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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
最終章 ユネプロミス―約束―
57/80

特別編 虹色ラプソディー 後編


タイトルの通り、後編です。終わります、今回で。

グダグダで、ベッタベタな展開とか言われても、分かりきっている事なので勘弁してください(オイ


それでは、コラボ最終回! お楽しみあれ~。


 少し前の出来事のはずなのに、意外と人は忘れてしまっているもので、矢吹さんの家すら分からずに迷子になっている人だっている。ずばり、私達の事です。

 「こっちやっと思うんやけどなぁ」

 なんてヒノちゃんは言うけど、この道に来るのは5回目だったりします。

 「じゃ、今度はこっちに行ってみようよ」

 「せやな」

 「あ、待って。今、私達が来た道だから、こっちに行こう」

 「あれ、そうだったっけ」

 「んー、どうやったやろ。まぁええわ。カイリについてくで」

 ……ど、どうしよう。こっちじゃなかったらどうしよう!

 「おー、あったあった! すごいね、海梨ちゃん!」

 適当だったなんて、今更言えません。

 「じゃ、孝くんの言ってた通りにやろか」

 「おー!」

 「お、おーっ!」

 って、

 「よ、呼び鈴押してからじゃなきゃ失礼になるんじゃ」


 ガチャリ


 「あー、せやったな」

 もう遅いよぅ。

 「開いちゃったし、いいんじゃない?」

 「いいのかな」

 「ええやろ。顔見知りやし」

 ずかずかと、「お邪魔しまーす!」と叫んで入り込んだら、エプロン姿の矢吹さんがかなり驚いた顔で出迎えてくれました。

 「あふぇ!?」

 もぐもぐと、何かを食べている最中だったみたいで、飲み下してからまた口を開きました。

 「えっと、呼ばれた?」

 「呼びました」

 正しく言えば、呼ぶ前に入ってきてから呼びました。……分かりにくいですね。

 「あの、何のようですか? 映画を見に行ってたんじゃ?」

 「えっとですね」

 何かを話し出そうとしたなっちゃん。人差し指を唇に当てて、少し首をかしげたまま固まった。微動だにしません。ヒノちゃんも矢吹さんも動きません。

 「ちょ、ちょっとタイム!」

 再び動き出したなっちゃんは、隠れてポケットを探ってから、何かを見つけ確認して帰ってきた。

 「映画に行く前に、忘れ物を忘れたみたいなんで忘れにきました!」

 「……へ?」

 「忘れ物したみたいなので、ちょっと捜させてもらってもいいですかっ!」

 「あぁ、なるほど。いいですよ、好きに探して」

 「おおきに」

 ナイスフォローと、小声でヒノちゃんが言ってくれた。

 「甘い匂いがしますねぇ」

 「ふんふん、ほんまやな」

 リビングに着くなり私達を出迎えたのは、甘ったるい匂いの重い空気。そして、ねずみ色の煙。

 「えへへ、チョコを作ってたんだけど、うまくいかなくって」

 矢吹さんが照れくさそうに持って来たのは、なんともいびつな形をした何か。チョコというからチョコなんでしょうけど。

 「味はいいんですよ、見た目はこんなんですけどね」

 よく見れば、頬や手、エプロンが汚れてる。そんなにハードなものじゃないと思うんですけど、煙の正体が気になる。

 「この煙は?」

 「あぁ、お鍋にチョコをそのまま入れてみたんです」

 な、なんて荒行を!

 「チョコを溶かすのがあんなに大変だなんて、知らなかったですよ」

 いえ、チョコはそう溶かすものではないですから。湯銭とかで溶かしますから。

 「なんとか作った結果、これなんですけどねぇ」

 身を翻して、銀のトレーに乗っていたチョコを全てゴミ箱に捨ててしまった。

 「もったいなくないですか?」

 「チョコの材料はいっぱい買ってきたからいいの」

 「折角作ってたのに、味見をしないのはもったいないんとちゃうん?」

 「さっき食べたんですけど、堅すぎて顎が壊れるかと思いましたよ」

 あのチョコに、一体何を入れたんでしょうか……。

 「私の事は気にせずに。映画が始まる前に探し物が見付かるといいですね」

 「そうですねぇ……っと!」

 早速何かに躓いて転ぶなっちゃん。だ、大丈夫かな。

 「せや、映画までまだまだ時間あるし、手伝いましょか?」

 「え?」

 そう、私達の目的は忘れ物を探す事じゃない。そもそも、忘れ物なんてありません。

 「折角のバレンタインデーや、成功させてなんぼやろ?」

 「だいじょーぶですよ、料理のお礼です! じゃない、お詫びですから!」

 「作るのなら、綺麗に美味しく作りたいですよね!」

 「……まあそうですね」

 「なら遠慮せんでええよ。ウチらに任せとき!」

 「え? あ、はいっ」

 半ば強引ではあるけれど、なんとか作戦を実行できそうです。孝介君達もうまくいっているかな?




 ふと、気づいてしまった。有澄さんを見つけるのって、ほぼ不可能なんじゃないかと。

 僕らはただの通行人で、親しい仲ではない。矢吹さんの家には有澄さんが連れて行ってくれたから、なんとかたどり着く事は出来るだろう。だけど、有澄さんの顔だけしか知らない僕らはどうしろと?

 「なぁ、孝介」

 「何?」

 「俺らってもしかして、……迷子か?」

 「何を今更」

 「だよな! そーだよな!」

 頼むから耳元で叫ばないでくれないか。ホントに情けなくなるよ、いろいろと。

 「あんの馬鹿にぃ! 家に帰ったら許さないんだから!」

 「まあまあ、落ち着いて」

 目の前を通り過ぎる2人。1人はかなり怒っている様で、もう1人はそれをなだめるのに必死みたいだ。

 「なんかもめてんな」

 「そうだね」

 「私が食べたいって言ったのはグラタンよ? なのになんでチャーハンの材料を買ってくる訳!?」

 「ソラも悪気が合った訳じゃないと思うんだ。だから許してあげて?」

 ん、ソラだって?

 「どした、孝介」

 「え、いや。さっきの人達が有澄さんの名前を言っていたような……」

 「ソラにぃは何考えてるのか分からなすぎるのよ!」

 「あの!」

 2人とも同じ反応で、振り返る。1人はまだ顔に幼さが残る女の子で、もう1人は男の僕から見てもカッコいい男の人だった。

 「な、なにか?」

 最初に口を開いたのは男の人のほうで、戸惑ったような笑みを浮かべてる。

 「あ、のですね。今、ソラって言ってませんでした?」

 「言ってましたけど、どうかしましたか?」

 「僕達、有澄さんの家に行きたいんです」

 「え、ウチに?」

 今度は女の子が答えた。

 「私、馬鹿にぃの妹なんです。あの馬鹿、また何かやりました?」

 言われて見れば、確かにどこか有澄さんに似ているような……。それにしても、あんなに馬鹿馬鹿言われる有澄さんが少し可哀想だ。

 「ちょっと用があるんです。けど、伝言を伝えてもらっても?」

 「えぇ、構いませんよ。一発殴ってからだけど」

 小声で言った最後の一言に、僕もタクも苦笑いした。

 「じゃあ、お願いします」



                      *



 「そっちも上手くいったみたいやな」

 「なんとかね」

 「うんうん、よかったよかった!」

 そういいながら、見事に電柱に激突した。かなり痛そうだけど、大丈夫かな?

 「だ、大丈夫?」

 「うん、平気でごわすっ」

 無駄に元気で何よりだ。それよりも、

 「大丈夫か、タク」

 「……ダメっぽい」

 こっちはあの悪魔のもてなしが今になって腹に来たようで、歩くのがやっとの状態だ。顔色も悪いし。

 「あんなん食べて大丈夫な訳がないやろ」

 みんなうんうんと頷く。否定できないからね。

 「でも、美味かったんだぜ?」

 「だけど、こうなってる訳だ」

 「き、きっと、食べ過ぎただけだよ!」

 海梨ちゃんがフォローするけど、一概にもそうは思えない。とりあえず、食べなくて良かったと思う。

 「今頃、あの2人はどうなってるかなぁ」

 「多分上手くやってるんじゃない?」

 「チョコも問題なしや、絶対大丈夫やて」

 「うんうん。あ、そうだ」

 何か思い出したのか、海梨ちゃんはカバンをあさり始める。それにあわせて、他の2人も何かを探す。

 「どうしたんだ?」

 「えっとね、……はい、これ」

 海梨ちゃんがタクに見せるように出したのは、可愛いハートの形をした箱。ここまでくれば、誰でも予想は出来る。

 「お、俺に!?」

 「う、うん」

 急に元気になったタクは、恐る恐る手を伸ばす。受け取った箱を、穴が開くほど見つめて。きっと、柴村琢人にとっては、かなり衝撃的な瞬間だったんだろう。

 「孝くんにもあるさかい、安心しぃや」

 「それはそれは有難いね」

 胸を張ったひのでちゃんは、星形の箱を僕に渡す。それから、海梨ちゃんから予想外のプレゼントをもらえて、放心中のタクにも無理矢理握らせていた。

 「私からもあるよ!」

 え、な、なんだって!

 「さっき転んじゃった時に、割れてないといいんだけど……」

 「割れてたって構わないよ。食べれる物なら」

 「えへへ、こーちゃんは優しいね」

 そう言って渡されたのは、チェック柄の四角い箱。とても丁寧にラッピングされている。さすが女の子と言ったところかな。

 「ホワイトデーが楽しみや♪」

 って、ひのでちゃんはそれが目当てだったのか……。でもまぁ、

 「みんな、有難う」

 「い、井戸端……が、俺に、チョ、チョコを……」

 家に着く前に、タクは現実に帰ってこれるだろうか。ひのでちゃんに叩かれてるのにも気付いてないけど、きっと大丈夫だろう。きっと。


やっと終わった! けどまだ次がぁぁぁ!


そんな作者の叫びはどうあれ。

どうだったでしょうか、このコラボ。

ハッピーエンドを目指して、そして『スクール・ラプソディー』のキャラを活かして頑張ったつもりなのですが、まだまだって感じでしょうか?

誤字や変な表現がなければいいのですが……。

やはり、私にコラボは向いていないのだろうか。

思考がどんどんネガティブになっていくばかりでございます。


さてはて、次回からしばらく本編に戻ります。

……え? 『平凡ではない日常。』とのコラボはどうしたって?

ネタを考え中です。えぇ、どうしたのものか。本気で悩んで夜も眠れません(実話


とりあえず、何かいいものが浮かんだら、即行で書きます。本編が終わる前には必ず書きますから!


それでは、また次回まで。

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