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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
12/80

12、正直、無理です


久々すぎる更新ですみません……(泣

 まあ、1日なんてあっという間に過ぎるものでして、謎の来客者が来てから、もう2日は経ちました。それ以来あの人達に会う事もないし、俺としては幸せでもう心が春です。春気分です。でも、季節は夏なので当然、

 「あづー」

 「暑いですわー」

 「……暑いな」

 な訳ですよ。

 貧乏な俺の家にはクーラーなんてないし。あーいや、あるんだよ、ホントは。でも、電気代がね。扇風機で耐えてもいいけど、風が生温い。これほど悲しくて悲しくてたまらない事は、きっと他にはないっ!

 リビングでぐでぇーと伸びてる俺と妖精姿のローグとウネ、それプラス生活費破壊神ウミ。

 「ソラにぃ……」

 「なんだい、我が妹よ」

 「鬱陶しい言い方しなくていいからさぁ、アイ」

 「だめ」

 「まだ言い終わってなーい」

 「予想できるさ、そんなもん」

 「じゃあ、ソラにぃの予想だと、なんて言ってるの?」

 「アイス買ってきてだろー」

 「あー、残念」

 「え、違うの?」

 「アイス買ってきてよ馬鹿にぃーでしたー」

 「悲しっ」

 「とゆう事だから、」

 「だめ」

 「だから、最後まで言ってないじゃんー」

 「だぁから、だいたい―――」

 なぁんて、もう何回繰り返したか分からない会話を無限ループ中。たまぁに、ローグが突っ込んでくれてたんだけど、暑すぎてもう突っ込む気力は残されていないようです。

 「あ、そだ」

 「ん?」

 何をひらめいたのか知らないけど、ウミのひらめきは、大体が怖い事。例えるなら、寒いなら家燃やしてみる? とか。

 ゴロッと寝返りをうったウミに潰されないよう、ローグが力なく動く。そんな彼女にぶつかられたウネは、鬱陶しそうな顔をして、さらに動いた。んで、俺にぶつかって、一言。

 「暑苦しいな」

 「俺のせいみたいな顔して言わないでくれよぉ」

 「ねぇねぇ、ひらめき聞いてよぉー」

 ほふく全身で進んできたウミの顔が真上に。んー、近いぞ、妹よ。

 「とんでもないものじゃろ」

 「ウネは黙れ」

 冷徹なウミの一言。なんだかこの毒舌にも慣れてきたなぁ。

 「なぜ我にはそうも冷たいのじゃ!」

 まあ、ドンマイだよウネ。

 「じゃあ、10字以内で述べよ」

 「妖精の羽ばたきで風を送るの。いい考えでしょ」

 「ローグ達羽ないよ?」

 「魔法的な何かで頑張らせるのよ」

 それはちと強引すぎやしませんか、ウミ。

 「ていうか、我らを利用する気だったのか!」

 「こちらも暑さを感じてますのよ!」

 「1分に一回、氷あげるからさぁ」

 「その間ずっと続けろと!?」

 「そそ」

 「その間に疲れてしまいますわ!」

 「いつもせわしなく動き回ってるから大丈夫よ、きっと」

 「「きっと!?」」

 見事なハモり、久しぶりにいただきましたぁ。

 「ねぇ、60分でいいからさぁ」

 「1時間か!?」

 「殺す気ですの!?」

 「ちゃんと供養してあげるから、ね」

 うん、可愛い笑顔でとんでもない事を言ってるよ、この子。

 「妖精に対して無礼じゃ!」

 「酷いですわ!」

 我が妹は悪魔だと言う事を忘れたのか、君達……。

 「ね、ソラにぃはいい考えだと思うでしょ」

 え、俺に矛先向けないでよ。蚊帳の外だと思って何にも考えてないから!

 ちょ、ローグ達の目が氷河期の氷のように冷たい! 氷河期の氷がどれだけ冷たいのか知らないけど、ともかくものすごく冷たいです!

 「青年、お前は反対じゃろう?」

 「ソラ様、まさか賛成だとは言いませんよね?」

 「ソラにぃ、可愛い妹が暑さで倒れてもいいの?」

 ねぇ、みんな、顔が、か、顔が……。

 「青年」

 「ソラ様」

 「ソラにぃ」

 怖いですーーーーーーーーーーー!

 「なぜ逃げるのだ!」

 「なんで逃げますの!」

 「逃亡なんてさせないわよ!」

 「顔がハンニャだーーーーーーーーーーー!」

 こうして叫ぶのは、実は今日で5回目だったりする、そんな日曜日ののどか(?)な午後の話。

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