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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
23/80

23、お給料の使い道は?


大変長らくお待たせいたしました><

え? そんなに待ってねぇよ。つか、待ってなかったんだけど? ですと……。


……グスン……。


と、とりあえず、久しぶりな投稿、なので、うぅ、張り切ってまいりますっ。


 いやぁ、テスト期間中というものはいいですなぁ。バイトし放題じゃないか♪ ん? 中学生のクセにそんな事してていいのかって? しかも、テスト期間中に。

 ズバリお答えしよう! ダメですねぇ……。でもあれですよ、あれだからあれで大丈夫なんですよ。

 「有澄君、今日もありがとうねぇ」

 「いえいえ、こちらこそですよ」

 優しく微笑むとえくぼが浮かぶこの人は、俺の友達のおばさん。テスト期間中に、経営している和菓子屋さんを手伝わせてもらっているのだ。レジ係じゃまさかのお客様が来た時にまずいから、梱包とか裏で小さな作業とかしかしてないけどね。

 「では、また明日〜」

 「あぁ待って。はい、これ」

 白いエプロン姿のおばさんが差し出したのは、茶封筒。

 ……こ、これはもしや!

 「最近頑張ってくれてるから、ちょっと早めのお給料よ」

 「い、いいのですか?」

 「いいのいいの! 手伝ってくれるのは有澄君しかいないんだもの」

 おぉ、神様仏様! いい事は、バイトはしておくべきですね!!

 「有難うございます!」

 「いえいえ。また明日もよろしくね」

 「もちろんですよ!」



                    ****




 と、言う経緯で得たお金……。さぁ、何に使おうか?

 「ソラ様、今日の当番は何でしたでしょうか?」

 「ん? ローグは玄関掃除だよぉ」

 「了解ですの!」

 うむ、いい返事だ。

 パタパタと実体化して去って行ったローグの背中を見送って、再び考える。

 来月まで食材は余裕でもつだろうし、これといって必要な生活必需品はないかも……。

 「おい、青年。食器を洗い終えたぞ」

 実体化を解いて、ウネが頭の上でくつろぎながら言う。

 「ん? じゃあ乾いたら食器棚にしまっておいてね」

 「乾くまで何をしていてもいいのじゃな?」

 「2階の部屋の掃除はした?」

 「あぁ、まだだったな」

 そして、ふよふよとウネも去って行った。

 んで、再び考える。う〜ん……どうしたものか。

 初めてローグ達が実体化して壊されテーブルも、なんとか修復出来たし新しく買う必要ないよなぁ。椅子も大丈夫だし、和室の畳はちょっと傷んでるけど、気になるほどじゃないし……。

 「ソラァ、飯はまだかぁ」

 「まだだよジャウネ。というか、さっきおやつにドーナツ食べたばっかりだろう」

 「足りなかった」

 「……」

 ひ、人の分まで食べておいて、足りなかっただと!?

 「なあ、飯ぃ」

 ジャウネがべトッと頭の上に寝そべる。そして、ぎゅるるーと壮大にお腹を鳴らした。

 「……分かったよ。おにぎりでも作ってやるよ」

 「やっほーぃ! サンクス、ソラ!」

 ローグとウネは週に2回くらいしか食べないのに、なんでジャウネは毎週俺らよりも食べるんだ……。

 で、ジャウネにエサ……じゃなくって、本日二度目のおやつを与えたところで。

 「なあ、さっきから何に悩んでんの?」

 テーブルに置かれた皿の上におにぎりを抱える様にして座りながら、それを食べるジャウネが聞く。もう少し小さく作ってあげれば、もっと食べやすかったかな。

 「んー、お給料はどう使おうかなぁと」

 「おきゅうりょう? なんだ、うまいのか?」

 「食べられないから……」

 「なんだ、そうなのか」

 「何の話をしてますの?」

 掃除を終えたのか、ローグが実体化したままやってきた。

 「お給料の使い道について話してたんだよ」

 「おきゅうりょう? なんですの、チャーハンの具ですの?」

 「いや、食べられないから……」

 「あら、そうなんですの」

 実体化を解いて、俺の右肩に座る。両足をふらふらと振った。

 「ジャウネはまた食べてるんですの?」

 「腹が減ったんだもん」

 もう半分くらいになってしまったおにぎりを、大切そうに抱えながら、お米を少しずつ摘み取って次から次へと口に放り込みながら、もぐもぐとジャウネは言った。

 「なんだ、みな集まって」

 掃除から帰ってきたウネは、再び実体化を解いて、俺の頭の上に座る。もう、定位置になりつつあるな。

 「ん、ちょっとお給料についてねぇ」

 「おきゅうりょう? なんだ、新しいドラマの題名か?」

 「だから、食べら……じゃないや、そういうんじゃないよ」

 「ほう、そうなのか」

 「お給料って言うのは、働いてくれたお礼にくれるものなんだよ」

 「ふーん」

 ジャウネは全く興味がなさそうに言うね。

 「そうなんでしたか」

 「ふむ、なら我らももらっても良いのではないか?」

 「え?」

 確かにローグは良く働いてくれるけど、ウネは時々サボるじゃないか。

 「我らだって働いておるぞ」

 「例外はいますけどね……」

 ジャウネはだいたいサボるし、寝てるか食べてるだけだからねぇ。だからウミの堪忍袋の緒が切れるんだよ……。

 「で、お給料って何がもらえるんですの?」

 「ん、お金だよ」

 「飯を買ったり服を買ったりするのに必要な物の事じゃな」

 「だよぉ」

 「服ですかぁ……」

 そう言って、ローグは自分のドレスをちょっとつまんで、考えるように口をへの字に曲げた。そして横目に俺を見て、うーんと唸って、またドレスを見つめた。

 ローグもウネもジャウネも、出会った時のまま服は変わっていない。赤を基調とした、ふわふわとレースが多いドレスのローグ。橙を基調とし、体のラインに沿う、スカートだけがフワッと膨れているウネのドレス。黄色のだぼだぼの半袖に、上着より薄い色をした七分丈のズボンに白いスニーカーのジャウネ。ローグとウネはいいとして、ジャウネはもう少し洋服に気を使ったりしないのかな……。

 「新しい服くらい、欲しいよねぇ」

 ボソッと呟いてみれば、ローグに激しく反応があった。

 「ですわ!」

 うーん、なんてキラッキラな瞳……。か、可愛いじゃないかっ。

 「我もこんなドレスいやじゃ」

 「んー、俺は別にかまわねぇな」

 うん、ジャウネはなんでもどうでも良いって感じがする。そういうオーラを君は纏っていると俺は思うぞ!

 「じゃあ、明日は学校あるから、明後日の休みの日にみんなで買い物でも行こうか」

 「行きますわ!」

 「まあ、青年がそういうのなら行ってやらん事もない」

 「食いもの!」

 ジャウネ、君はまずそれですか……。

 「たっだいまー」

 「おかえりー、ウミ」

 リビングの入り口で、うーんと伸びをしてから、ウミは俺の隣の席に座ってまた伸びをした。そして、何かに気付いたように俺に言った。

 「なんか楽しそうな話してたでしょ?」

 「出かける約束しただけだよ」

 「出かける!? そんなお金がどこに」

 「ここに」

 「あるの!?」

 おーう、ローグより眩しいキラッキラな瞳だ……。

 「で、何買うの?」

 「とりあえず、ローグ達に新しい服でもと」

 「えー。ローグ達はお人形の服あげるから勘弁して」

 「に、人形の……?」

 「たぶん、ギリギリではいるでしょ」

 まあ、小さいしねぇ、ローグ達。でもさ、ちょっとでも可哀相だなとか思わないのかな、我が妹は……。

 「あ、新しいのが良いですわ!」

 「何よ、居候のくせに!」

 「好きで居候している訳じゃないですわ!」

 「じゃあ出て行きなさいよ!」

 「他に行く当てがないのに追い出すつもりですの!?」

 「波月さんの所か、矢吹さんの所があるでしょう!」

 「矢吹さんだけは絶対嫌です!」

 哀れなり、矢吹。君のその可愛い物好きが祟った様で、可愛いものから嫌われるなんて、ざまあみ……じゃない、ドンマイとしか言えないよ。

 「波月さんは?」

 「え、遠慮させていただきますわ」

 まあ、お家柄がねぇ。

 「とりあえず、買うなら私の服買ってよ、ソラにぃ!」

 「うぇ!?」

 か、蚊帳の外だと思ってて、何も考えてなかったぞ!

 「いいえ、私達のも買っていただきますわ!」

 「図々しいわね!」

 「いいじゃないですの! ソラ様の方から買って下さるって言ったんですし!」

 「ソラにぃの言う事を鵜呑みにしちゃだめよ!」

 えぇ!? な、なんでさ!

 「だいたい現実から遠くはなれた事言うんだから!!」

 ……そ、そんなぁ。俺だってちゃんと現実を見て言ってるのに。

 「ともかく、約束は約束ですの!!」

 「へんっだ!」

 で、なんで君達はそこまで仲が悪いの? というか、なんで顔を会わせる度に火花を散らせるの?




 そして、結果としてローグ達とウミの洋服を買う事になったのであった……。

 「居候のくせに!」

 「生意気な小娘のくせに!」

 うーん、そろそろ口喧嘩は終わりにしようねぇ、ローグとウミよ……。

さてさて、一身上の都合でしばらく休載していた訳ですが……。

まあ、スランプの中のどスランプだったんですけどね……。

それ+私情で更新ができなくて大変申し訳ありませんでした。m(_ _)m


これからも『アルカンシエル』で人に笑いと、心に小さな温もりを与えていければと思っているので、どうか最終話までお付き合いいただけると幸いです。


ではでは、これにて失礼致しますっ。

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