エッグスタンド
「エッグスタンド」
朝食のランチョンマットの上に、エッグスタンドをおいた。
白い、卵の丸みを表現したいのか、飾り気のないエッグスタンド。
ランチョンマットは四人分で、赤い色調の模様が描いてある。
どちらにしても、好みの柄ではない。
エッグスタンドに一個ずつ、優雅な手つきでキャベツをおいていく。
ミニキャベツではない。ふかして五、六分くらいのでかいキャベツだ。
むいて食べるのがよろしいんだそうだ。
彼はすました顔で食卓にキャベツを並べ、SOLTとPEP-PERとケチャップをテーブルの真ん中にすえた。
セッティングされたテーブルの上に、無意味、いわゆる食べられることのないキャベツの皮が次々と山積みにされていく。
彼は片手にコーヒーの入ったポットをもって、片目でその様子を眺めていた。
こぢんまりとしたナイフとフォークが鮮やかな手つきでふるわれ、堅いキャベツの芯を切り刻み、しゃきしゃきと咀嚼されていく。
「卵はなんで? 炒めますか? 生で? それともゆでますか?」
「ゆでてちょうだい」
卵のコールスローはあまり見た目のいい朝食ではないけれど、黄身の粘りがよいそうだ。
むき終えたキャベツの皮を、召使がボウルの中に突っ込んでいく。後で鶏のえさになるのだろう。
まもなくして四皿分のコールスローが出された。優雅なフォークのすきまから、トロトロとコールスローが逃げ出していく。