Scene5 ド・ウ・セ・イ
ある日の午後、我が家のキッチンに包丁とまな板が奏でるリズムが響いている。
我ながら軽快な響きだと思いながら、刻んだニンニク、ショウガ、ネギを弱火で炒め始めた。
何処でも見かけるような同棲カップルの休日。
しかし、今日のあたしは少々機嫌が悪い。
本来ならここでこんなことをしているはずではなかった。当初の予定通り事が進んでいたら、今頃あたしはお気に入りのデジカメ片手に避暑地で観光を楽しんだり、地元の食材を使った美味しい料理に舌鼓を打っているはずだったのに・・・。
まさか自宅でチャーハンとはあまりにも普通というか、ありきたりな休日の昼食という感じがしてならない。
リビングを覗くと新太がゴロゴロしながらマンガを読んでいる。
あたしの視線にも気付かず、表紙のグラビアアイドルだけが胸の谷間を強調したセクシーなポーズでこっちを見つめている。
非常に腹立たしいというか、度し難いというか。
もちろんこうなったのは彼の責任ではない。急な仕事が入った、社会人としては仕方ないことだ。
それでも今回の1年ぶりの旅行をあたしは凄く楽しみにしていた。
と言うのも、あたしは飲食店、彼は運送関係の仕事をしているのであまり休みが合わない。だから年に数回、どうにか2人で連休を取って 旅行に行くのがあたしにとっては活力の元なのだ。
ところが、この1年はお互いの仕事が忙しくなったこともあり旅行どころか、休日を一緒に過ごす余裕もあまりなかった。
そういった日常に馴れてきてしまったせいでタイミングを逃しそうだったが、店のみんなが「彼氏と久しぶりに旅行行ってきなよ」と気を遣って連休を取らせてくれたので、例年以上にあたしの旅行に対するテンションは上がっていた。
国内外問わず旅行好きのあたしは大学の頃は時間がたくさんあったのもあり、バイト代を貯めては連休には友達やサークルのメンバーと旅行に行くのが最大の楽しみだった。
きっと非日常感が好きなんだと思う。
初めて見る景色、見慣れない街並み、その土地の食べ物、とにかくワクワクするものばかりだ。そして、それを写真に収めるのがまた楽しい。
シャッターを切るだけでその瞬間を目に見える形で残せるというのは凄く素敵だし、何年経ってもそれを見れば、その時間を共有した人たちと思い出話が出来る。
今の彼氏である緑川新太もかつてはただのサークル仲間の1人に過ぎなかったが、こういった旅行を通して今の関係に至ったんだと思っている。
そして今は職業柄もあるだろうけど、変化の乏しい日常にそういう刺激があたしは無性に欲しくなるときがある。
ましてや新太とは大学を卒業する直前から一緒に住み始めたので、一般的に「意外な一面」と呼ばれる部分も見尽くしたつもりだ。
3年半もひとつ屋根の下で暮らせば彼氏彼女の関係とはいえ、特別なことなどもうほとんどない。
同棲を始めた頃のあのフワフワした感じはプロ―ポーズでもされるか、あたしが妊娠でもしない限り訪れることはないだろう(前者はともかく、後者に関しては今のところまったく予定はない)。
先程からじっくり炒めた野菜に合わせ調味料を加えて火を強める。
チャーハンだけではあまりにも味気ないので、今日はエビチリを添えることにした。ただし「チリ」に当たるポイントにはあたしはまだ手を着けていない。
これこそがあたしの考えた旅行が台無しになった腹いせ・・・ではなくて、最近つくづく感じているマンネリを解消する作戦なのだ。
「新太ー、もうすぐお昼できるから、テーブルの上片付けておいてよー。」
再びリビングに顔を出すと、さっきまでうつ伏せになっていた新太が今度は仰向けになってマンガを読んでいる。足の短いダイニングテーブルの上には買って来たものの休みの日しかゆっくり読めないからなのか、あらゆるマンガが数週分平積みになっている。
「へーい。」
またあたしの視線にも気付かず、こっちを見ようともしないで返事をされた。さすがにちょっとイラっとする。
さっき加えた調味料がひと煮立ちしたので、それを一旦ボウルに移し、フライパンを綺麗に洗ったあたしは例の作戦に移ろうと、赤いペースト状の物体が入った小瓶に手を伸ばした。
「ちょっとお仕置きが必要だな。」
「えー!?ホントに?」
「マジだよ、マジ。」
遡ること半月ほど前、あたしはビールを、穂野花はカクテルを片手に談笑していた。
その話のネタはまだここには来ていない一条杏奈とその彼氏の始君の記念日の出来事だ。
今から4カ月ほど前だ。
おめでたいことにこの2人は付き合い始めて1年を迎えたわけだが、杏奈の誕生日さえ覚えていなかった彼が、その日を覚えているわけがないと彼女は酷く落ち込んでいたのだ。
それを本人の口から聞いたあたしは「重い」と反射的に言ってしまった。
友達をこれ以上凹ませる気はなかったのだが、相当ダメージが大きかったのか、あからさまに杏奈は落ち込んでいた。
悪いことをしたなと思うと同時に、自分と違って女子力の高い乙女に何かお詫びをしたいと考えた結果、あたしは偶然を装って彼氏にその日をお祝いさせることを企てたのだ。
あたしと新太、杏奈と始君という二組のカップルで以前に食事をしたときに連絡先を交換していたので、予想以上に計画はスムーズに進んだ。
「もしもし、始君?今日で付き合って1年って杏奈がこの前浮かれてたよー。おめでとう。今日はお花でも買って、早めに帰ってあげてねー。」
「え・・・?あー!!完全に忘れてた!ヤバい!どうしよう!!何も用意してねぇー!」
想像通りのリアクションだ。
「そうなの?ねぇ、もしかして先月の杏奈の誕生日も・・・」
用意していたセリフを電話越しに伝える。
「あ・・・」
想像通りパート2。
「それまずいよ、始君。学生のときから杏奈ってそういうことを大事にするタイプだったから『そんなことも覚えられない人とは別れる!!』とか言い出すかもよー。」
「そういえば、珍しく今日は杏奈から一緒にメシ食おうって誘われてるんだけど・・・」
「もしかして別れ話じゃない?もう名誉挽回するなら今日しかないと思うよー。」
もちろん本人に別れる気などさらさらないことを知っているので、笑いが込み上げそうになるのを無理矢理抑える。電話の向こうの始君は相当テンパっているようだ。
「れ、玲子ちゃん!俺、どうしたらいい・・・?」
「そしたらねー、○○○ってアクセサリーのブランドがあってね、杏奈はバラの花が好きだから・・・」
この作戦は無事に成功し、2人の仲はそれ以来更に深まったらしい。
「それにしても、玲子ちゃんって本当におせっかいだよねー。」
穂野花はこの話がツボだったのか、まだ笑っている。そして、あたしは「おせっかい」という言葉を多くの人から何度も言われてきた。
ある人は「世話好き」、またある人は「情深い」とも言った。一応、褒め言葉だと思って受け止めている。
「お待たせ―。」
今日はあたしの職場でもあるカフェバー「more Cute」で3人で飲む約束をしていた。そして、遅れて噂の乙女の登場というわけだ。
「お疲れ―。」
ダメだ。この話の後だからなのか口を開くと吹き出しそうになる。穂野花なんか耐えきれずに肩が震えているじゃないか。
「どうしたの?2人ともニヤニヤして。」
「な・・・なんでもないよ。」
きっと今のあたしは締まりのない顔をしてるに違いない。
杏奈が来てから2時間ほど経っただろうか。
「それでねー、フィリップがねー・・・」
九十九穂野花お得意の酔うと出るのろけ話をあたしと杏奈は延々と聞いていた。
フィリップと言うのは彼氏の名前で、ニックネームなどではなく本名である。
本だか映画だかのタイトルであった気がしたが「ダーリンは○○人」というヤツだ。しかも学生の頃から国を跨いだ遠距離恋愛、よく続いているなぁと思う。
「そうだよねー、たまにしか逢えない分嬉しいよねー。」
「杏奈、その相槌って今日何回目だっけ?」
2人より酒が強いこともあって素面に近いあたしはツッコミを入れた。穂野花はあんまりお酒が強い方ではないので彼女の酔いが回り出すとあたしたちの対応はいつもこの調子だ。
しかも穂野花は先月、半年ぶりくらいに彼氏に逢ったのがかなり嬉しかったのか、普段以上に饒舌だ。いや、ろれつは回っていないが。
「でねでね、次は12月に逢う約束してるんだけど、そのときは絶対ぜーったい私が逢いに行くの!いつも来てもらってるし、待ってるだけじゃなくて、今度はあたしが捕まえるのっ!!」
「そうだよねー。きっと彼氏も喜ぶよねー。」
杏奈はまさに(棒)という表現がしっくりきそうな、先程と同じ調子で答える。
今日もしっかりと栗色の髪を編み込み、お伽話の世界から出てきたかのような花柄のワンピースを着ている。そして、耳にはあたしが仕向けてプレゼントさせた小さなバラが咲いていた。
自分とは真逆のタイプのまさに女子力の塊と言った感じの杏奈だが、だからこそ一緒にいて面白いんだと思う。
「そういえば玲子、もう長いこと新太君と旅行行ってないんじゃない?」
「それがねー、今月末に行くことになったんだよねー。久しぶりに休み合わせてさ。なんと3連休だよ!いつ以来だろうなー。」
「いいなー。」
約1年ぶりの旅行が決まり、柄にもなくあたしは日に日に浮かれていた。
仕事にも、こうして友達と過ごす時間にも、同棲生活にも不満はないが、やっぱりリフレッシュは必要だ。
「なになに?玲子ちゃん旅行行くの?お土産買ってきてねー。」
素面のときのキャラが完全に崩壊した穂野花が話しかけてくる。
あたしが何か言い返そうとしたら彼女は既に突っ伏していた。本当に不思議ちゃんだ。これで英会話教室の講師をしているのだから凄いギャップだと思う。
「新太君も嬉しいだろうね。」
「どうかなー。でも、まー感謝はしてるよ。向こうは嫌でも毎日仕事で車乗ってるからさ、だから今回はあたしが運転しようかと思って。」
「玲子ってさ、サバサバしてるように見えてそういうところは優しいっていうか、尽くす方だよね。」
「普段のあたしが優しくないみたいじゃん。」
そう言い返すと杏奈は笑いながら「違うって。」と言って
「だけど、普段は家事も分担してるんでしょ?お互いこんだけ仕事してるのに凄いなって思うよ。わたしはまだ一緒に住める自信ないもん。 」
と続けた。
「いや、最近では・・・もう半年くらいはあたしが全部やってるけど。」
「え?そうなの?だって玲子、大学卒業するちょっと前に同棲するなら家事は分担!!って新太君に言ったんでしょ?」
「まぁ、最初はね。でも、キッチン周りは元々あたしの持ち場で、それ以外は向こうに任せてたんだけどさ。今はお互いあんまり家にいないから自分でやっちゃった方が早いときも多いし。なんか、たまに家でのんびりしてるのに家事やってよ、って言うのも悪い気がして。」
「玲子、変わったね・・・。なんか、わたしの知ってる玲子って『男に二言はないだろ!!』みたいなこと言いそうっていうか、決め事とか約束を大事にするっていうか。」
言われてみれば確かにそうだ。いつからあたしはこんなに丸くなったのか。
別に尽くしてるつもりはないが、これが当たり前になっているのは事実だろう。
「玲子ちゃん、嫁入り前~?」
何故、こういうタイミングで穂野花は割りこんでくるのか。
「そんなつもりは今のところ無いんだけど。」
あたしはそう言い返して少し温くなったビールを口に含んだ。
それから数日が過ぎた。
今日は早番だったので夕方には退勤し、19時過ぎには帰ってこれたので久々に部屋の掃除を隅々まですることにした。
旅行から帰ってきて散らかった部屋を見るのは気が滅入るし、こうして事前に段取り良くやるべきことをやっておけば、結果的に後々楽なのを飲食業という想像以上にハードな仕事であたしは学んできた。
掃除が一段落し、視線を上げる。
旅行の日が近づいているのが嬉しくて、珍しくカレンダーに目が行ってしまう。そのまま時計を見るともう21時を過ぎていた。
今日は仕事で遠方まで行ってるのだろうか。
基本的に帰りが遅くなるときは連絡があって、夕食がいるのかいらないのかも教えてくれる。普段は遅くても20時にはそういった電話かメールがあるのだが、今日は何の音沙汰もない。
あたしは遅い時間にまかないを食べて来て、それほどお腹が空いていないので夕食を抜いてもいいと思ったが念のため新太の分は有り合わせの材料で食事を用意することにした。
「ただいまー。」
「遅かったねー、お疲れ。はい。 」
あたしはリビングに入ってきた新太に部屋着を手渡す。
「ああ、後輩が朝から事故っちゃてさー。トラック1台使えなくなっちまったから、みんなバタバタでよー。 」
「マジ?その後輩大丈夫なの?」
「それが右腕やっちまったらしくてさー。全治1カ月だってよ。まぁ、そいつが起こした事故じゃないし、荷物も無事だったから、会社的には不幸中の幸いって感じだけど。」
そそくさと部屋着に着替えながら彼は答えた。
「大変だったねー。ごはん食べる?」
「いや、明日も早いから今日はもう寝るわ。それでさ、玲子、大変申し訳ないんだけど・・・」
何となく嫌な予感がしてきた。
「何?まさか・・・」
「今話した事情で今月のシフトが変わっちまってさ。だから本当に悪いけど今月の旅行はまたの機会に持ち越しってことで。ごめんな。」
「そっか・・・仕事なら仕方ないよ。」
そんなあっさり言わなくても、という本音を飲み込み、あたしはなるべく落胆してるのを感じさせないつもりで、わざと明るく答えた。
「ありがとな、んじゃ、寝るわ。」
脱いだ服はそのままに、新太はリビングを後にした。
彼が疲れてるのはわかっているから言わなかったが、一緒に住み始めた頃に「洗濯物は必ず洗面所の籠に入れる」というルールも決めていた。
いつから新太はそういうルールを平気で破るようになったのか。そして、あたし自身もそれを黙認するようになったのか。
この前、穂野花と杏奈と飲んだときのあの会話以来、以前よりこういうことがあたしの中で気になり始めていた。
もともと料理と家計のやりくりはあたしが担当し、基本的にそれ以外を新太が担当する約束だった。もちろん時と場合に応じてあたしが掃除や洗濯をすることはあったが、それは一時的なことで、休みの日なんかにはあたしが仕事でいない間に部屋を綺麗にしておいてくれるのがセオリーだった。
あたしの方が稼ぎが少ないので、多少は自分の方が家事をする率は上がってもいいとは素直に思っている。
だが、今は家事は100%あたしの持ち場みたいになってしまっている。
この数カ月で「新太も忙しそうだから」と意識していなかったが、あたしだって決してヒマではない。店のこともそれなりに任されており、残業だってせざるをえない日もある。
そもそも「忙しい」なんて社会人になったら言い訳でしかない。当時は学生だったとはいえ1人暮らしをしていたのだから、生活力がないわけじゃないはずなのに。
そんなことを考えているうちに時計の針は両方が12を指していた。
別にいちいち目くじらを立てて新太に文句が言いたいわけじゃない。
だが、2人で気持ち良く生活していくために決めたルールだ。今のあたしはそれが風化してしまっていることに疑問や不満を抱かざるをえない。でも
「あたしがいけないのかな・・・」
珍しく独り言が漏れた。こんなになるまで彼をほったらかしにしたのは他でもないあたし自身なんだから。
ケンカは元々そんなにしないし、意見のぶつかり合いになることが以前はたまにあったが、きちんと折り合いは着けてきた。今、目の前にあることだってそうすればいいだけだ。
あたしはそれを面倒に感じているのだろうか。
「あ、ホテルの予約キャンセルしなきゃ。」
また1人で呟いてしまった。
もともと3連休だった日のうち、初日と2日目は仕事だった新太は相変わらずゴロゴロしながら漫画を読んでいる。
最近ではあたしが仕事で彼が休みの日はいつもあんな調子だったのかと思うと、イライラは更に募る。久しぶり休みの日を一緒に過ごしているのに、この有り様はなんだ。
一方、あたしは「旅行はキャンセルになった」と店に伝え、一昨日は丸1日働き、残りの2日は休みのままだったので昨日は映画や買い物を 1 人で楽しみ、久しぶりのエステにも行ってきた。
そこのサロンはあたしと歳のさほど変わらない「薫さん」という女性が1人で切り盛りしており、うちの店のお客さんによく通ってる人がいるので紹介してもらったのだ。
まだオープンして半年ちょっとらしいが少しずつ常連さんも着いているようで、言葉では上手く言い表せないが彼女の魅力が同性も惹きつけている証拠だと思った。
美容関係の人だけあって髪型やメイク、アクセサリーなど、どれを取ってもきちんと自分に似合ってるモノを選んでいるのがわかるし、実際に施術をしながらそういう相談にも乗ってくれるので女子の強い味方なのは間違いない。
試しに薫さんの真似をして部屋で1人のときにお団子ヘアーを試してみたが、あたしにはまったく似合わなかったのはここだけの話・・・。
そして朝から家事三昧の今日のためにある作戦を立てていた。
フライパンの中でミッションを全うしようとするエビはあたしの代弁者と言っても過言ではない。ソースを味見すると想像通りの味になっていた。
「お仕置き♪お仕置き♪」
別のフライパンで炒めておいたチャーハンを温め直して盛り付け、たった今できたアツアツのエビチリを新太の皿の脇に添える。
そして空いたフライパンで「もう一方」のエビチリを温め、あたしの方の皿に盛り付けた。見た目は完全に同じ、さぁ、作戦決行だ。
「できたよー。持って行っていい?」
「あー、うん。」
新太はのそのそとテーブルの上を片付け始めた。先に綺麗にしておけと言ったのに。
☆パラパラ卵チャーハン☆
材料(2人分)
・ごはん・・・お茶碗2杯分 ・卵・・・3個 ・しょうゆ・・・大さじ1
☆塩・・・適量 ☆コショウ・・・適量
☆中華スープの素(顆粒)・・・ふたつまみ
・サラダ油・・・適量 ・細ネギ(小口切り)・・・適量
① ☆の材料をボウルで混ぜ合わせておく。
② ①に温かいごはんを入れ、しっかりと混ぜ合わせる。
③ 熱したフライパンか中華鍋にサラダ油を注ぎ②がパラパラになるまで強火で炒める。
④ 塩、コショウ(分量外)で味を調え、仕上げに鍋肌からしょうゆを回してネギを加えた ら数回煽って火から下ろし、盛り付ける。
REIKO’s Point♪
「冷たいご飯だと卵としっかり混ざらなくてベタっとした仕上がりになるので注意!最初は卵かけごはんみたいだけど炒め続けるうちに絶対パラパラになるはずだよ!」
☆旨辛!エビチリ☆
材料 (2人分)
・剥きエビ(なるべく大ぶり)・・・12尾 ・塩・・・適量
・サラダ油・・・適量 ☆酒・・・大さじ2 ☆ケチャップ・・・大さじ4
☆しょうゆ・・・大さじ1 ☆中華スープの素(顆粒)・・・ふたつまみ
☆砂糖・・・ふたつまみ ☆水・・・200cc ・豆板醤・・・大さじ1
・胡麻油・・・適量 □ネギ・・・1/6 □ショウガ・・・20g
□ニンニク・・・2片 ・細ネギ(小口切り)・・・適宜 ・片栗粉・・・適量
① エビは背開きにして背ワタを取り除き塩と片栗粉を揉み込むようにした後水洗いし、塩 で下味をつけ、片栗粉をまぶす。
② □の材料をすべてみじん切りにし、☆の材料は混ぜ合わせておく。
③ フライパンにサラダ油と豆板醤を入れ、油の色が変わり辛みが出るまで弱火で炒める。
④ ③に②の□を加えて引き続き弱火で炒め香りが出たら☆の材料を混ぜ合わせたものを 加え、ひと煮立ちさせたらボウルなどに一旦移す。
⑤ 綺麗なフライパンの深さ1cm程度のところまで油を注いで熱し、①を加えて表面のみを揚げ焼きにして油をしっかり切る。
⑥ 再びフライパンを綺麗にし④と⑤を加えて軽くに立たせたら火を止め、水溶き片栗粉を 少しずつ加えたら火にかけて混ぜながらとろみを調節するという行程を繰り返す。
⑦ 仕上げにごま油を加え、盛り付けたら細ネギを散らす。
REIKO’s Point♪
「結構辛めのレシピなので、辛いのが苦手な人は豆板醤を減らしてね♪慣れてきた
ら③の前に⑤から始めて、油を切ったフライパンでそのままソースを作ってもOK!」
「いただきまーす。」
あたしも新太より少し遅れて「いただきます。」と言いながら、彼がチリソースのかかったチャーハンを口に運ぶ様子を窺った。
「うっ!!」
ビンゴ。そのままコップに入ったウーロン茶を一気飲みする彼をじーっと見つめる。
「辛っ!玲子、辛いよ!俺が辛いの苦手なの知ってるだろ!?」
「うん。新太、話がある。確かに少し怒ってるけど旅行がキャンセルになったのが理由なわけじゃないから。」
あくまで冷静なつもりであたしは答えた。
「な、なんだよ・・・。」
額に汗をかきながら新太は答える。
「もう何か月もあたししか家事やってないでしょ?それ自体は別に構わないし、仕事が忙しいのもわかってるつもり。でも、本来だったら新太が担当してることを出来ないときは一言あってもいいんじゃないの?」
「あ、ああ・・・わりい。」
「せっかく少しでも快適に暮らせるようにって2人で決めたルールじゃん。それをなぁなぁにしちゃうのは良くないよ、彼氏っていうかパートナーとして、何より人として。あたしさ、新太には約束を守れる男であってほしいんだ。」
「う、うん。そうだよな・・・・すまん。」
バツが悪そうに新太は謝った。
「だから、そのエビチリはあたしからのお仕置きっていうか警告。約束守らないなら、もう辛い料理しか作らないからね。はい、こっちは辛くないから。」
そう言ってあたしは自分の皿を新太に差し出した。
今回は片方だけ豆板醤をたっぷり入れ、ボウルに移しておいたソースを半分合わせた激辛バージョンと、残りのソースで作った辛みのほとんど入ってないものをわざわざ作ったのだ。
「お、おう。玲子、ごめんな。家事もこれからはちゃんとやるから激辛料理三昧だけはマジで勘弁。」
「うん、わかればよろしい。」
あたしはわざとらしく偉そうに言った。
「うん、旨い。これぐらいの辛さが俺にはちょうどいい。それと、来月か再来月はまとまった休み取れそうだから、また旅行の計画立てような。」
もぐもぐしながらそう話す新太に「あたしの休みが合えばねー。」と、さっきと変わらないテンションで答えながら、こういう素直なところはさすがあたしが惚れた男だなと改めて思った。
<ふとしたときに気づく2人のズレや、小さな不満。
そんなマンネリ解消の秘訣は、ちょっとしたスパイス!?>