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第二章 悠子
第五章で完結します。
第二章は、悠子。
しばしおつきあいください。
「一美。」
呼び止められて、自転車こぐ足を止める。
やばい。遅刻。
そんな事、心の端っこで考えながら、おもむろに振り向く。
え、と。
「やだ、わすれた?」
あたしの訝しげな顔を見て、彼女、少し残念そうな、でも嬉しそうな顔をする。
「ゆ・う・こ。忘れたぁ?」
そういって、彼女、少し拗ねる。
「えぇ、うそ。全然わからなかった。」
お化粧をして、真赤な口紅をぬって、ヒールと、革のタイトで身を包んだ姿は、もうあたしの知っている彼女じゃ、なかった。
「じゃね。勉強がんばれよ。」
「えっ。」
彼女の声で我にかえった時には、彼女はもう、駅に向かって歩き出していた。
ヒールの音だけを残して。
どうしても気持ちを
抑えきれなくて
今、やらなきゃ
そう思って
信じるものに向かって
求めるものに向かって
つき進んだとしたら
得たものより
失ったものの方が多くて
自分の中に
得たものしか
残らなかったとしても
満足できるだろうか
たとえ
その得たものが
自分にとって
何よりもかえがたいもので
あったとしても
それだけで
生きていけるだろうか
これから・・・
一匹のかげろうが、あたしの横をすりぬけていった。
ありがとうございました。
第三章は、郁です。
それではまた、お会いいしましょう。




