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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第一章 妖精との出会い
8/80

8、妹は強し……。

更新がすっかり出来なくて、すみませんでした……。

 「で、見つかったんだね、この子」

 「この子ではない、ウネビガラブじゃ、少女」

 「……あの、少女じゃないんですけど」

 「じゃあ、なんと呼べと?」

 「んー、そうねぇ……」

 やっと見つかった一人目の仲間のウネビガラブは、結構お堅い方らしく、会話がはかどりません。ていうか、話を進める前に名前を覚えて欲しいよ。

 「下呼びでいいよ、真璃で」

 「じゃあ、真璃と呼ばせてもらおう。そっちの少年は?」

 「波月です。ヨロシク」

 「じゃあ、主は波月じゃな」

 「なんで! 俺は青年なのに!」

 「でかい声を出すな、周りに迷惑であろう。青年」

 「……うぅ」

 た、確かに、他の人から見れば、空に向かって叫ぶ変な人にしか見えない。てか、絶対そう見られてる。ちなみにここはいつものマック。お気に入りです。

 「で、他の奴らどうしたのじゃ? まさか見失ったのか?」

 「勝手にアナタ達が行ってしまうのが悪いんですの! 私、一人で寂しかったんですのよ!」

 「それはお前が悪いのだ。ちゃんと目的地も探さずに彷徨うなど、旅人において許せない行為じゃ」

 「旅人じゃないからいいですわ!」

 「それでも、迷ったのはお前のせいじゃろ!」

 「勝手に行っちゃう人達もどうかと思いますわ!」

 「ああいえばそういう、だからお前は嫌いだ!」

 「私だって、アナタの事嫌いですの!」

 「まあまあ、落ち着いてよ二人共」

 「ソラ様は黙ってらして!」

 「青年よ、首を挟むではない!」

 「……俺って、いつもこんなキャラ?」

 自分が、すごく哀れになってきたよ。……ああ、ヤベェ。ネガティブになっちゃいそう。

 「とりあえず、場所を変えたほうが話しやすそうだね」



 と言う、優しい優しい波月のお言葉で、それは何故か分からないけれど、俺の家へとやって来ました。あ、用があるとかで、波月は帰りました。その後、何故か矢吹も帰りました。

 で、結局俺だけ。だから、俺の家に来るのは当然ですね。当たり前すぎますね。

 「お帰りソラにぃ!」

 あぁ妹よ、帰ったぞ。それを言う前に、

 「うむ、意外と広いの」

 って、ウネビガラブに先に言われてしまいました。

 「ソラにぃ、また変なの連れてきたわね?」

 「あのさ、結構前に言ったと思うけど、その、ね?」

 だからさ、あの、説明しますから、とりあえずその恐ろしい拳をどうにかしてください。ついでに殺気も消してね。お願い。兄は怖くて怖くて仕方ないよ。



 「と言う訳でしてね、こうなりました」

 「全然分からないんだけど? ちゃんと説明してって言ったよね?」

 「え、でもさ。回想の部分で事細かに……」

 「どの部分? ていうか、この世界に回想なんて甘ったるいシステム、ありません!」

 「え!? じゃあ、今までのは何だったのさ」

 「適当に誤魔化しときなさい。ただ単に行を開けてみたとか、意味もなくやったんだとか。考えれば、いろいろ出てくるわよ」

 なぁ、我が妹よ。その中に一つもポジティブな考えのものがないのは、何故なんだい?

 「ともかく、私はこのちっこいのにうろちょろされるのは癪に障るわ。出て行く、もしくはこの家で働いてもらうわ」

 「そんな、無茶なぁ」

 「ソラにぃ、きちっとしなさい、きちっと!」

 「ありありさぁ……」

 「……働くって言うのは、実体化すればできますのよ?」

 「「ふ〜ん」」

 右から左へ受け流す、俺とウミ。

 ……って、へ? 何だって?

 「今、実体化って言った?」

 「言いましたの」

 ウミの質問に、快く答えるローグ。

 「そうすれば、仕事できるって?」

 「ええ、そうですの」

 俺の質問にも、快く答えてくれました。

 ……って、そういう問題じゃなくて、そういう事ってもっと早く言うべきじゃね!? てか、できれば出会った時に言うべきだったよね!?

 「どうしてもっと早く言わなかったの!?」

 「隣に同じく!」

 「え? だってそんな事、どうでも良い事でしたから」

 「いやいや、どうでもよくないよ? 良くないようで、実はかなり重要だったよ?」

 「あら、そうでしたの」

 「『そうでしたの』じゃないわ! 実体化できるんだったら、早くなってよ!」

 「は、はいですの! 分かりましたの」

 そう言って、ひらひら机の上に舞い降りて、ローグと(無理矢理)ウネビガラブは、目を閉じた。何かを囁くように口が動いているのは分かるけど、それ以外何も分からない。

 「ねぇ、ソラにぃ。テーブル、壊れないかな?」

 「きっとそこまで大きくならないよ。……多分」

 俺らぐらいの大きさになられると、かなり困るけどなぁ。貧弱なテーブル君の事だから、すぐに折れちゃうかも……!?

 いつの間にか輝きだしたローグは、煙に包まれて消えた。

 ……え? キエタ? キエタノ? えぇっ!? 消えた!?

 と、思ったら―――。

 「What!?」

 テーブルがきしんだ音と同時に、再び二人は現れました! あぁ良かった良かった!


 メキメキ……バキッン!!


 ふ、不吉な音が聞こえたような……。

 「!! ノーーーーーーーーーーーーーーーーウッ!」

 見事に真っ二つにテーブルが割れてましたよ、えぇ綺麗に半分こですよ。

 ああ、生活費が……生活費が、削られ……。

 「ソラにぃ? ソラにぃ!? 気を確かに!」

 「……ああ、親愛なる妹よ。もう、俺らの家庭は崩壊だ。ホームレス生活へ出発進行だよ」

 「何弱気な事言ってるの! バイトすれば、何とかなるって!」

 「……俺、まだ中三だから、そゆの無理……ああ、もう絶望だ」

 「不吉だよ! 不吉だよ、ソラにぃ! 絶望だなんて、言わないでよ!」

 「じゃあ、大凶を引いた、受験生のとある日?」

 「それもそれで不吉だよ!?」

 「だったら、受験日の日に滑って転ぶという醜態を晒した受験生?」

 「そんな人いるの!? じゃなくて、そんな事じゃなくて、もっとポップに!」

 「ポップに不吉な事を言えばいいんだね、了解」

 「いいよ! もう何も言わないで、ソラにぃ! 私まで気分がブルーになりそうだから」

 「そっか」

 「あ、あの〜……実体化、してみたんですけど?」

 何だね、悪の元凶よ。俺はもう疲れたんだ、もう眠らせておく……

 「れ!?」

 な、なな、ななななな、ななな!!

 何が言いたい!? とか疑問に思わないでください。ちゃぁんと、後で説明しますんで。

 「……誰」

 冷たいよ一言が、我が妹よ。

 「えっと、私はローグですの。こっちのいじけているのが、―――」

 「いじけていない。ただのウネビガラブだ」

 「「……えぇっ!?」」

 さすが妹。良くぞハモってくれました。

 って、事じゃなくて。この子、誰? って、ローグか。その隣は、ウネビガラブ?

 ローグもウネビガラブも、小さかった妖精の姿を、そのまま大きくしただけみたいな格好だった。てか、多分、そのまま大きくなっただけ? 見た目は、同い年に見える。え? どっちの同い年? もち、俺ですよ。

 「実体化は好きじゃないのだ。気にくわん、このドレス」

 「だって、それがしきたりですの。仕方ないですわ」

 「お前に文句をつけて変わるのなら、世界も変わろうぞ」

 「それ、どういう意味ですの!?」

 「そういう意味じゃ」

 「何ですの!?」

 「何じゃコラ!」

 ……実体化しても、性格とかは変わらないのね。

 「大きくなったんだから、ホラ、仕事を手伝いなさい! ローグは皿洗い、ウネビガラブは部屋の掃除。分かった?」

 「何故私が皿など洗わなくてはならないんですの!?」

 「我は掃除など大嫌いじゃ!」

 「そ。じゃあ、出てけ」

 冷たっ! たったそれだけの言葉なのに、棘がありすぎて痛いよ!

 「「それは」」

 「文句、あんの?」

 「「いえ、何でもございません」」

 うわぁ〜、可哀相。絶対こき使われるよ、ローグとウネビガラブ。

 って、あれ? 仕事をあげたって事は、ローグ達をここに置いてもいいって事か!?

 「ウミ! いいのかい!」

 「何よ今更。仕方ないじゃない。ソラにぃの頼みだし、断らないよ」

 「うぅ、いつもこうだとありがたい」

 「何か?」

 「い、いえ! 何でもございません!」

 「じゃあ、ソラにぃも自分の部屋掃除、それと私の部屋も掃除しといて。終わったら、夕飯の買出しね。帰ってきたら、洗濯物干して、お風呂を洗う事。洗い終わったら、夕飯の用意よろしくね」

 「……それ、俺の部屋掃除以外、ウミの仕事じゃ……」

 「何か?」

 「いえ! 何でもございません!」



 今日で分かった事。妹に逆らうべからず。必ず神の鉄槌、もしくは天罰が下る。

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