出会い。
第一印象は、「不思議」で、「どんくさい」だった。
「吉川、この問題答えてみろ。」 「・・・はい。」
もう3回目。
生徒をえこひいきすることで有名な定年間近のハゲた数学教師がまた指してきた。脂ぎった顔で
こっちを見ている。「答えは・・・」俺が回答を述べると、その教師は「流石だな。やはり生徒はこうあるべきだ」とえらそーに言った。そりゃそうだ。俺は俗に言う「模範生徒」、「優等生」なのだから。
(今日も面白くねぇ。)
退屈しながら、書類を届けるために職員室に向かっていた。廊下には友達と話す生徒でとてもガヤガヤとうるさい。(馬鹿か。そんな事してる暇あったら勉強でもしてろ。)
そのウジ湧いたアタマ直せるよーにな。
その時、ドンッ、と誰かの肩がぶつかった。そして「誰か」はプリントやノートをぶちまけて転んだ。
そんなに強かったか?内心驚きながらも、お決まりの優等生ツラではにかむ。「スミマセン、大丈夫ですか?」下を見てみると「痛てて・・・」とコイツはデコをさすっている。(なんだよ、静谷かよ・・・)この、天パか知らないがくりくりとうねった茶髪。黒縁のメガネ。小動物系の可愛い顔。(女子談)そして俺より15cmくらい小さいであろう小柄な身体。もう30こえた社会科教師の名前は、静谷直友と言った。俺は、内心舌打ちしながらも「大丈夫ですか!?」と床に落ちているおびただしい量の書類を拾おうとすると、なぜか静谷は涙目で「俺こそっ、、不注意で、、」とぼそぼそつぶやきながら必死に書類を拾っていた。男が涙目なんて、気持ち悪いだけのはずなのに、なぜかムショウに悲しく、何とも言えない気持ちになってしまった。そんな気持ちを振り切るように、俺は書類をさっさと拾い、それを押し付けて自分の用を済ませに早歩きで職員室にむかった。
そういえば、あの時もそうだった。
俺は、約2週間前にこの学校に転入してきた。全部、親の都合だった。そう、なんでも、、、
「吉川奏です。よろしくお願いします。」軽くあいさつを済ませて席につくと周りからなにやら声が聞こえてくる。「ねぇ、吉川君てさあ、むちゃくちゃカッコよくない?やっぱ他と空気が違うってゆーか?」 「わかる~あのつやつやな髪がインテリイケメンって感じ。」 「超フェミニストっぽいよね~」 ここでも言うことは同じか。同じような言葉、何回も聞いたわ。お前ら、俺の「この」性格知っても同じこと言えんのかよ。言ってみせろよ。
1時限目が終わり、俺が廊下の窓でため息をついていると、急に肩を叩かれ振り向いてみると、そこには小柄な姿があった。「ねえきみ。転入生の吉川君だよね?俺、社会科担当の静谷です。よろしくね!」と人懐っこい笑顔で話しかけてきた。きっとコイツも、薄っぺらな世辞並べんだろうな。(俺の成績と家柄に取り付きやがって!!)「社長さんの息子なんだってね!」ほらきた。しかし、俺は予想できていなかった。「・・・ねぇ、あそこにある花の色は何色だい?」「・・は?」そんなの、高校生に聞く言葉じゃねえだろ。こればかりは、声にでてしまった。「・・・馬鹿にしているんですか?」そう言うと、静谷は「そうだよね!ごめんね!じゃあ!!」と急いで行ってしまった。変な先生。と思ったと同時に、去る直前にみせた今日みたいな涙目の、ひどく傷ついたアイツの顔がいつまでも、頭から離れなかった。、、、、、、、、、、、
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