12、正直、無理です
久々すぎる更新ですみません……(泣
まあ、1日なんてあっという間に過ぎるものでして、謎の来客者が来てから、もう2日は経ちました。それ以来あの人達に会う事もないし、俺としては幸せでもう心が春です。春気分です。でも、季節は夏なので当然、
「あづー」
「暑いですわー」
「……暑いな」
な訳ですよ。
貧乏な俺の家にはクーラーなんてないし。あーいや、あるんだよ、ホントは。でも、電気代がね。扇風機で耐えてもいいけど、風が生温い。これほど悲しくて悲しくてたまらない事は、きっと他にはないっ!
リビングでぐでぇーと伸びてる俺と妖精姿のローグとウネ、それプラス生活費破壊神ウミ。
「ソラにぃ……」
「なんだい、我が妹よ」
「鬱陶しい言い方しなくていいからさぁ、アイ」
「だめ」
「まだ言い終わってなーい」
「予想できるさ、そんなもん」
「じゃあ、ソラにぃの予想だと、なんて言ってるの?」
「アイス買ってきてだろー」
「あー、残念」
「え、違うの?」
「アイス買ってきてよ馬鹿にぃーでしたー」
「悲しっ」
「とゆう事だから、」
「だめ」
「だから、最後まで言ってないじゃんー」
「だぁから、だいたい―――」
なぁんて、もう何回繰り返したか分からない会話を無限ループ中。たまぁに、ローグが突っ込んでくれてたんだけど、暑すぎてもう突っ込む気力は残されていないようです。
「あ、そだ」
「ん?」
何をひらめいたのか知らないけど、ウミのひらめきは、大体が怖い事。例えるなら、寒いなら家燃やしてみる? とか。
ゴロッと寝返りをうったウミに潰されないよう、ローグが力なく動く。そんな彼女にぶつかられたウネは、鬱陶しそうな顔をして、さらに動いた。んで、俺にぶつかって、一言。
「暑苦しいな」
「俺のせいみたいな顔して言わないでくれよぉ」
「ねぇねぇ、ひらめき聞いてよぉー」
ほふく全身で進んできたウミの顔が真上に。んー、近いぞ、妹よ。
「とんでもないものじゃろ」
「ウネは黙れ」
冷徹なウミの一言。なんだかこの毒舌にも慣れてきたなぁ。
「なぜ我にはそうも冷たいのじゃ!」
まあ、ドンマイだよウネ。
「じゃあ、10字以内で述べよ」
「妖精の羽ばたきで風を送るの。いい考えでしょ」
「ローグ達羽ないよ?」
「魔法的な何かで頑張らせるのよ」
それはちと強引すぎやしませんか、ウミ。
「ていうか、我らを利用する気だったのか!」
「こちらも暑さを感じてますのよ!」
「1分に一回、氷あげるからさぁ」
「その間ずっと続けろと!?」
「そそ」
「その間に疲れてしまいますわ!」
「いつもせわしなく動き回ってるから大丈夫よ、きっと」
「「きっと!?」」
見事なハモり、久しぶりにいただきましたぁ。
「ねぇ、60分でいいからさぁ」
「1時間か!?」
「殺す気ですの!?」
「ちゃんと供養してあげるから、ね」
うん、可愛い笑顔でとんでもない事を言ってるよ、この子。
「妖精に対して無礼じゃ!」
「酷いですわ!」
我が妹は悪魔だと言う事を忘れたのか、君達……。
「ね、ソラにぃはいい考えだと思うでしょ」
え、俺に矛先向けないでよ。蚊帳の外だと思って何にも考えてないから!
ちょ、ローグ達の目が氷河期の氷のように冷たい! 氷河期の氷がどれだけ冷たいのか知らないけど、ともかくものすごく冷たいです!
「青年、お前は反対じゃろう?」
「ソラ様、まさか賛成だとは言いませんよね?」
「ソラにぃ、可愛い妹が暑さで倒れてもいいの?」
ねぇ、みんな、顔が、か、顔が……。
「青年」
「ソラ様」
「ソラにぃ」
怖いですーーーーーーーーーーー!
「なぜ逃げるのだ!」
「なんで逃げますの!」
「逃亡なんてさせないわよ!」
「顔がハンニャだーーーーーーーーーーー!」
こうして叫ぶのは、実は今日で5回目だったりする、そんな日曜日ののどか(?)な午後の話。




