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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第一章 妖精との出会い
2/80

2、痛い出会い方


う〜ん、題名と中身がかみ合ってない気がするけど、2話どーぞ!

 ……分からない。実に、分からない。そして、面白くない。眠い、おやすみ……。

 「ソラ、寝ちゃダメだって」

 「いや、もう無理。マジでたえられません……」

 「そんなに嫌い? 数学」

 「大っ嫌い」

 「だからこそ、頑張って起きてないとダメだろ?」

 「え? そうなの?」

 「だと思う」

 「……」

 「だから、寝るなって!」

 隣の席で、焦ってる波月が見える。ああ、焦ってもカワユイぞ。……って、俺、なんて事を考えているんだ!

 「あ、起きた」

 「有澄ソラ、一生の不覚」

 「何が?」

 「え? いやいや、なんでもないッス」

 そう、と言って、波月は真剣に黒板を見る。偉いなぁ、カッコいいなぁ、カワ……

 「じゃなくて!」

 「どうした、有澄」

 勢い余って立っちゃったぁ! ヤ、ヤバい! 教室中の視線が痛い! メッチャ遺体! じゃなくて、痛いよ!

 「珍しく授業に参加してたのか。じゃあ、この問題解いてみろ」

 「え!?」

 「何だ? 分からんのか?」

 「わ……」

 チョッツ、待て、俺。ここで分からないと言ってみろ。補修決定じゃね? 成績ダウン、決定じゃね? それって、メッチャヤバくね!? 将来的に!

 か、考えろ、俺。よぉく、考えるんだ。今は何の時間だ? おやつタイムか? ティータイムか? 違うだろ? 数学の授業中だ。良く考えれば、おのずと答えは見えてくる!

 はずですよね!?

 黒板とにらめっこ、開始! 笑ったら負けだぞ、分からなかったら負けだぞ、隣で必死に教えようとしている波月を見ても負けだ! 頑張って、答えるんだ、俺!

 えぇと、Xの2乗……2乗!? 2乗って何だっけ!?

 あ、焦るな俺! じ、時間なら、ま、まだたくさんあるんだ。そ、それに授業参観とか、そういう行事でもないんだから、落ち着けば解けるはずだ! そうやって、いつも乗り切ってきただろう!?

 よ、よし! 頑張るぞ!!

 Xの2乗+7X−18……。こ、これは、関数……だっけ??

 「え、え、えっとぉ―――」

 じ、時間を稼ぐんだ! できるだけ時間を稼いで、問題を解け!! 相手に感情を読まれるな! お前、できないんだなって、思わせちゃぁいかんぞ! 断じていかん!!

 え、ええと、えっと! た、足して7になる数字と、かけたら18になる数字を探すんだ!!

 ……って、そんなの浮かばないよ! ていうか、そんな数字あるの!? あったら、無敵じゃん! ある意味で! どんな意味かはご想像にお任せします!!

 「どうした、有澄。答えは?」

 「こ、ここ、答えは……」

 分からない、分からないっすよ、先生! 気付いて、先生!! 俺は数学が苦手なんだ、この問題の答えは分からないんだぁ!

 「答えは……なんだ?」

 ニッコリスマイルの先生。酷い、生徒の気持ちが分からないなんて……うう。

 ……仕方ない、こうなったら、……適当な答えを言うまでだ!!

 「え、X=……」

 「X=、なんだ」

 「Xい、=……−5!!」

 「……」

 何この静けさ!? クイズミ○オネア!? そうなのか、そうだったのか!?

 「残念、違う。どうして−5になるんだ、有澄」

 「……そ、それはぁ」

 「それは?」

 「……怒らないですか?」

 「場合によって、だな」

 じゃあ、怒られる事決定ですね。だって、理由がアレだもん。メッチャアレだもん。

 「す、好きな数字が、5だからです」

 「……はぁ。そんな事だと思ったよ」

 「マジっすか!? ……じゃ、なくて、本当ですか!」

 「目をキラキラさせるな、有澄。褒めてないからな」

 「……あい、すみません」

 やっぱりなぁ、やっぱだったなぁ。好きな数字じゃダメなんだなぁ……。

 「ドンマイだよ、ソラ」

 小声でそっと励ましてくれる波月。ああ、神様……有難う。

 「……うう、ありがとう、波月様」

 「くるしゅうないぞ」

 ねぇ波月……それじゃ、殿様だよ。王子様イメージが、轟音を立てて崩れ去っちゃうよ。

 でも! でも、その微笑みにはやれらました。完敗です。もう何の気力も残されてないよ。



                    *******



 「はぁ、今日の数学、最悪だった……」

 「いつもの事じゃないか、気にするなよ」

 微笑んでくれてるけど、さらっとメッサ黒い事を言ったよ、波月。

 「いつもの事って……傷付くなぁ」

 「え、そう? 面白くって、いいと思うけど?」

 「そう思う?」

 「ああ、バリバリに」

 ああ、バリバリにあなたはカッコいいです、波月様。輝いてます、神々しいです。ああ、眩しい……。

 「あ、そうだ。今日、マック行かない? 百円マックで」

 「いいね。でも、百円マックって、何?」

 「百円で、マックの商品が一つだけ買えるのです! 例えばマックシェイク。OK?」

 「バリバリに」

 「なら、早く行こう」

 ああ、眩しすぎるよ、波月様! 笑わないで、俺の目の前で、笑わないでぇ!

 「―――ってぇ!!」

 歩き出した俺の頭に何かが直撃!

 ガッツーーーン、いきましたよ、ガッツーーーンて!!

 「痛いですわ! もう、前方不注意にも程がありますわ!!」

 「貴方こそ前方不注意じゃなくって!?」

 「……ソラ、真似なくてもいいんだぞ」

 あ、そうでした。……なんかすみません。

 ていうか、この子誰!? メッサ小さくね!? 掌サイズじゃね!?

 「……と、言いますか、貴方には私が見えるんですの?」

 真っ赤なおめめが、俺を見つめる。も、萌えぇ……!

 「貴方にも、私が見えているようですね?」

 「見えてると、何か珍しいの?」

 「そうですわね。だって、私は、妖精ですもの、虹の」

 妖精! うん、見た目的にはピッタリだね。ていうか、萌え二人の会話、メチャ萌え!

 「大丈夫ですの? お連れの方、鼻血が出ておりますわ」

 「! どうした、ソラ! 大丈夫!? ……ほ、ほら、ティッシュ」

 「あ、有難う、波月。ダイジョーブ、ちょっとテンション上がっただけだから」

 すみません! ちょっとどころじゃないんですけど! 内心滅茶苦茶テンション高いッスよ。メッサテンションアップで、もうMAXなんス。もうこれ以上、上がれないんです!

 「本当に大丈夫なんですの?」

 「大丈夫なんですの」

 「だから、真似なくていいって」

 「あ、そうでした、すみません……」

 「この方は、貴方の召使いか何かでして? ちょっと頭が鈍そうですわ」

 「確かに頭は鈍いけど、召使いとか、そういうものじゃない。友達です」

 「波月ぃ〜」

 「だって、そうでしょ? ソラ」

 はい、そうです! そうですよね、波月様! 貴方のような瞬殺スマイルの持ち主が友達で良かった!

 「ハヅキ? ソラ? ソラって、あの空ですの?」

 そう言って、赤いマニキュアで塗られた爪で、青空を指す。うん、最初はそう思うよね。

 「違うよ、それは俺の名前。空は空でも、俺はカタカナでソラ。有澄ソラだよ。で、こっちは―――」

 「波月奈津、よろしく。で、君の名前は?」

 神々しい微笑み! ヤバいぞ、また鼻血が!

 「私ですの? 私は、ローグと申しますの。こちらこそよろしくお願いしますわ、奈津様」

 な、奈津様、だと! 何だ、その心地いい響きは! 俺は、まだ下を様付で呼んだ事なんてないけど、なんか合ってるぞ!

 「よろしくですの、ソラ様」

 ちょっとだけ笑って、ほっそい手を差し伸べる、ローグちゃん。か、カワユイぞ……。

 「よろしく……ローグ」

 くすぐったそうに笑う彼女。ヤ、ヤバい! お、俺の萌えポイントを上手くついてきやがるぜ、コノヤロー!!




 そしてここらか始まったんだ。俺の忙しい(?)日々は。その頃の俺にはよく分かってなかったけど、結構大変な事を引き受けてたんだよな、俺……。




 「そうだ、マックシェイク。食べに行こう、ソラ。それに、ローグも」

 「マックシェイク? それは何ですの」

 「冷たいアイスみたいな……う〜ん、飲み物?」

 「まあ、私、甘いものは大好きですわ! さあ、行きましょうですの!」

 「お、おう」

 激萌えツーショットに、窒息死寸前の俺。

 これから先、大丈夫だろうか。無事に、駅前のマックまでたどり着けるだろうか……。


良かったら、感想・評価などお願いします!

あと、誤字脱字等ありましたら、下弦までよろしくお願いしまぁす。

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