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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
最終章 ユネプロミス―約束―
63/80

特別編 虹の平凡ではない一日。 中編

夜分遅くに投稿失礼しまする。

本当は昨日投稿しようとしたのですが、うっかり寝てしまったので今日投稿させていただきました。


さて、前書きはこれくらいにして、本編へどうぞー!


 あまり大勢で歩くのも他の人の迷惑になると言う事で、2,3人程度に分かれる事になったのはいいが、そこから先が不安だらけだ。まず、グループ1として、俺、明、零、ソラ君。このメンバーはまあいいだろう。ソラ君がテンパってなければ。次にグループ2、炎人、未来、殊日、奈津君。炎人が屋台を潰さない事を祈るしかねぇだろうな。グループ3は、狼牙、由美、ウミちゃん。とりあえず、ウミちゃん頑張れ……。最後に千、千里、真璃さんだ。あの双子、何をしでかすか分からないけど、きっと大丈夫だと俺は信じてるぞ。勝手にどこかに行った凛水達は知らん。死にはしないだろう、こんな平和な祭りで。

 そうして散り散りに散って行った訳だが。

 「な、なんでなんだっ……」

 「さすがねぇ、零牙。褒め称えてあげるわよ」

 「運がないって言ってたけど、本当だったのね……」

 そう、俺の手には白紙のくじがある。白紙だぞ、白紙! ハズレより最悪じゃないか? ていうか何で白紙なんて入ってんだよ!

 「すまんなぁ、あんちゃん。手違いで文字が印刷されてなかったみたいだよ」

 くじ引き屋のおっちゃんが頭をかきながらそう謝った。『ハズレなし!』なんてデカデカと宣伝しておきながら、これはない。

 「お、俺のあげますから」

 「いいよ、ソラ君。気遣い有難うな」

 結果は明が1等の大きなクマのぬいぐるみを当て、零が4等のおもちゃの風船で出来た剣を当て、ソラ君も零と一緒の4等で同じものの色違いをもらい、俺はまさかの白紙。あぁ、何も書いてなかったよ。ドキドキして損したよ! 無駄に緊張しすぎて、逆に恥ずかしいくらいだ……。

 「にしても、白紙当てるのもある意味すごいんだから、記念に残しておけば?」

 「断固断る!」

 嫌な思い出しか黄泉がえらねぇだろ、どう考えても。白紙くらいならハズレと書かれていた方がよかった。

 「はぁぁ……」

 「そんなため息つかないでさ、祭りを楽しもうよ!」

 零が俺を励ますように肩をたたく。そうだよな、折角の祭りだ。楽しまないといけねぇよな。

 「よし、じゃあ次はあっちのくじ引きだ!」

 「どっちにしろハズレでしょうね」

 明が何か言ったが気にしない! ソラ君があわあわしているのはさっきからだからもう知らない! 今の俺はくじ引きの事だけ考えてやるぜ! 打倒くじ引き! 抜け出せ連敗!



                      *



 俺達は両手に戦利品を携えて、上手く人を避けながらお世辞にも広いとは言えない道を進む。屋台が所狭しと並んでいるが、人で覆い隠されてしまうほど賑わっていた。

 「さぁて、次はなにすっか」

 「んー、金魚すくい以外ならなんでも♪」

 「なんで金魚すくいはダメなんだ?」

 「だってポイがすぐ破けちゃうんだもんっ」

 「結構コツがいりますからね」

 ほとんどやりたかった屋台は回りきったし、金魚すくいを抜きにするとまた同じのやらないといけねぇから、潰しちまいそうなんだよなぁ。まあ、食べ歩けばいいんだけどな。

 「ん、射的か」

 こじんまりとしていて、あまり目立たない屋台だったから、気付かなかった。

 「少しやってくか」

 「うん♪」

 「殊日と奈津君もするだろ?」

 「ちょっとだけなら」

 「オレは遠慮しておく……」

 両手を振って、殊日は後ずさりしていく。なんだ、怖いもんでもあったか?

 「えー、やろうよぉ。一回だけでいいから!」

 「でもさ、ほら、他にもいろいろ回りたいとかさ」

 「後でもいいんだし、一回だけやっておいても損はねぇんじゃないか?」

 「……そこまで言うなら、一回だけな。後悔するなよ!」

 その言葉の真偽を知る事になるのは、数分後の事である。



                    *



 「はぁ……はぁ……。ね、ねぇ。ちょっと休まない?」

 「あ?」

 くじ引きと言う看板を出している店を、おそらく全部見終わった頃、明がそう言った。

 「まだまだ祭りはこれからじゃないですか!」

 5勝2敗の零は、元気なこった。全敗の俺の気持ちも察してもらおうか。

 「結構歩き回った事ですし、どこかで一息つきますか?」

 何気なく負けなしのソラ君が、重そうな明の当てた景品を持ちながら、おそらく俺らに問うた。

 「ど、どうせ、零牙は、ハ、ハズレしかでないんだから、諦めなさいよねっ」

 「もしかしたら当たるかもしれねぇだろうが!」

 「零牙が、くじ引きで当たりでたら、地球が、ひ、ひっくり返るわよ」

 「……俺に希望を持たせる気はないのか?」

 「ない! 代わりに私に休息を!」

 と、言う事で、川辺で休む事になった。ソラ君は飲み物を買ってくる言って、どこかへ行ってしまった。取り残された俺達は、アーチ状の桜の木の下のベンチに座った。風が吹くたびに、ピンク色に色付いた桜は揺れ、儚くもその花びらを散らせていた。川の水の流れに乗って、それは遠くへと運ばれていく。

 「こんなにのんびりしてると、悪霊ナイトメアの存在なんて、本当はないんだって思っちゃうわね」

 「あぁ、確かにそうだな」

 この櫻台市も、霊安町からそんなに離れていない場所だ。それなのに、悪霊ナイトメアの気配がまるでしない。俺達が感じないだけで、実際はどこかに潜んでいるのかもしれないが。

 「やっぱり、平和が一番だよね」

 零が呟くように言った。それにならって、明が頷く。俺も頷いた。

 毎日ではないものの、悪霊ナイトメアとの戦いで、こんなにのんびりと過ごすのは久しぶりに感じる。張り詰めた緊張感もないここで、悪霊ナイトメアが幻想の産物だと言われたら、信じてしまうかもしれない。

 「あぁ、また来てる! ダメだって言ったでしょ? 君がイタズラすると困る人がいるんだから」

 ざわざわとした人の声に紛れて、ソラ君の声がした。誰と話しているか気になったわけじゃないぞ。後ろを振り返ってみたが、祭りを楽しむ人ごみだけだった。

 「え、イカ焼きが食べたいの? うーん、俺はお金あんまり持ってないんだよねぇ」

 イカ焼きかぁ。焦げたしょうゆの匂いが、食欲をそそるんだよなぁ。

 「これをお店において、それからイカ焼きをとるんだよ。そしたら君のいるべき場所に帰ろうね」

 いやいや、お金は屋台のおっちゃんに渡すものだよソラ君。勝手に持ってっちゃダメだからな。

 「お待たせしました! 皆さん冷たいお茶でよかったんですよね?」

 「うん、ありがとう」

 「ありがとー」

 「おぅ、有難う」

 誰と話していたのか、正直気になる。聞こうか聞くまいか。

 「ココの桜、綺麗でしょ? 櫻台の地名の由来は、この桜なんだそうですよ」

 「へぇ、そうなのか」

 ベンチに横一列に並んで、美しい桜を見上げていたら、そんな事どうでも良くなってしまった。



                     *



 殊日が射的が苦手だなんて知らなかった。んで酷い目に遭った……。射的は的、つまり景品を狙えばいいだけなのに、どうやったら屋台のおっちゃん、ましてや後ろにいた他のお客さんに当てる事が出来るのか。不思議で仕方ないが、射的をする事を嫌がった理由がこの身をもって分かったぜ。

 「うー……」

 はじめに言っておくが、食いすぎて唸ってる訳じゃねぇよ? 唸ってるのは俺じゃなくて未来の方だ。

 「お嬢ちゃん、まだやるかい?」

 「悔しいけど、もういいやぁ……」

 好物のリンゴあめを一口食べて、小さくため息をついた。そんな未来の視線の先には、自分が破りに破ったポイの山が出来ている。

 「お連れさんは恐ろしいほど上手かったですねぇ」

 「ん、そうか?」

 「えぇ。水槽が空になるかと思ったわよ」

 「はは! さすがにそこまではしませんよ」

 苦笑いするおばちゃんは、やけに金魚が少なくなった水槽を見やる。俺が未来と一緒に金魚すくいをしている間、殊日と奈津君はその様子を見ていた。

 「……絶対潰すと思ったんだけどな」

 「……俺も思いました」

 そんな2人の会話を聞いたから、やめた訳じゃないんだぜ? 今流行の節約だ。ちなみに、とった金魚は欲しがってた子供さんにあげたり、水槽に戻したりしたな。手元にあるのは、4匹くらい。未来にあげようと思ったんだが、『自分でとってやるぅ!』と断れちまったよ。

 「代わりにリンゴあめもう一個買うもん! 後悔なんてしてないんだからねっ」

 「またおいで、来年も桜が綺麗に咲いた頃、またお祭りがあるから」

 優しく笑うおばちゃんに笑顔で返し、その場を後にする。あ、そうだ。

 「なぁ、奈津君つったっけ?」

 「はい」

 「ここの名物とかって何かねぇのか?」

 「名物、ですか?」

 うーんと奈津君が考えている間、通り過ぎる女の子達が何やら騒がしいけど、気にしなくてもいいよな?

 「名物ってほどでもないですけど、毎年屋台を出してる榛那はるなさんのたこ焼きは美味しいですよ」

 「へぇ~! それは食ってみたいな」

 「はいはーい! 私も食べたーい」

 「甘いのがいいなぁ……」

 「じゃあ綿あめかリンゴあめを途中で買って行きましょう」

 「おぉ! 大賛成!」

 「リンゴあめ!? 私も食べる食べる!」

 殊日と一緒に未来も元気に返事をする。それに人当たりのいい笑顔で返した奈津君について、俺達は人の波の間を歩いていった。平和だなぁ、なんてジジくさい事思った。

と、言う事で、まずは2グループに祭りを楽しんでいただきました。次は残ったグループです。当たり前ですね。


ほのぼのした感じに書こうとすると、みんながどんどんソラ君化する不思議。修行がまだまだ足りないようです。日々鍛錬! と言いつつ読書。


そして少し問題が。

溜めに溜め込んだ本編、番号を振り分かりやすくしていたそれですが、数字が明らかに飛んでいる。8の次が11だとか、9と10が謎の失踪を遂げています。おそらく、寝ぼけて編集と削除を間違えたんでしょうね。うん、私って馬鹿。

更新に問題はないのですが、悲しいです。頑張って書いたのに……。仕方ない事なので、書き直しております。


さて、愚痴はこれくらいにしておきましょう。桜の季節は終わっているとか、そんな苦情が来る前に逃げます。誤字脱字がある場合は一生懸命に直します。

それでは、温度差が最近激しいですが、お体に気をつけて! また次回、本編でお会いいたしましょうっ。

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