表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
24/80

24、Let’s enjoy お買い物!

折角更新始まったと思ったら、再びドカーンと転んでしまって申し訳ない……。


週一回は更新できるよう、頑張っていきます!


 セミロングの黒髪が風に揺れる。ショーウィンドウに映った、妹の顔がほころんだ。

 「わぁ、かっわいぃ……」

 まあ、一日なんてあっという間に経ってしまうもので、もう土曜だったりする今日この頃。

 そして今日は、約束していた通りにデパートに買い物をしに来てます。

 「ねね、ソラにぃ」

 「ん?」

 今までにないくらい眩しい笑顔で、ウミが腕を引っ張りながら言う。

 「あっちも見てみようよ!」

 「そだねぇ。……ウミ、そ、そんなに急がなくても、服は逃げたりしないからぁぁぁ」

 そんな叫びを全くの無視で、妹に連れさられていく俺なのであった……。




 「う〜ん……。やっぱこっちかな?」

 真剣な表情で2着の服を持ち、悩むのは当たり前だけど、我が妹ウミ。

 「う〜ん……。そちらも捨てがたいですわねぇ」

 ウミの右肩辺りをふよふよと飛んでいるローグも、彼女と同じ表情で悩んでいる。

 「我はどちらも良いと思うぞ」

 さもくだらなさそうに言うのは、頭の上に寝そべるウネ。

 「俺もそう思うぜ」

 ジャウネも本当にどうでもよさそうに、ウネの隣で言う。

 なぜ、はっきりウネとジャウネの場所が分かるのかと言うと、鏡の前に立たされているから。

 そう、立たされているんですよ!

 「でもさぁ、ソラにぃが着るんなら、こっちの方が似合うと思うんだよねぇ」

 「そうですけど、たまにはこういう雰囲気の洋服もいいと思いますわ」

 「「う〜ん……」」

 と言う訳で、いつの間にか俺の服選びに代わりました。えぇ、まだウミ達は自分達の服を探してません。女性用の服のフロアにすら、全く近付いてませんさ!!

 「俺はいいからさ、ウミ達の―――」

 「ダメだよ!」

 「ですわ!」

 「で、でも、本来の目的はローグ達に新しく服をって訳だし……。その、ね?」

 ち、ちょっと! 2人の顔がメッチャクチャ怖いんだけど! な、なんで? どうして!?

 「いくら何でも、ソラにぃはファッションを気にしなさすぎ!」

 「ですわねぇ」

 「そうか? 動きやすくって、いいじゃん」

 ジャウネに、見事に俺の台詞を奪われた……。

 「動きやすいかどうかの前に、もっと身だしなみをきちんとしていただかないとですわ!」

 「うんうん」

 力強くウミは頷く。

 「だが、少し出かけるくらいで、そんなにキチッとしなくても良かろう」

 うんうん。ウネに賛成!

 「だからって、あの格好はないでしょ」

 ないとか言わないで! 微かに傷つくっ!

 「だらしないにもほどがありますわ!」

 だらしなくしたつもりはないよ!

 え? どんな格好してたのかって?? じゃ、ちょっと時間を戻りますか……。



                    ****



 「さぁてと、行こうか」

 階段を下りながら、玄関で待っていたウミに言った。

 すると、

 「ちょっとソラにぃ!?」

 「ん?」

 「ん? じゃないわよ! 何なのその格好!」

 「い、いつも通りだけど」

 「そんな格好で出歩いてたの!?」

 そ、そんな格好でって……。無地の白いTシャツに学校のジャージじゃダメなんですか?

 我が妹ウミはというと、裾はふわりと広がり、レースが二重に刺繍された、優しい色の水玉模様の服に、膝までのジーンズ。その格好に良く似合う水色にヒール。俗に言う、今時な女の子の格好なんですかねぇ。

 「ただちにまともな格好になってきなさい」

 「え、でもこれが俺の」

 「着替えてきなさい」

 「でも、これが俺流のね」

 「着替えてきてね」

 「だって、いつもこんな感じ」

 「着替えて、ね?」

 う〜ん、笑っているはずなのに、目が笑っていないよねぇ。逆にどんどん怒りに燃えてきてるよねぇ。……なんで?

 「わ、分かったよ……」

 「よし、それでこそソラにぃだわ」



                      ****



 と言う訳で、今はジャージをジーンズに変えた格好になっている訳でありますね。えぇ、これでも嫌だと言われましたよ。でも、ジャージよりはマシだって言ってくれました。

 「うーん……。両方買うと、私達の服が買えないもんねぇ」

 え、買う気なの? 俺の意見を全く取り入れないまま買う気なの?

 「ですわねぇ……。どちらか一つに選ばないと」

 いや、決めるの俺だよね、普通。というか、本来の目的忘れないで! 本当に!!

 あぁ、ちなみにウミが持っている2着の服は、カジュアルな感じの服と、フォーマルな感じの服です。どっちも、俺は着ないと思うよ……。

 「なあ、青年よ」

 「何?」

 「たまには男らしくビシッと言ったらどうなんだ?」

 「う〜ん、どうなんだけどねぇ……」

 ウミって昔っから服の事にはうるさかったからなぁ。口出ししたら……、あぁ、恐ろしいおぞましい!

 「なぁ、ソラぁ」

 「ん?」

 「腹減った……」

 ジャウネよ、他に言う事はないのか? 毎回毎回腹減ったってお前……。

 「こっそりアイスクリームでも食べに行く?」

 「アイスクリーム!? 行く行く! 食べに行く!」

 元気いっぱいに、挙手までして返事をしたのはジャウネ。と思わせて、ウミだったりしちゃったりする。

 「じゃ、俺の服は買わないって事で。OK?」

 「えぇー。またあんなダサい服で隣を歩かれるんだと思うと……」

 「じゃ、このまま帰っちゃうけど?」

 「それだけはダメ! せめてアイスを! アイスクリームを!」

 「はいはい。じゃ、行こうか」

 「わーい♪」

 さて、俺に訪れた危機(?)は去ったようです……。




 そして、結局今日は、アイスクリームを食べて、ウミの洋服を少々買っただけで終わったのだった。

 ん? ローグ達のはどうしたのかって?

 それはですね、その……彼女らの趣味に合うのはですね。に、人形の服だったので、買わないで終わったんです……。まあ、ちょっと不服っぽかったけど。

 とりあえず! めでたしめでたしであったのじゃった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ