特別編 虹色ラプソディー 前編
遅いなんて言わないでください。
サブタイがパクリチックだなんて言わないでください。
時期がおかしくない? とか言わないでください。
そんなこんなで(どんなだ)、コラボ作品です!
何とのコラボかは、もう分かると思いますが……コラボです!
ぐだぐだの言い訳はあとがきにまわして、とりあえずハラハラドキドキ、初コラボ作品の本編へどうぞっ!
変わらない日常は、突然輝きを放ったりする事がある。逆に重くのしかかってくる事だってある。
つまり、私が言いたいのは『変わらない日常』なんてない事。
通る道、友達との会話、すれ違う人。その全てがいつも同じと言う訳じゃない。目線を変えれば、景色は変わる。その日にあった事、人が変わる。髪型や服装が変わる。だから、変わらない日常なんてないんだ。
要するに、良い日になるか、悪い日になるかはその人次第って事。変わらないなら変えればいいだけの話。自分で変えられないなら、他人の力を借りて変えればいいだけ。
『変わらない日常』なんてない。いつもゆっくりどこか変わっている。まあ、私の場合は変わりすぎて焦ったんだけど。
ともかく、日常なんて簡単に変わる。それも劇的に。
今まで1人でペチャクチャ話しちゃったけど、気にしないで。うっぷんを晴らしたかっただけだから。
さて、サクッとザクッと本題に入りましょうか。今まで独り言聞いてくれてありがとう。
*
「なんでこうなるんだ……?」
分からない。いや、分かりたくないのかもしれない。
「よっしゃ!」
「すげぇ凩!」
「さすがヒノちゃんっ」
この人達の頭の中が知りたい。どこをどう間違えたら、こうなるんだ?
「じゃ、次いこか」
「いや、待て待て待て」
暴走しているとしか思えない、ひのでちゃん達をとめなければならない。
「なんや?」
「僕らの目的はゲームセンターを潰す事じゃなくて、映画を見る事だったよね?」
「え、そうだったん?」
え、マジですか。
「俺、遊びに来たんだとばかり思ってたぞ」
『映画見に行こう』って言ったのはどこの誰だ。
「私もだけど……あれ?」
『見たいのがあったんだ!』ってノリノリで言ったのはどこの誰だ。
「ウチ、この町のゲームセンター制覇しにきたんよ?」
『ウチも暇やし、行ったろか!』って言ってたのは……違う人だったみたいです。
「ごめん、疲れた。帰る」
「じゃ、俺もカエル」
「それは笑うところか? それともつっこむべきところか?」
「……どっちだ?」
「知るかっ!」
なんだかんだで、ゆらゆらフラフラと話の流れに乗って帰る事になりました。
「もうちょっとやったのになぁ」
もちろん、ゲームセンターは潰されずにすみましたよ? UFOキャッチャー、ほとんど景品なくなったけど。店員さんの口が開いたまんまだったとか、遠くから変な泣き声が聞こえてきてたりしたけど、きっとそれは触れちゃいけないと思うから、僕はあえて何も言わないよ。
「だけど楽しかったね!」
「あぁ、そうだよなっ! なぁ、孝介も楽しかっただろ?」
「見てていろいろ不安だったけど、まあ楽しかった」
「照れへんでもええやん。しょーじきに言った方がええで?」
「正直に言うなら―――っとと!」
「あわっ、ご、ごめんなさい!」
「い、いえいえ。大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ぶつかっといてなんだけど、急いでいるので失礼します」
「あ、ちょっと……」
そう言って、というか言いながらその人は走り去りました。しかもメッチャ足が速い。呼び止めても止まらないだろう。
「どうした、一目惚れか?」
「お前は典型的なアホか」
これ見よがしに、タクに拾った物を見せてやった。
「なんだ? 眼鏡ケースか?」
「チャックで開閉する眼鏡ケースを見た事あるのか? どう見ても財布だろ」
「それがどうした?」
この段階で、この状況が理解できないのは、世界で1人、目の前の人物だけだろうな。
「孝くんが言いたい事は、さっきの子が財布を落として行ったって事なんや」
「あぁ、なるほど」
掌に拳を打ち、納得したように頷いた。もっと早く分かってくれないものか。
「いや、あれは恋する瞳だったわ!」
「! な、ナオ!?」
「久しぶり。甘い香りに誘われて、今藻奈央さんじょう゛っ」
格好つけようとして、見事にこけた。段差も何もないところなのに、よく綺麗に転ぶ事ができるものだ。
「だ、大丈夫?」
「えへへー、平気だよ! 有難う、海っち」
「で、孝くんが恋する瞳だったんか?」
ひのでちゃん、それを気にしないで怪我の心配してあげよう。してないけど。
「え、違うよ?」
そりゃそうだ。僕が好きなのは……。どさくさに紛れて言わないぞ。
「あの人、絶対恋してる。それも片思いだね」
「知り合いだったのか?」
「んーん。エコバックにチョコがいっぱい入ってたから。甘い匂いがするから、ついついついて行っちゃったら孝ちゃん達見つけたの」
それで『甘い香りに誘われて』なんだ。それにしても、チョコの香りに誘われて人についていくなんて、危ない人だったらどうするつもりなんだ、全く。
「さて、ここで問題です! 2月のイベントといえば!?」
いつの間にかハンカチを丸めて、マイク代わりにいきなり海梨ちゃんに突きつけた。本人は目を白黒させて、数秒固まってから我に還って答えた。
「えぇ、えっと、……建国記念日?」
「チョコが重要なんだよ! はい、次タクくん!」
「え、俺!? う~ん……。クリスマスか?」
「それじゃ12月だろうが」
「じゃ、孝くんは分かったん?」
「チョコが関係してるイベントは、2月なんだろ? そのお返しがあるのは3月」
「さすが孝ちゃん! 分かってますのぅ!」
ナオは嬉しそうに笑って、1人ではしゃいで喜んでいる。
「2月と3月かぁ……。あ、分かったかもっ」
ひっそりと海梨ちゃんも正解が分かって喜んでる。あと1人、問題児が残った。
「全然分かんねぇぞ?」
「女の子にはドキドキなイベントだよっ」
「義理とか本命とかあるんや」
「手作りが一番……かな?」
「男もある意味ドキドキするイベントだよ」
さあ、ここまで言えばわか
「お化け屋敷?」
らないみたいですね。お化け屋敷ってイベントじゃなくてアトラクションだし。
「バから始まる」
「次はレだねっ」
「バレ……バレーボール?」
「なんでボールになるんねん! イベントや、イベント!」
「うぅ……」
ひのでちゃんにどやされて、少し落ち込むタクに、女神から贈り物が届いた。
「バレンタ……」
「! バレンタインデーか!」
海梨ちゃんに感謝する事だな、タク。
「あれだけ大量のチョコ買ったって事は、本気で作るに決まってる!」
「だから恋する瞳なんやな」
「いいねぇ、そういうの。私、応援したくなっちゃう」
うんうんと頷く3人の女の子達。まあ、男は逆チョコとやらをやらない限りは関係ないのかな?
「何そわそわしてるんだよ、タク」
「べ、別になんでもねぇよっ」
海梨ちゃん欲しいとは言えないんだろうね。本人目の前にいるし。
「とりあえず、問題はチョコよりこれだ」
「何それ? 新しい眼鏡ケース?」
おいおい、同類がいるのかよ。
「だよな、そう思うよな!」
普通は思わない。普通は財布だって。
「ここは無難に交番に届けた方が良いんじゃないかな?」
「そうだよね。でも、この町の交番ってどこにあるんだぁ!?」
今度はぶつかるどころじゃなく、体当たりをもろに食らった。
「つっててぇ……。あ、そ、え、う!」
ぶつかってきた人はかなり動揺しているようで、日本語が日本語ではなくなっていた。
「す、すみません。大丈夫ですか?」
「今日はよう人にぶつかられるね」
こっそり耳元に呟かれて、「確かにね」と答えた。
「はい、大丈夫です」
「もう、ウミが急にグラタンが食べたいなんていうから……」
ブツブツ呟くその人は、さっきの人と同じくらいの年齢の男の人だった。背格好は僕らとあんまり変わらないから、近い年なのだろうか。じゃあ、『男の人』じゃなくて『男の子』かな。
「本当にすみません。怪我とか怪我とか……怪我とかないですか?」
「全然ないですよ」
「良かった。本当にすみませんでした」
よほど怪我ばっかり心配する人なんだね。
「ん、あれ?」
「どうかしましたか?」
「その手に持ってるもの、ちょっと見せてもらえますか?」
「え……」
「あぁ、警戒しないでください! えっと、もしかしたら知り合いのかもしれないかなみたいな!」
ぶんぶん手と首を振るものだから、取れてしまうのではないかと逆にこっちが心配になった。
「どうぞ」
「ども……」
そうして、なんだか嫌な予感がした。顔は幼いけれど、立派な成人だっている。だから、僕が今『男の子』だと思った人も、もしかしたら本当は『男の人』。つまり、警官だったとしたら。掏ったわけではないと、ちゃんと説明しても信じてもらえるかどうか。
「やっぱり……」
あぁもう。今日は不幸な出来事ばっかりだ。
「いや、これはですね―――」
「矢吹の奴、また財布落としたんだ」
「はい?」
「あれ、拾ってくれた人じゃないんですか?」
「い、いえ、拾ったんです。さっき、ぶつかっちゃって」
「また人にぶつかったのか……。アイツのアタック強烈だからなぁ」
いや、あなたの方が強烈でしたけど。
「さて、じゃあ行きますよ?」
「どこに?」
綺麗にみんなの声が重なった。それもそうだ、今から帰るはずだったのだから。
「このまま恩人を帰らせたら、俺が殺され……いや、なんでもないんです。お礼をしたいって言うと思うから、ついてきてもらえます?」
「え、いやその……」
断りにくいが、お礼をされるほどの事でもない。だけど、断ったら彼の身に絶対何かがあるわけで。
「お言葉に甘えさせていただきます」
そうして、ナオ案の『バレンタインデーで告白しちゃおうよ大作戦』とやらが幕を開けたのだった。
さて、何週間か前に投稿したはずが、削除をしていた事に気付いたのはつい最近。(実話です
あれだけ頑張って書いたものも、一度ミスをしただけで綺麗に跡形もなく消えるものなのですね。
そうして意気消沈し、1週間くらいネットに繋ぎたくなくて更新をサボり、決心して執筆を始めたのが2日前。頑張ったといって下さい。下弦は、バレンタインに間に合わせようと頑張ったんだと言って下さい……。
結局間に合わなく、過ぎてしまったのですが、諦めきれずに投稿。
そうして、今に至るのです。
とにかく、謝らせて下さい。
更新が遅くなってしまって大変申し訳ございませんでした!
そして『スクール・ラプソディー』の登場人物様方、その作者の黒犬 純様。遅い上に扱いが雑で、大変申し訳ございません! 土下座しても足りないので、もう頭が上げられません。
……。
はぁ、もう、下弦 鴉はダメなのかもしれない。一回死んで人生やり直した方がいいのかもしれない。
テストで削れた神経と精神を取り戻しながら、野鳥は影から頑張ります。頑張らせていただきます、最期まで。
それでは、長々とあとがき失礼いたしました。また会う日まで、さようなら。