「してないって言ったら、今日のご飯は妖精のソテーね」
「すみませんでした、閣下!」
「……大佐の次は閣下?」
ま、まあ、それぐらい恐ろしいって事だよ、妹よ。
あれ? そいえば、なぜウネビガラブがウネになったのか、説明してなかった気がするぞ。
簡単に、そして気分転換に説明します! えっとですね、昨日の晩の事なんですが、我が妹曰く「ウネビガラブじゃ、名前が長い。覚えにくい!」って事で、ウネになりました。
え? よくわかんねぇよ? ……単刀直入に言います。ただ単に、名前を略しただけです。ウネビガラブだから、ウネ。もしくは、ウネちゃん。テキトーに使い分けてやってください。
「で、今日のご飯はー?」
「チャー」
「ハンだったら、私家出します」
「えぇ!?」
「『えぇ!?』じゃないでしょ! なんで、チャーハンしか作れないの? もっとレパートリー多くてもよくない!?」
「えー。だってさ、簡単だし、残り物で作れるし……。いいよ、チャーハン」
「そーゆー事じゃなくて! 他の料理を作ろうとは思わないの?」
「うん」
「我らが日本食にチャレンジ、とか」
「全然」
「たまには洋食にチャレンジ、とか」
「全く」
「じゃあ、もう少し中華料理のレパートリーを増やしてみよう、とか」
「論外」
「……じゃあね、短い間だったけど、お世話になりました」
そう言って、妹は旅立っていきました。って、だめだよそんなの!
「ちょ、ちょ待って! 待てって!!」
「止めないで! 私は、……私はもう……チャーハンなんて嫌い!」
「チャーハンをなめちゃいけないよ! あいつは結構使えるんだ。ちょっとめんどくさい時、そんな時、あいつの出番がやって来るんだぜ!」
「めんどくさくなくたって、ソラにぃが当番の時はいつもチャーハンじゃない! 毎朝毎晩、チャーハンじゃない!」
「アレはただのチャーハンじゃない! 地中海風チャーハンに、海鮮チャーハンだよ!」
「結局はチャーハンじゃない!」
「一味違ったチャーハンだ! それを忘れちゃいけない!」
「何よ、さっきから、チャーハンチャーハン! 私とチャーハン、どっちが大切なの!?」
「そ、それは……」
きゅ、究極の選択だ! 簡単お料理、適当な材料があればすぐに出来る、主夫の味方のチャーハンか。それとも、血の繋がっているたった一人の肉親か……。こ、これは、重要な選択だ……!
「お、オレァ……」
「俺は?」
「俺はぁ……」
優しいチャーハンも捨てがたい。だけど……。
ど、どうすればいいんだ? 俺は、一体、どうすれば……!
こ、これは……困った人間の手にだけ現れる、伝説のカードではないか!?
「さあ、どうするの? ソラにぃ」
その伝説のカードが今俺の手に……って事は、俺って困ってるって事!? マジで!? ヤベ、なんか嬉しい……。
えっと、選択肢は……っと。
『チャーハン』
『妹』
『他の料理にチャレンジ(和風)』
『他の料理にチャレンジ(洋風)』
『右から左に受けながすぅ〜♪』
……最後のってあり!?
こ、こういう時は、ナレーター的存在の人が、「WEBへ続く!」て言ってくれるはずなんだけど……。いないよね、ナレーターなんて……。
「ソラにぃ! いい加減にしないと、本当に出てくよ!」
「ま、待て! ……分かったよ、俺は……」
「俺は?」
「俺は……大切な……大切な………………………………………………………チャーハンを選ぶ!」
「「そっちかよ!!」」
んむ? 見事なハモりは、ローグとウネ? ……あ、存在をすっかり忘れて言い合ってたよ。
「それだけタメといて、私を選ばないなんて、最低!」
「チャーハンを甘く見るウミも悪い!」
「私は悪くない! 私はただソラにぃに……!」
「なんだよ」
「……」
「沈黙という技は卑怯なので、失格とみなしますよ?」
「誰に言ってんのよ」
「ん? ローグ裁判官と、ウネ補佐官」
「「ええ!?」」
おお、全く同じリアクション! ある意味奇跡。ていうか、メッチャ奇跡。
「どうなのよ、ローグ裁判官!」
「えっと、ですわね……どうしましょう」
「はっきりなさってください! で、あんたはどうなの、補佐」
「我だけぞんざいな扱いなのは何故じゃ!」
「いいから早く答えなさいよ、かったるいわね」
「……では、沈黙はなし。それでいいな」
「うおっしゃ!」
「チッ……」
悔しそうにウミが舌打ちをして、鋭い目線で睨み付けてきた。怖いから目をそらすと、ローグが右頬に自分の人差し指を当てて、不思議そうに首を傾げていた。
「……と、言いますか、ソラ様達は、学校という所に行かなくていいんですの?」
「「はい?」」
おお、さすが妹。見事なハモりだ。褒めてつかわそう。
「ありがた迷惑よ」
「俺まだ何も言ってな―――」
「言ってないつもりでも。ブツブツ言ってました。伝説のカードがどうとか……」
そ、そこから言ってたのか!
「驚かなくてもいいでしょ?」
「あの、―――」
「驚くよ! 絶対に驚くよ!」
「ソラにぃが鈍いだけよ!」
「んだと!?」
「何よ!?」
「もう、7時過ぎてますわよ!」
「「What!?」」
「お二人が言い合いをしているうちに、もうとっくに過ぎましたわ!」
「早く言いなさいよ、そういう事!」
「遅刻だぁぁぁ! 遅刻記録更新だぁぁぁぁぁ!!」
てな感じで、全く関係ないけれど、兄妹喧嘩は終幕を迎えました……。
ってこんな呑気にしてられない! 遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!