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アルカンシエル  作者: 下弦 鴉
第二章 穏やかに流れる日常
10/80

10、給食は大事だよね

初コメがきてました♪嬉しくて、小躍りしちゃいました(照


そして、アクセス数が2千を突破!!

ここまで読んでいただいて、嬉しいです。これからも、よろしくお願いします!


 遅刻だ! 遅刻だよ! 遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 電車来ないし、マナー守って遮断機をくぐらずに待ってるのに、電車来ないし! あ゛〜〜〜! 神の天罰が下るよぉぉぉ!

 「遅刻だぁぁぁぁぁ……」



                    *****



 さ、叫び過ぎて、か、階段、の、のぼ、登る気力と力が……出ないぃ。ああ、階段が遥か遠くに見える……。ていうか、歩くのがかったるいよぉ。誰かぁ、ヘルプ・ミィ……。

 「おい、有澄じゃないか。遅刻寸前だぞ」

 「いいですぅ。もう、遅刻でいいで……すぅっ!?」

 「何だ、その異様な程の驚きは」

 いや、先生がいた事に、素直に驚いただけなんですけど……。

 「私より先に教室につけたら、遅刻は免除してやろう」

 「ホントですか! じゃ、お先に先生!!」

 「……激しい変わりようだな……」



 「では、出席確認するぞぉ」

 何て呑気な先生の声ぇ。……うらやましい事山の如しだぁ。

 「どうした、ソラ。あんま元気ないね?」

 「いやぁ、中身は元気バリバリなんだけどさぁ、精神的にもう限界点突破?」

 「いや、意味分からないよ……」

 「だよねぇ。ゴメンねぇ、波月ぃ」

 「いや、謝らなくてもいいけど。無理はするなよ?」

 「ありありさぁ」

 ああ、心配そうに微笑む波月も萌えるなぁ。ああ、萌え死にしちゃうなぁ。

 「おい、有澄! 聞いているのか?」

 「あい、全然聞いてませんでしたぁ」

 「はぁ、全く……」

 ありぃ? いつから名前呼ばれてたのかなぁ? 俺は有澄だからぁ、……3番だっけぇ? ありぃ? 俺より前の人って、いなかった気もするなぁ。ありり?

 「―――み! ―――澄! 有澄ったら!!」

 「あり!?」

 「『あり!?』じゃなくて、今日あんたと私が週番なんだから、仕事手伝ってよね。はいこれ、学級日誌。ちゃんと書いといてね」

 「ありありさぁ」

 「……はあ」

 え? なんか悪い事言った? なんで俺、ため息つかれてんの?

 「しおみ〜ん! 先行っちゃうよぉ」

 「待って、今行くわ」

 ……いいなぁ、みぃんな元気で。俺、元気100倍足りないよぉ。てか、俺、週番だったの? めんどくさいなぁ。しかも日誌書くだなんて、ダルいぃ。しかもよりによって、お嬢様キャラの汐見しおみと一緒とかないわぁ。

 「ソラ、やっぱり元気ないね」

 「う゛〜。週番なんて、めんどくさいぃ」

 「……その事で元気ないの?」

 「分かんないけど、めんどいよぉ」

 「お嬢様に怒られない程度に頑張れよ、ソラ」

 「ありありさぁ……はぁ」

 あ〜あ、柄にもなくため息ついちゃったじゃないかぁ。あ〜、早くゴー・ホームしたい。

 「有澄、サボらないでよ!」

 「ありありさぁー!」

 ちぇっ。どこぞのお嬢様だからって、人遣い荒いよなぁ、まったくぅ。でもまあ、学年でちょっとしたファンクラブができるくらいモテてるんだもん。逆らったら、後が怖いよねぇ。今だってさぁ、十分に痛い視線が背筋に直撃しまくってるしさぁ。

 はぁ、ダメだぁ。頭も痛くなってきたぁ。もう何もかも、やる気ナッシングぅ。やっぱ、朝ちゃんと食べないと、エネルギーが足りないやぁ。ああ、億劫だぁ。何もかもが億劫だぁ。

 「そうだ、ソラ。ちょっとした朗報」

 「なにぃ?」

 「今日は特別日課だから、45分授業だし、週番点検も今日はない」

 「……て事は?」

 「早く給食が来るし、すぐ帰れる!」

 「おお!」

 「そしたら、いっぱい好きなだけ寝れるぞ!」

 「おお!!」

 「……急に目が輝きだしたね」

 「有澄ソラ、全力でこの一日を過ごしたいと思います!」

 「……う、うん。頑張れ」

 やっぱ、持つべきものは友ですね! そして、あって嬉しい給食ですね♪



 「いっただっきまぁすっ♪」

 という事で、あっという間に給食の時間! こんなに嬉しい事が、世の中にあったんですね。ああ、嬉しすぎて涙が出そう……。

 「おーい有澄、ちょっと来なさい」

 な、何!? この至福の瞬間を邪魔するのか!? 先生、酷いよ!

 「有澄!」

 「あ〜い……」

 「返事は?」

 「はい……ですね」

 「分かっていれば、それでいい」

 俺的に、大いに良くないんですけど? ていうか、かなり良くない、断じて良くない。

 ああ、愛しき給食よ。しばらくの間、待っていてくれよ……。

 「なんですか? 何の話ですか?」

 「話って言うのはな―――」

 「俺は何も悪い事はやってません、神に誓って」

 「いや、まだ何も言ってないだろ?」

 「すみません」

 「で、話というのは―――」

 「知りません」

 「だから、まだ言ってないだろ」

 「すんません」

 「話はな」

 「すみません、俺が悪かったんです、謝りますんで。じゃ」

 「……人の話を聞かない悪い奴には、給食抜きだ」

 「なんでございましょう、大先生様!」

 「……これまた激しい変わりようだな」

 「ささ、早く話してくださいな」

 じゃないと給食が逃げていくぅ。

 「お前に客だ」

 「ウミ……な訳ナイですね」

 「そりゃこの学校に来てるんだから、それは当たり前だろ」

 じゃあ、ローグかウネかな? 困った事があったら、学校に来るようにって言ったし。ローグが道知ってるから、二人で来る可能性は十分にあるし……。

 「もしかして、お客様って、子供ですか? 俺と同い年くらいの」

 「いいや、違う」

 え、違うの? じゃあ、……誰?

 「その客は、変な事を言ってるんだ」

 「変な事?」

 「……大変言い難いんだが、その人達は、その、な」

 何動揺してんだろ?

 「……あ゛〜、察してくれないか?」

 「察しろって言われても……ですねぇ」

 一緒に住んでるはずのおじさん達はほぼ育児放棄してるんで、帰って来ないですって事? それとも、貯金が尽きそうなんで、隠れて新聞配達の仕事を始めたって事? 他には……両親は既に亡くなってるって事かな?

 あり? なんだかコメディーらしからぬ要素が、あの一文に詰め込まれていたような気がするぞ。

 「うーん、どれですか?」

 「『どれですか』って言うほどの事を、お前は考えているのか?」

 「はい」

 「素直すぎる答えを有難う。……なんだか話す気が失せたな。給食を食べ終わってから、また話そう」

 「ありありさぁ」

 「返事は?」

 「はい……でしたね」

 「よろしい。では、また呼ぶから、その時に話す」

 なんだか変なセンセーだなぁ。いつもと違うって言うか、違い過ぎて怖いって言うか。う〜ん、なんとも言えないなぁ。

 は! それよりも、今は大切なエネルギー補給の時間だ! 早速、給食を食べてあげなくては! ゴメンね、給食! 今、俺が迎えに行くからねぇ!!

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