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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
25/80

25、誰もが嫌いなテスト君。

さて、気がつけばアクセス数1万突破! 嬉しい限りでございます!

もう一つの連載小説の方が長くやってて人気も多少あるけれど、ネタが浮かばないと言う事故(?)が……。


ネタ切れ気味にめげずに、これからも下弦 鴉は頑張らせていただきますので、生温い目で見守っていただけると嬉しいです。


ではでは! 本編へどうぞーっ!


 「さて、明日から期末テスト期間になるのだが―――」

 あぁぁぁぁ! 聞きたくなぁい! テストなんて言葉、聞きたくないよっ!

 「おーい、有澄。話を聞いてるか?」

 そりゃあ勉強出来ないよ? ちょっとくらい得意な科目はあるけど、ちょっとだからね。頑張っても、本当に頑張ってもダメなもんはダメなんだよ……。

 「ソラ、ソラ!」

 自分は本気で頑張ってるのにさ、「頑張れ」って酷くない? もう精一杯頑張ったんだけど? 全力投球だったんだけど何か? みたいなさ。

 「ソラ、聞いてる?」

 大体、なんでテストなんてあるんだよ。実力、中間、期末。オマケに小テストとか。そんなにやらなくてもいいじゃないか! まあ、どれだけちゃんと覚えているかとか、内容を理解しているか知りたいんだろうけど、一夜漬けされたら? 開始5分前に丸暗記とかされたら? その時だけの知識に早変わりじゃないか! それでもきちんと覚えている人はいるんだろうけど……。

 「ソラ、先生が怒ってるよ。ねぇ、ソラ!」

 「もういい波月。無駄な努力だ」

 そうだ、そうだよ! テストなんてなくなってしまえば―――

 「いだっ」

 「有澄。きちんと人の話しを聞こうな」

 「生徒にチョップは虐待じゃないんですか?」

 「お前は例外だ」

 そう吐き捨てて、もう一度、今度は頭をクシャクシャになでるようにして、先生は教卓の前に戻る。

 「中学校生活最後の夏休みまでもう少しだ。有意義に過ごしたいなら、テスト頑張れよ」

 頑張れない、もう頑張れないんだよ、先生……。

 「じゃ、それなりに気をつけて帰れよ」

 だから、本当に生徒を想うなら、それなりにじゃダメだと思うんだけど……。



                      ****



 「はあ〜……。憂鬱だぁ……」

 べっとりと、テーブルに突っ伏して言うと、波月がさらりと地獄の訪れを告げた。

 「明日から3日間テストだから?」

 「うん」

 「3日間なんてあっという間でしょ」

 軽く言い放つ矢吹が、こんなに憎い事なんてあっただろうか。

 「矢吹はそうかもしれないけど、俺にとっては地獄の3日間なんだよ」

 「地獄って……」

 呆れたようにため息をつく矢吹。

 ちなみに今は、もうお馴染みのマックに来ています。テスト1日前なのに? というツッコミはなしで!

 そうして、ポテトを食べていた矢吹が、ひらめいたように言う。

 「勉強すればいいじゃん」

 「してるんだぞ、これでも」

 「じゃあ、勉強の仕方がわるひんでほ」

 「食べながらしゃべるなよ。最後の方意味分かんないぞ」

 ムスっとした顔で、ポテトの飲み込んだ。指についた塩までちゃんと舐めとって、ペーパーで残りを拭き取る。

 「ともかく、今日アンタの家に泊まってあげるから、ちゃんと勉強しなさい」

 「はあ!?」

 なんでよりにもよって、矢吹が泊まりに来るんだよ! 波月なら許可しそうで怖いじゃないか!

 「あ、なら俺も。1人じゃ他の事しちゃいそうだから」

 「え!?」

 ちょ、ちょっと待って! それは拒否できないぞ!

 「泊まるってあなた、俺は一応男だぞ!」

 「そうね」

 さらりと返すなよ! 心の中だけで悪態をつく。

 「男はあれだぞ! あれなんだぞ!」

 「あれって何よ。ていうか、有澄は対象外だから大丈夫よ」

 「対象外ってなんだ!」

 「それはあれよ、うん」

 「どれだよ!」

 「まあまあ、落ち着こうよ」

 これが落ち着いていられると思いますか!?

 「波月はいいとして、矢吹は却下だ!」

 「いいじゃない。ほら、ウミちゃんにも教えてあげられるし?」

 「ウミは頭の良い子だから大丈夫!」

 「この前、数学が苦手なんだって相談されたけど?」

 「それはあれだ、うん」

 「どれなのよ」

 「じゃ、今夜はソラの家でお泊り勉強会って事で」

 「けってーい。私、親に電話してくるね」

 「うん」

 あ、あの、俺の意見は聞く気なしですか? というか、何で俺の家なんですか。何で許可もしていない俺の家で決定なんですか。

 「じゃ、頑張ろうね、ソラ」

 「ぇ……あ、うん……」

 ずるい、ずるいよ波月! そんな爽やかな笑顔されたら絶対に断れないじゃん!

 「そういえば、最近ローグ達は学校に来ないね」

 「ウミにこき使われてるから、疲れてるのかも」

 風呂掃除に洗濯、布団干しに玄関掃除。残り食材のチェックに、ジャウネの暴食を防ぐための監視……。ばたばたと走り回っているからなぁ。

 「そうなのかな?」

 「何か気になる事でもあるの?」

 コーラをなくなるまでズズズッとすすり、波月の返事を待つ。今日は何も頼んでいない彼は、矢吹のポテトを摘み食いして、少し困ったような顔をしていた。

 「ソラは、変だと思わないの?」

 「何を?」

 「いつからかさ、急にソラに近づかなくなったと言うか、ちょっと疎遠な感じがしない?」

 「うーん……」

 この前買い物に言った時は、結構仲良く話してたし、変わった様子はなかった気はするけど……。

 でも、波月が言うとおり、学校には来なくなった。前までは、先生の話が面白いとか、人の世界の勉強になるとか、給食をちょっと摘み食いしたりとか、他の人には見えないのかとか、いろいろ楽しそうに過ごしてたけど、最近は何かと理由をつけて来なくなった。矢吹が原因だと、俺は勝手に思っているけど……。

 「何かあったのかな?」

 「俺はそうだと思うんだけど」

 「なんで波月はそう思うの?」

 「いや、ちょっと気になっただけさ」

 「たっだいまー。って、波月! 何人のポテト食べてるのよ!」

 波月の隣に座りながら、矢吹が怒って言った。

 「あぁ、ごめん。小腹が空いてね」

 「だったら何か頼めばよかったでしょう」

 「あの時はお腹が空いてなかったんだ」

 「というか、前に人のポテトを散々摘み食いしてた矢吹が言うなよ」

 「有澄のは私のもの、私のものも私のものよ」

 「なんだよ、そのガキ大将みたいな言い草は!」

 「何よ!」

 「まあ、喧嘩が始まる前に、ここを出ようか。少し混んできたみたいだ」

 「え、うん」

 「ありありさぁ……」




 矢吹が帰ってきちゃったから、あの話はそのまま流れてしまったけれど、ローグ達が少しよそよそしいのは事実だし、時間があったらローグ達と話をしてみようと思った。

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