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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第一章 妖精との出会い
3/80

3、説得しなくては!

 普通にマックに来ちゃったけど、普通にローグと会話しちゃったけど、常識だったら、彼女の存在疑うよね。この科学だなんだの時代にさ、妖精とか、掌サイズとか、萌えポイント満載とか。最後は関係ないか……。

 「で、何で妖精がここに?」

 探偵!? 探偵かい、波月! 単刀直入すぎね!?

 「はい。実は、仲間とはぐれてしまったんです」

 「仲間?」

 「私達虹の妖精は、7人で仕事をなすのです。それで、今日は珍しく休みになったので、人間界に遊びに来たら、みんながみんな、好きな所に行ってしまって……」

 「それで、ローグだけ迷ったの?」

 ズズーッと、バナナ味のシェイクを啜る波月。……横顔も萌えぇ〜。

 「はい。私は人間界なんて初めてで、右も左も分かりませんでしたの。そこに、ソラ様がぶつかってきたのです」

 ……ぶつかってきたって、なんか、俺が加害者みたいな言い方だな。

 「それにしても、良かったですわ。ぶつかった方が、こんな親切な方々で」

 なんて言いながら、バニラ味のシェイクを啜る。もちろんキッズサイズだけど、やけにおっきく見える。ストローもなんか図太いし……。

 「見えると、何かいい事ある?」

 「ないですわ」

 早! 返事ひゃっ! あまりに早すぎて、舌噛んだよ。うぅ、痛い……。チョコレート味のシェイクでも啜って、舌を冷やすか。ゴメンな、舌。今、冷やしてやるからな。

 「あの、お願いがあるのですけれど、私の仲間を、探してはもらえないでしょうか?」

 急にかしこまって、赤いドレスの裾をぎゅっと握る。怖いものの前に出された、子犬みたいだ。……俺で例えるなら、隣のオバちゃんだな。あの人は怖い。一回ゴミの日間違えただけで鬼の形相で怒ってたし。思い出したら、余計に怖くなったなぁ。

 「探すって言っても、どこにいるか分からないんだろ?」

 「……はい」

 すまなそうなローグ。ああ、可愛い……。って、こんな事言ってる場合じゃない!

 「波月ぃ、探してあげてもいいじゃんか」

 「ソラ様!」

 急に笑顔になるローグ。ああ、萌えぇ……。苦い顔をする波月。ああ、こっちも萌えぇ……。ていうか、今、すごく幸せ……。

 「本当ですか、ソラ様。本当に、本当に仲間を探してくれるのですの?」

 「ええ、もちろんですの」

 「だから、真似なくていいってのに。……でも、ソラ。俺らには学校もあるんだ。どこにいるか分からないやつらを探すなんて、無理だよ」

 「……やっぱり、そうですわよね」

 再び落ち込むローグ。……あ、泣きそう。

 「悪いとは思うけど、俺らも俺らのやるべき事があるんだ。すまないけど、仲間は―――」

 「奈津! 貴方ったら、いつからそんな薄情な子になったの!? お母さん、そんな子に育てた覚えはないわ!!」

 「……ソラ?」

 「お母さん、いつも言ってたでしょう? 人には優しく、自分には厳しくって!」

 「ソラ、お前に育てられた覚えはないよ」

 「まあ、本当の親に向かって言う台詞!?」

 「いや、本当の親じゃないし」

 「でも、人に優しくって、いつも言ってたでしょ? 忘れたの!?」

 「言ってないから、忘れました」

 つ、冷たい! 波月の心が、今、とてつもなく冷たい!! 絶対零度だ!!

「でも、困っている人は、助けたいよな?」

 お願いです、助けたいと言って! 波月様!

 「……ま、まあ、そうだけど―――」

 「じゃ、決っまりぃ!」

 「……へ?」

 「と、言う事だから、暇を見つけたら、仲間を探してやるよ、ローグ」

 「本当ですの!?」

 「本当ですの! ね、奈津様!」

 「……」

 「……あの、せめてツッコミだけでもよろしくて? 何も言ってくれないのが、一番苦しいから……」

 「……やっぱ、ソラって面白い」

 出たよ瞬殺爽やかスマイル! ぐはぁ、もう無理吐血するわ!

 「ソラ、汚い!シェイク吐くなよ!!」

 「ご、ごふぇんふぁふぁい……」

 か、可愛いものに囲まれてるのは幸せだけど、度が過ぎると息苦しい事を学びました。



                     ******



 「と、言う経緯でウチに泊まる事になったローグです。仲良しくてやれよ、いじめるなよ」

 「……ソラにぃ。どんだけ馬鹿なの」

 「こんだけさ」

 「……疲れた、もう寝るよ、パ○ラッシュ」

 「ゴメン! ウミ!! にぃちゃんが悪かった!! でも、嘘じゃないから、この子、物本だから!!」

 「本と物が逆になってるよ」

 「いや、わざとだからね! ホントに、わざとだって!! ……にぃちゃんを見捨てないでくれ、ウミぃーーー!!」

 「そうですわ! ソラ様が可哀相じゃないですか、この乱暴女!!」

 ! ロ、ローグ!? な、なんか、第一印象とかなり変わった発言を……。

 「はあ? こんな馬鹿に付き合ってるあなたも馬鹿でしょ、この能無し女!!」

 「何ですって! 妖精の私を甘く見ると、痛い目に遭いますわよ!!」

 「やってご覧なさいよ、おチビさん?」

 「むむぅ〜。私を本当に怒らせたいようですわね!」

 怒ったローグも可愛いから、安心して! ……って、何言ってんだよ、俺!?

 「かかってきなさい。人間の恐ろしさ、その身にしかと焼き付けてあげるわ」

 「上等ですの」

 ……なんか、話、ずれてません!? ていうか、ずれてますよね、コレ!

 「まあまあ、会って早々喧嘩しないで仲良く―――」

 「「できると思って!?」」

 うおうっ!? 見事なハモり!! ていうか、口調変わってるぞ、ウミ。

 「とりあえず、この子を家に置くの、反対だから。できるだけ早く追い出してね、ソラにぃ」

 「え!?」

 「じゃ、おやすみ」

 「え? ……え!?」

 な、何この展開! き、気まずいんですけど! 俺、ここに居ていいんですか、俺は存在していいんですか!?

 「永眠する事をオススメしますわ」

 ろ、ローグ!? 何気に黒い事をハッキリと言わないで! 心臓に悪いから、怖いから!

 ちょっとちょっと! 睨みあわないで! 間に居る俺の事を考えてようか、ね。うん、ひとまず落ち着こう。なあ、お願いだから! ちょ、……頼むから、睨むのはやめてぇーーー!!

 「ふん、それは貴方の事でしょ? 何言ってるんだか」

 「何ですって? なんなら、もう一度言って差し上げましょうか? 言葉の意味がよくつかめていないようなので」

 「ええ、お願いしようかしら? 私、貴方みたいな非常識な人の話は分からないもの」

 「何ですの!」

 「それまで!!」

 もうたえられません!! 二つの意味で!!

 1、間で睨まれているのは辛い。

 2、仁義なき戦いみたいな口喧嘩とか、嫌いだから。

 「詳しい事とか、また次の日に話すから。な? 今日はもう終わり! 解散! はい、おやすみ!」

 「……おやすみ」

 ……こうして、ローグとウミの俺の取り合いは始まった。……って、話の内容変わってね?


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