24、Let’s enjoy お買い物!
折角更新始まったと思ったら、再びドカーンと転んでしまって申し訳ない……。
週一回は更新できるよう、頑張っていきます!
セミロングの黒髪が風に揺れる。ショーウィンドウに映った、妹の顔がほころんだ。
「わぁ、かっわいぃ……」
まあ、一日なんてあっという間に経ってしまうもので、もう土曜だったりする今日この頃。
そして今日は、約束していた通りにデパートに買い物をしに来てます。
「ねね、ソラにぃ」
「ん?」
今までにないくらい眩しい笑顔で、ウミが腕を引っ張りながら言う。
「あっちも見てみようよ!」
「そだねぇ。……ウミ、そ、そんなに急がなくても、服は逃げたりしないからぁぁぁ」
そんな叫びを全くの無視で、妹に連れさられていく俺なのであった……。
「う〜ん……。やっぱこっちかな?」
真剣な表情で2着の服を持ち、悩むのは当たり前だけど、我が妹ウミ。
「う〜ん……。そちらも捨てがたいですわねぇ」
ウミの右肩辺りをふよふよと飛んでいるローグも、彼女と同じ表情で悩んでいる。
「我はどちらも良いと思うぞ」
さもくだらなさそうに言うのは、頭の上に寝そべるウネ。
「俺もそう思うぜ」
ジャウネも本当にどうでもよさそうに、ウネの隣で言う。
なぜ、はっきりウネとジャウネの場所が分かるのかと言うと、鏡の前に立たされているから。
そう、立たされているんですよ!
「でもさぁ、ソラにぃが着るんなら、こっちの方が似合うと思うんだよねぇ」
「そうですけど、たまにはこういう雰囲気の洋服もいいと思いますわ」
「「う〜ん……」」
と言う訳で、いつの間にか俺の服選びに代わりました。えぇ、まだウミ達は自分達の服を探してません。女性用の服のフロアにすら、全く近付いてませんさ!!
「俺はいいからさ、ウミ達の―――」
「ダメだよ!」
「ですわ!」
「で、でも、本来の目的はローグ達に新しく服をって訳だし……。その、ね?」
ち、ちょっと! 2人の顔がメッチャクチャ怖いんだけど! な、なんで? どうして!?
「いくら何でも、ソラにぃはファッションを気にしなさすぎ!」
「ですわねぇ」
「そうか? 動きやすくって、いいじゃん」
ジャウネに、見事に俺の台詞を奪われた……。
「動きやすいかどうかの前に、もっと身だしなみをきちんとしていただかないとですわ!」
「うんうん」
力強くウミは頷く。
「だが、少し出かけるくらいで、そんなにキチッとしなくても良かろう」
うんうん。ウネに賛成!
「だからって、あの格好はないでしょ」
ないとか言わないで! 微かに傷つくっ!
「だらしないにもほどがありますわ!」
だらしなくしたつもりはないよ!
え? どんな格好してたのかって?? じゃ、ちょっと時間を戻りますか……。
****
「さぁてと、行こうか」
階段を下りながら、玄関で待っていたウミに言った。
すると、
「ちょっとソラにぃ!?」
「ん?」
「ん? じゃないわよ! 何なのその格好!」
「い、いつも通りだけど」
「そんな格好で出歩いてたの!?」
そ、そんな格好でって……。無地の白いTシャツに学校のジャージじゃダメなんですか?
我が妹ウミはというと、裾はふわりと広がり、レースが二重に刺繍された、優しい色の水玉模様の服に、膝までのジーンズ。その格好に良く似合う水色にヒール。俗に言う、今時な女の子の格好なんですかねぇ。
「ただちにまともな格好になってきなさい」
「え、でもこれが俺の」
「着替えてきなさい」
「でも、これが俺流のね」
「着替えてきてね」
「だって、いつもこんな感じ」
「着替えて、ね?」
う〜ん、笑っているはずなのに、目が笑っていないよねぇ。逆にどんどん怒りに燃えてきてるよねぇ。……なんで?
「わ、分かったよ……」
「よし、それでこそソラにぃだわ」
****
と言う訳で、今はジャージをジーンズに変えた格好になっている訳でありますね。えぇ、これでも嫌だと言われましたよ。でも、ジャージよりはマシだって言ってくれました。
「うーん……。両方買うと、私達の服が買えないもんねぇ」
え、買う気なの? 俺の意見を全く取り入れないまま買う気なの?
「ですわねぇ……。どちらか一つに選ばないと」
いや、決めるの俺だよね、普通。というか、本来の目的忘れないで! 本当に!!
あぁ、ちなみにウミが持っている2着の服は、カジュアルな感じの服と、フォーマルな感じの服です。どっちも、俺は着ないと思うよ……。
「なあ、青年よ」
「何?」
「たまには男らしくビシッと言ったらどうなんだ?」
「う〜ん、どうなんだけどねぇ……」
ウミって昔っから服の事にはうるさかったからなぁ。口出ししたら……、あぁ、恐ろしいおぞましい!
「なぁ、ソラぁ」
「ん?」
「腹減った……」
ジャウネよ、他に言う事はないのか? 毎回毎回腹減ったってお前……。
「こっそりアイスクリームでも食べに行く?」
「アイスクリーム!? 行く行く! 食べに行く!」
元気いっぱいに、挙手までして返事をしたのはジャウネ。と思わせて、ウミだったりしちゃったりする。
「じゃ、俺の服は買わないって事で。OK?」
「えぇー。またあんなダサい服で隣を歩かれるんだと思うと……」
「じゃ、このまま帰っちゃうけど?」
「それだけはダメ! せめてアイスを! アイスクリームを!」
「はいはい。じゃ、行こうか」
「わーい♪」
さて、俺に訪れた危機(?)は去ったようです……。
そして、結局今日は、アイスクリームを食べて、ウミの洋服を少々買っただけで終わったのだった。
ん? ローグ達のはどうしたのかって?
それはですね、その……彼女らの趣味に合うのはですね。に、人形の服だったので、買わないで終わったんです……。まあ、ちょっと不服っぽかったけど。
とりあえず! めでたしめでたしであったのじゃった。