14、妖精に迫る危機……かもしれない!
更新が遅くて申し訳ございません。m(_ _)m
もう一つの連載の手直し、これの手直しでタイミングを逃していたのも事実……。まあ、言い訳にしか聞えませんがね……たはは……。
ちまちまと更新を再開しますので、応援よろしくお願いします!
全ての授業を終えて、只今妖精2ひ……ごっほん、2人連れて帰宅中。波月は書道部に、矢吹は柔道部の活動に参加してるはすだから、今日は俺1人なんです。いつも3人で1セットって訳じゃないんですよ。
「あの、ソラ様」
「むん?」
右側をふわふわと飛びながらローグが話しかけてくる。
「なぜソラ様はブカツというものをやらないんですか?」
「んーとね」
なんでだっけねぇ。あっはは、忘れたねぇ。
「忘れたそうだ」
左側をローグと同じようにふわふわ飛びながらアッサリとウネが心の中を暴露。
ひどい! ぷらいばすぃーの侵害だ!
「そ、そこまでソラ様は馬鹿じゃ……あ! いえ、馬鹿だって思っている訳ではなくてですね、その、あれですよ、例えというか、そのあれです!」
「要するに、馬鹿と言いたいんじゃな」
「ウネビガラブ! 失礼ですわ!」
「最初に馬鹿と言ったお前が悪い」
「馬鹿なんて言ってません! ソラ様はちょっと抜けてるところがあるんですの!」
「簡単に言えば?」
「馬鹿ですの! ……あ」
うん、遅すぎる理解を有難うローグ。
んでもってさぁ、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿言わないで。グッサリ心に矢が刺さったからね? もう抜けないかもよ? どうしてくれるの? ていうかなんかデジャヴだよ。
「いいよ、気にしてないから。気にしてなんか……うぅ」
あれ、なぜだろう。目から生温い変な液体が……。
「青年よ、いい年をして泣くものではないぞ」
「ソラ様、お気を確かに!」
「いいよもぅ、なんかもう、もう……」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
はい、はたから見れば急に泣き出す中学3年怪しい子! 笑えばいいのか、自分を哀れめばいいのか、もう分からないよ……。どうしたらいいんですか、このすごく複雑な気持ち。
「とりあえず、馬鹿馬鹿言ってすまなかったな、青年よ」
おぉ、ウネが謝るなんて! なんて珍しい!
「口に出して言ってみろ、地獄に叩き落してくれようぞ!」
「ごめんなさい!」
「? ソラ様どうなさったの?」
「ちょっとウネを褒めただけさ」
「褒めたのに謝るんですの?」
「それは、あれだよ。気にしちゃいけない、触れちゃいけない部分さ」
「まあ、どうせウネビガラブが悪いんでしょうからいいですの」
「なぜ私が悪いと決め付ける!」
「ソラ様は真っすぐですもの。歪めてるのはアナタですの!」
「なんだと!?」
「なんですの!?」
あー、こういう事を喧嘩するほど仲が良いって言うのでしょうか。というか、ホント仲悪いねぇ、この子達……。一緒に仕事してるみたいだけど、うまくやってるのかな。
「相変わらず、オメェらは仲がいいなぁ」
おぉ、同意見の方が……。
「これのどこが仲良しに見えるんですの!?」
ん? あれれ?
「コイツと同族という訳で虫唾が走るのに!」
ローグとウネは喧嘩中だよねぇ。なのになぜもう1人? あ、俺か。いや、違うよね、うん。
「そーゆーのを仲が良いって言うんだぜ?」
「アナタの目は節穴でして!?」
「コイツと仲が良いなどありえぬ!」
「まーまー、落ち着けって」
「だいたい、アナタが私とウネビガラブが仲が良いなんて言うからいけないんですの!」
「そうじゃ!」
「だってさぁ、息ピッタリじゃんか」
ニヒヒと笑う、黄色い飛行物体A。ちなみに、俺の前を飛んでおります。
「ジャウネは昔からそうですの! お気楽で能天気!」
む? じゃうね?
「そして人をからかって遊ぶ!」
んー、聞いた事あるなぁ、じゃうね。じゃうねーじゃうねーじゃうねー。
……はっ!!
「「「ジャウネ!?」」」
「な、なんだよ」
見事な俺らのハモりに、ちょっと引く黄色い飛行物体A。改め、ジャウネ。
見た目はローグとウネにそっくり。そりゃあ、そうだろうねぇ。同じ虹の妖精なんだし。違う所といえば、ボーイッシュ? というか、男の子のだよねぇ。
「な、何でアナタがここに!?」
「いや、オメェらと同じ理由なんだが……」
詰め寄るローグに、さらに引くジャウネ。
「お主、浅草を満喫していたのでは!?」
「いや、お前と約束の場所で待ってたのに来ないから、気配追ってここまで来たんだけど……」
怖い顔で詰め寄るウネに、さらにさらに引くジャウネ。
「あ、はじめまして。俺、有澄ソラって言いますだ」
「おぅ、ご丁寧にどうも。俺はジャウネだ」
「よろしゅうに」
「こちらこそ……って何で見えてるんだ!?」
遅すぎるよ! もうちょっと前にツッコんでくれると思ってた!
「ソラ様ははぐれた私を見つけてくれたんですの」
「んで、かいしゅ……我らを集めるのを手伝ってくれているのじゃ」
「へぇ〜」
回収って言いかけたよね、ウネ。明らかに回収って―――
「うるさい!!」
「あだっ」
左目にダイレクトアタックだと!? めっさ痛かったぞ! てか、親子連れの目線が突き刺さってるんだけど。お母さんからの訝しげな目線が痛すぎるんだけど。無邪気に笑う子供を見習ってください。
「八つ当たりは良くねぇぞ、ウネビガラブ」
「ソラ様は何も言ってませんわ」
「いいのだ! ちょっと蹴りたかったのだ!」
「「そ」」
つ、冷たい子達だな……。
まあ、それはそれで、道の端っこに踏まれないよう置いといてっと……。
「それより、その他大勢はどうした?」
そ、その他大勢ってアナタ……。仲間でしょう?
「今探している最中ですの」
「ふーん」
「あからさまにどうでも良さそうな返事だな」
「だってどーでもいいじゃんか。エンジョイできればそれでよ」
「くないですわ! 私は迷子にさせられたんですのよ!」
「まぁ、探さなくてもいいと思うのは同意見だが、この馬鹿がうるさいからな」
「なるるー」
「馬鹿じゃないですわ! 少なくともソラ様より……はっ!!」
うはー、まさかの指名だー。どうしよう、こんなに喜べない指名初めてだよ。
「うん、いいんだよ、気にしないで、うん」
「す、すみませんですの。ついつい本音が……あぁっ!!」
「ズタボロじゃな」
「ボロクソ言うねぇ」
ズタズタのボロッボロの心に、さらに追撃が来るとは思わなかったよ!
「そ、ソラ様!?」
道の真ん中にへたり込む俺。そんな俺を遠ざけて歩く人々……。あぁ、また親子連れが冷えた目線を送ってくるよ。
「ねぇ、お母さん。あの人何してるのぉ?」
「ダメよ、見ちゃいけません!」
うん、見ないで。積極的に見ないで。でも遠ざけて歩かないで! ハムスターな心が悲鳴をあげてるから!
「ハムスターな心って何だ」
「あれじゃね? 『寂しすぎると死んじゃうよ?』みたいな心」
「面倒な心ですわねぇ」
「その面倒な心の持ち主が、目の前でどんどんブルーになっていっているが?」
「ソラ様! お気を確かに!」
誰がここまで俺の心ボロボロにしたと思ってるんだよぅ。ていうか、本題に入らせてよぅ。
「大丈夫、泣いてないよ。泣いてなんかいないから。うん、全然平気」
平気じゃないけどね!
「ならいいですの」
「青年をここまで暗くさせたのはお前だと言うのに……」
「何か言いましたか?」
「何も言っておらぬ」
「てーか、腹減ったぞ」
「よし、俺んち行こう。というか、問答無用で回収します」
「回収?」
「あ、まあそれは気にしないで」
「気にしたら負けですのよ」
「そうだな」
「んー、いまいちよく分かんねぇけど、コイツについてけば飯食える?」
「「食える食える」」
素晴らしき棒読みハモりん。
「よーし、ならとっとと行こうぜ!」
元気な君が羨ましいよ、えっと……じゃすと?
「ジャウネだ」
「そーそー、それそれ」
「……はぁ」
「なぜため息?」
「気にしてはならぬ、青年」
「りょーかい」
「ぅおーーーーーーーーい!」
ジャウネの叫び声が遥か彼方に……。って、えぇ!?
「道はどっちだ?」
「えっと、次の角を右で、二つ目の信号を左ですぐ角に見える水色の家が」
「よっしゃーーーー! 待ってろよ、飯いいいぃぃぃぃぃぃぃ……」
「おー早い早い」
遠かった声がさらに遠くなって消えました。まだ話の途中だったんだけどなぁ。
「ジャウネは食べ物の事となると、誰にも止められませんからね」
「そーなんだ……」
「しかし、ヤバくはないか?」
「「ん?」」
……あ、思い当たる危険人物が1人。
「私達を嫌うあの娘に知られたら……」
「んー、ジャウネの身が危ない……」
「ゆ、夕食がもしかしたら……」
「「「妖精のソテー!?」」」
ひえぇぇぇぇぇぇぇぇ! それはいかん! 断じていかんぜお!
「ウミィィィィィィィィ! はやまっちゃいっけなぁーーーーーーいっ!!」
「そ、ソラ様ぁ! 早いですの!」
「服にしがみついておいて良かった……」
「卑怯ですの! ウネビガラブの馬鹿あああぁぁぁぁぁぁ……」
ローグの声も遠ざかり、というかそんな事どうでもよくて!
黄色の飛行物体Aを! ジャウネを危険から救わねばああぁぁぁぁぁ……。