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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第三章 秘められしモノ
44/80

44、信じたくない現実もあるはず


まえがきで、ごちゃごちゃ言うつもりはございません。あとがきにて、さんざん謝らせていただきます……。


 今更ながらに思う。三枝さんに案内恃めば良かったんじゃん。本当に今更だけど。

 「そういえばソラにぃ。さっきから何見てるの?」

 「もらったパンフレット」

 「どれどれぇ」

 エレベーターのただでさえ狭い空間の中で、ウミが横から覗き込む。俺らと同じ事を思う人が多いのか、やけに込んでいるために狭い。荷物とかもあるから、余計に狭い。

 「お、プールもあるんだ」

 「温泉もあるよ」

 「露天風呂だけじゃなくって?」

 「そうそう。確か……ここだ」

 織り込まれたパンフレットを捲って、目的の場所を見つけて指をさす。1階フロアの半分くらいがそれらしい。男湯、女湯、混浴もあるみたい。

 「ココの外にも露天風呂あるんだよ」

 「ココにもって事は、他にもあるの?」

 「屋上と、俺らの部屋にも小さいけどあるはずだよ」

 「へぇ。すっごいね」

 なんて話してたら、2階に着いた。1階まで下りない理由は、めぼしい物がなかったから。2階ならお土産屋さんとかいろいろあるらしいので、ここを探検です。

 「さぁて、何見る?」

 「適当にブラブラでいいんじゃないか?」

 「それもそうね」

 有澄家は会話に入れていただけませんか。そうですか。

 「お土産、何買って行こうかなぁ」

 「まだ1日目すら終わってないのに?」

 「あー、言われてみればそうね。ここまで来るのに肩がこっちゃって」

 また伸びをする矢吹。苦笑いするのは波月。

 「ソラにぃ! これ美味しそう!」

 腕を引っ張るのはウミ。いい加減、放してはくれないのかな?

 「お、可愛いね」

 ウミが見つけたのはお饅頭。可愛い何かのキャラクターが焼き付けられてて可愛い。その隣に、同じようなキャラクターの形をしたサブレーもある。

 「わぁ、これもいいなぁ」

 ニコニコあっちへこっちへ。矢吹も波月を引っ張って、俺らと同じお店を見ている。あぁ、王子様が人身売買のバイヤーに捕まってしまわれたようだ。

 「このホテルのマスコットか何かかな?」

 「んー、そうかも」

 パンフレットの表紙の左上と、裏表紙の真ん中に堂々と描かれてた気がするぞ。

 「有澄、お土産があるのってここだけ?」

 「あとは1階に簡単なお店があるだけだね」

 ちなみに、そこはもう覗いてきました。女子陣の力に敵わなかったんです。三枝さんも苦笑いしてたし。

 「さ、次行きましょう!」

 「ごーごー!」

 楽しそうだね。でもさ、いい加減に本当に放して。引きずられるのは嫌だ。兄として嫌だよ!

 「……女子って、すごい」

 波月のそんな呟きが聞こえた。思わず頷いてしまったのはご内密に。



 次は高そうな物が売っているお店だった。高そうなワイングラスとか、高そうな食器セットとか、高そうなガラス細工とか。あれ、全てにおいて「高そうな」が付いていた気が……。気にしたら負けだと思っておこう。

 「綺麗……」

 「わぁ……わぁ……」

 ガラス細工に負けんばかりに、目をキラキラさせるのはやっぱり女性陣。町のお祭りで見るような、手ごろな値段で買えるガラス細工もあれば、20万以上もする大きな物もあった。全部がガラスでできているなんて思えない。それくらいに精密に、美しく作られている。

 「うーん、1つほしいなぁ」

 ウミが唇を少しかんで悩んでいる。兄が助けられる値段なら買ってあげるよ。

 「どれ?」

 「ん、これ」

 「綺麗だね」

 矢吹から解放された波月と一緒に、ウミが指差したのはなんとも可愛い天使のガラス細工。小さくもなければ大きすぎるわけでもなく、淡い色でグラデーションされた翼は羽ばたきそうだ。胸の辺りで手を合わせて、ガラスでつけられた鈴を握っている。顔までは作られていないけれど、丸い顔が愛想良く笑っているように思える。裾がひらひら広がるガラスの服を着せられ、風に吹かれている所を固められたみたいだった。

 そして値段。1500円。

 もう一度見る。値段、1500円。

 念のために、もう一度確かめる。15000円。


 ・・・。


 え、待った待った! 今、0が増えた! 絶対増えたよね!?

 そうして、現実を受け止める。

 「1500円かぁ」

 少々、厳しい。旅費と宿泊代は別だけど。これからの生活的に、少しだけ厳しい。

 「きっぱり諦めるかなぁ」

 名残惜しそうに、ウミがその場を離れて別の物を見ていた矢吹を驚かす。明らかにオーバーリアクションで驚いたあの小娘は、手に持っていたコップを落としかけていた。

 「辛い?」

 「え?」

 いつも不意に聞く王子様、もとい波月。びっくりして、その天使の隣のイルカを数匹倒してしまった。店員さんの鋭い目が、俺を射抜く。こ、怖い。けど、壊れてはいないようで、財布が悲鳴を上げる事はなさそうです。

 「いや、バイトをこっそりやってたとしても、1500円って辛いんじゃないかなぁって」

 「波月って、ぐっさり的を射るよね」

 「勘が良いって言って欲しいな」

 「勘が良いですなぁ」

 「そうじゃろう」

 そんなノリで返すとは思わなかった。というか、ノってくれるとは思わなかったアルヨ!

 「俺が出そうか?」

 「え、いやいやいやいやいやいやいや!」

 両手をぶんぶん振ったら、またさっきのイルカを倒す。落ちそうになったそれをキャッチする俺を、さらに冷たい目で店員さんは睨みつける。大丈夫です、壊したりしませんから。

 「そんな、波月に悪いよ」

 「俺は……ほら、家柄が家柄だし」

 汐見と違ったお金持ちというか、うん……。

 「1500円なら、まだお土産も買えるからいいよ」

 「いや、借りは作らない主義なんで」

 「借りだと思ってくれなくていいよ」

 「いやいや、お金は人を壊すものであるからにして。その、ごっちゃりごちゃりと、うーん……」

 「大丈夫だよ、ソラ。俺はソラを嫌いになったりしないよ」

 爽やかスマァァァァァァァイル! ヤベッ、今なら死ねる! 死にたくないけど!!

 「だけど、悪いからいいよ。波月は波月の買いたい物を買って」

 「ソラの為に、俺はこれを買いたいんだ」

 「でも、それだと悪いから。俺、波月には何もしてあげれないし」

 「何もしなくったっていいさ。隣で笑っていてくれれば、俺はそれでいい」

 何、愛の告白ですか? そうなんですか、そうなんですか、そうなんですか!?

 動けなくなった俺を真っ直ぐに見つめる波月。鋭い光を宿した漆黒の瞳から、目が離せない。心の奥底まで見られているようで、今まで懸命に隠してきた事さえも覗かれているようで、怖い。

 「ごめん、波月。俺は俺の友達を大切にしたいから」

 だから、お金は払わせない。だからどうか、その澄んだ瞳でこれ以上俺の心を覗かないで欲しい。

 「分かった。そこまでソラが言うなら無理強いはしないよ」

 「ありがとー」

 ニッコリ笑えば、波月も笑い返す。そして、目線をはずして天使とにらめっこ。

 「……ないし、いいかな」

 「ん?」

 「え、俺何か言った?」

 「いや、分かんない」

 困ったように笑う、そんな波月もかわい……カッコいいよ!

 天使とにらめっこの末、羽の色が綺麗でウミが好きな色のピンクの天使を手にとって、ポケットの薄い財布に触れた。

 「ソラ、買うの?」

 「家に着いたら、こっそりプレゼントしようかなって。贅沢させてあげられないから、これぐらいはしてあげたいんだ」

 「そっか」

 今度は天使のような笑みで、波月が笑顔で返す。この笑顔があれば、地獄だっていける気がする。行きたくないけど!

 ウミが背を向けているのを確認して、お会計を済ませて波月の元に戻ると、矢吹とウミは別の店へと意気揚々と歩き出しているところだった。女子とは……本当に恐ろしい生き物である。

 「忘れられてるみたいだな」

 「ずばっと言っちゃう波月って、意外と腹黒だよね」

 「ん? なにか?」

 「いいえ! なんでもごぜぇませんだ!」

 「苦しゅうないぞよ」

 どこの大名? そしてちょっとデジャブなネタなんだけど。

 「あ、馬鹿澄と波月忘れてきた」

 追いつくと、小娘がそういうのが聞こえた。馬鹿澄、だと……?

 「俺は有澄だから、有澄ソラだから!」

 「! なんだ、来てたんじゃない」

 「いや、訂正しようとか思わないのか?」

 「何をよ」

 「馬鹿澄って」

 「事実じゃないの」

 「事実は事実でも、ウミにも被害が及ぶだろう!?」

 「何言ってるの? ウミちゃんはウミちゃん。アンタは馬鹿澄」

 「差別だ!」

 「いいえ、分別です」

 「ぶ、分別って……」

 隣で波月が笑いを堪えながら、矢吹の言った事を繰り返してやがる。なんだ、そんなに人の不幸が面白いか、腹黒王子よ!

 「お前なんて誘わなきゃ良かった!」

 「誘ってくれって頼んだ覚えはないわ!」

 「ああいえばこういう。お前は姑か!」

 「私が姑だったらアンタは何? 召使か何か?」

 「んだとぅ!?」

 「何よ、やる気!?」

 「まぁまぁ、落ち着いてよ」

 「ほ、他の人が見てるよ」

 「他人なんて関係ねぇ! 俺ぁ、この小娘をこらしめなきゃならねぇんだ!」

 「へぇ、良く言うじゃない! やれるもんならやってみなさいよ!」

 バチバチと廊下の真ん中で火花が散り、繰り広げられるのは目も当てられない口喧嘩。

 喧嘩するほど仲がいい? 口喧嘩するほど仲悪いけれど何か!?

 あわあわとする王子とウミを助けたのは、予想外の人物だったりする。

 「あだっ」

 「いたっ」

 「道の真ん中で喧嘩はするものではありませんよ?」

 「さ、三枝さん」

 俺と矢吹に鉄拳を喰らわせたのは、三枝さん。「お客様に申し訳ございませんが」と、頭を下げながら付け加える。うん、結構痛かった。

 「お食事の時間なのに見当たらないので探してみれば、聞き覚えのある声がしましたもので」

 ニッコリ。

 「口喧嘩のおかげで見つけられました。今回は無罪放免という事に致しましょう」

 ニッコリと、怖い事を言う。有罪になってたら、俺らはどうなっていたんだろう……。

 「さあ、ご案内いたします。ついて来て下さい」

 「はーい」

 声を揃える俺らに、また三枝さんは優しく笑いかけた。


すみませんでした!

はい、いきなり謝らせていただきました。あぁ、むず痒いこの気持ち。腹立たしいとはこの事か。


っと、すみません。自分の世界に入ってしまう前に、すみません。


書き溜めていくうちに、『あ、いいネタ思いついたかも♪』なんてひらめいてしまい、ついでにテスト勉強をはさみながらもつらつらと新作を執筆。

そして、今に至って自分は何をしでかしているのだろうか。あは、滅べばいいのに(


簡単に言いますと、勉強最中、あきて『アルカンシエル』執筆。新作ひらめきそちらを執筆。不器用なのに、2つも小説かけると思ったか!

すみませんとしかいえません、はい。。

そして更新していたと思っていた『アルカンシエル』最終更新日みてびっくり。

あっれ!? 11月!?

今何月だよって話ですよね。12月ですよ、しかもほぼ後半。12月はじめに更新するはずだったよね。しかも新年までもうそんなにないのに、来年はシリアス長編行くんじゃなかったのか、自分! ふざけるなぁぁぁ!


はぁ……はぁ……。

それだけなんです、なんか本編並みに長くて申し訳ないです。


と、言うことで、ココで宣言いたします。

週2回は更新しよう、ていうかしろよ自分!

やぶったらあれですね、切腹?(おい

ではでは、長々と更新もせず、投稿予定もない新作かいててすみません。『アルカンシエル』に力入れて、頑張っていきます!

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