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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第一章 妖精との出会い
7/80

7、橙、発見!

 あっさくっさ♪ あっさくっさ♪ たっのしいっなぁ〜♪

 何でも食べましょ、よく噛んでぇ〜♪ みぃんな揃って、ご〜あいさつぅ♪

 ランララ、ランララ♪ ラン♪ ラン♪ ラン♪


 なぁんて、鼻歌歌ってたら、矢吹に思いっきし頭叩かれました。

 「あんたね、目的忘れるなって言ったら、何度言ったら分かるの?」

 「俺が覚えるまでだね、うん」

 って言い返したら、

 「ホント、マジありえないほど馬鹿!」

 って、また叩かれました。

 うぅ……。俺の頭はタンバリンじゃないのに。もしくは、シンバル?

 「あ、アレじゃないか、雷門」

 「「「おぉ〜!!」」」

 今回はローグともかぶったから、『ゲッ』とは言えない……。

 「思った以上に……」

 と、矢吹。

 「おおっきいですわぁ……」

 と、ローグ。

 うん! ナイスコンビネーション!!

 「確かに、デカいなぁ」

 横一列に、波月、俺、プラス肩にローグ、矢吹の順で並んで人通りの多い中、まじまじとそれを見ていた。だってさぁ、まだ全然遠くなのに、存在感、アリアリ? てか、威風堂々?

 ……なんか、意味が違う気がしないでもない。

 「ていうかさ、この人の数の中でこぉんなちっちゃい、ローグの仲間見つけられるの?」

 矢吹がローグを見ながらそんな事を言う。まあ、確かにちっちゃい。だって、掌サイズだからねぇ。

 「そうですわねぇ。人に紛れていては、ここにいるかどうかさえ、確認できませんわ」

 「なあ、仲間を呼んだら、来たりしないのか?」

 「う〜ん、どうでしょうか? 人の声に邪魔をされなければ、簡単なんですけど……」

 「人にしゃべるなとは言えないからな」

 「じゃあ、いっその事、夜中とかに来る?」

 「帰りの電車がないよ。それに、人がいなくなるまで待ったとしても、いつになるか分からない」

 真剣ですねぇ、2人とも。俺はこういう考えるのは苦手だから、茶でも啜って待ってるかな。

 「ねぇ、有澄! あんたも少しは考えなさいよ!」

 「え!?」

 「何よその驚き方は。まるで、『自分は聞かれる事がないから、茶でも啜ってよ』みたいに思ってたようね」

 「……」

 ひゃ、120%正解なんですけど……!

 「黙ったって、あんた……もしかして図星!? マジありえない!」

 「ず、ずぼひひゃないやい!」

 「言えてないし! どんだけ焦ってんのよ、あんたは!」

 焦らせてるのはどっちだ、この野郎! ふざけるなよ、この野郎! 心臓に悪いだろ、この野郎ぉ!

 「はぁ〜〜〜。ホント、使えないわね」

 「悪かったな」

 「……はぁ」

 そ、そこまでため息をつくなよ! 俺の幸せまで逃げそうじゃないか!

 「何とかこの人込みの中から、探すしかないのでしょうか」

 「そうなるかな」

 「そうするしかないわね」

 と言う訳で、俺の意見なんて言う暇もなく、探す事に決まりました。いや、訂正。俺の意見なんて聞く気もなく、そう決まりました。

 で、波月と俺、矢吹とローグがペアになって探す事になったけど……。

 「私はソラ様といたいです!」

 というローグの涙目にやられ、波月と矢吹、俺とローグのペアになっちゃいました。

 「何残念そうにしてんのよ。変態」

 「うっさい」

 「まあまあ。早くローグの仲間探して、帰ろうよ」

 「「アイアイサァ」」

 って、ローグと矢吹は言ったけど、

 「ありありさぁ」

 って、俺だけが言った。あれ、どうしてだろう。なんだかとても寂しいぞ……。



                 〜 数時間後 〜



 一人フラフラ(正しくは2人?)していても、一向にお仲間さんは見つからなかった。てか、いない。てか、いたとしても見えない。ツアーの外国の方やら、キャピキャピしたおばちゃん達やら、修学旅行生みたいな人達やらで見つかりそうにない。

 「そ言えば、今探してる仲間って、何色?」

 「何色?」

 「あー、誰って事」

 「ああ、そういう事ですわね。えっと、ウネビガラブですわ」

 「何色?」

 「えと、それは担当の色の事、ですわよね?」

 「もちろーん」

 「橙ですわ。私と見た目はほとんど同じですの。オレンジのドレスに、長いオレンジの髪をポニーテールにしてますの」

 「ふむふむ」

 「で、目はパッチリしていて、綺麗な橙色ですわ」

 「じゃあ、あんな感じの?」

 人々の間を縫うようにして浮いている、飛行物体を指しながら言った。それを例えるなら、……オレンジ色のちっさい風船?

 「ええ、そういう感じですの。……って、ソラ様! 見つけてたなら、早く言ってくださいですの!」

 「だって、違うかもしれないじゃん」

 「違う事なんてありません!」

 「え、ゴメン」

 「謝ってる暇があったら、早く追ってくださいですの!」

 「ありありさぁ」

 って、言ったものの、人が多すぎて動きにくい。もっと減らねぇかな、人。

 「もう、じれったいですの! 私が行きますの!」

 てかさ、元からそうしてれば良かったんじゃね?

 いいなぁ、俺も飛びてぇなぁ。てか、何故に飛べるんだろ。ローグに羽はないのに。

 「ウネビガラブー! ウネビガラブーー! ウネビガラブッ!」

 ……最後の方、逆ギレ気味に聞えたのって俺だけ? いや、きっと俺だけじゃないよな。うん、きっとそうだ、そうだよ。うん……。



 「……ふぅ、やっととうチャック!」

 ウネビガラブっぽい妖精と、ローグの隣にやっと来れた。結構時間かかったなぁ。やっぱ俺、人多いトコ嫌いだな。

 「誰だ、これは?」

 う〜ん、偉そうだな、このガキ! ていうか、妖精?

 「これじゃありませんわ。ソラ様ですの」

 「空?」

 「いえ、ソラ様です」

 「蒼い奴じゃなくて、これか?」

 これ言うな、俺は人だぞ。

 「そう、これですの」

 ローグ、お前までこれって言ったら、俺の立場ないじゃん……。

 「ところでお前はちゃんと満喫してるか? 人間界ライフ」

 ……カッコよく言ってるつもりっぽいけど、なんだかダサく聞こえる。

 「おいそこ。ダサいとか言うでない!」

 「す、すみません!」

 ありゃりゃ? 俺、ダサいって口で言ってないんだけど。もしかして本当はしゃべってた? 独り言的な感じで。

 「いや、我は読心術が得意なのじゃ。気にするな、少年よ」

 少年じゃない! 確かに幼い顔してるかもしれないけど、少年なんかじゃないやい!

 「じゃあ、なんじゃ?」

 青年です!

 「そうか。ならば、青年と呼ばせてもらおう」

 え、名前じゃなくて、あえて青年?

 「あえて青年じゃな」

 ……今更って思うかもしれないけど、心の中で話すのって、なんだか複雑。

 「ホントに今更じゃのぅ」

 「すみませんですの。私、会話についていけないんですけれど……」

 「そうか、お前は読心術ができんからの。まあ、他愛もない話だ、気にするでない」

 「そう言われると、気になりますの」

 「気にするなと言われておるのじゃ、気にするな」

 「嫌ですわ。話してた内容、詳しく教えていただきましょうか」

 もしかして、この二人って、仲悪い?

 「そう、そのとおりじゃ。私は、この威張りくさった感じが嫌いなのだ」

 「誰が威張りくさってますの? 貴方の方が偉そうですわ!」

 「失礼な! 戯言も大概にしろと、いつも言っておったであろう!?」

 「そんなの知りませんわ! それよりも、あなたの言う事など、さらさら聞く気はありませんわ!!」

 「なんじゃと!?」

 「なんですの!?」

 あの……俺がいる事を忘れられると、立場がかなり苦しくなるんですけど。ていうか、もう十分に苦しい状況なんですけど。

 「……ああ、すまぬな、青年。ついついこいつ相手だと話しすぎてしまうのじゃ」

 「すみませんね、ソラ様。さあ、みんなの所へ戻りましょう」

 て訳で、とりあえず、仲間一人、回収できました。

 「回収?」

 あ、すみません、ちょっぴり失礼だったな。仲間一人、発見いたしました。残りは、あと、5匹です。

 「5匹?」

 ……残りはあと、5人です。今は、赤と橙だけだけど、早く全色集まるといいなぁ。

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