愚者の反抗
「残念ですが質問は許されていません」
彼はまた、憐れむように私を見て答えました。慈悲深い表情と言ってもいいと思います。ただ、この場合私にも納得できない理由があります。
猛然と怒りが湧いてきました。
罵声を浴びせながら、持っていた例の猫を彼に投げつけ、もちろんぶつける気持ちは毛頭ありませんが、そして猛烈な勢いで外へ出よう、とは考えたのですが、私の慎みがそれを許しませんでした。
結局、私はその猫のおもちゃを隣の椅子に置いて、立ち上がりました。消えるようにこの部屋を出ようとしたのです。当然その権利が私にはあるはずでした。私は憤然として、つかつかと出口に向かいました。彼には一瞥も投げかけませんでした。
非常ベルのようなものが鳴っています。展開としては彼が隠しもっていたそのボタンを押したのでしょう。私がそこから出ようとしていたドアが開いて、大仰な槍を持った白いマントの人が現れました。西洋の騎士の出立です。あるいは何とか仮面なのかもしれませんが、私にはその知識がありません。そしてその人は出口の前にすっくと立ちました。そしてまさに門番のように立ちふさがったのです。
「どいてもらおうか」
私は少し芝居がかった調子で言いました。なぜその言葉を発したかはわかりませんでした。その門番は何も答えず、かつ微動だにせずその胸の前に掲げた槍は鈍く光っていました。
ただ胸には膨らみがあるようにも感じられました。
天井から声が聞こえてきました。
「きみはいすれ外に出るのだから、私の話を聞いてからでも遅くはないでしょう」
あの魅惑的な声で、現状が説明されました。振り返ると壇上には誰もいません。彼は退避したのでしょう。
「席について作業を進めましょう」
私にはいくつもの疑問がありましたし、その作業を進めることに抵抗もありましたが、またこのような強権的態度に反発を覚えながらも、逆らうことのできないような気にもさせられていたので、渋々と席に戻りました。
ただせめてもの反抗に、猫型の装置はそのままにしておきました。そして少し、くだけた座り方をしてみました。私は快く思っていないんだ、という表現のつもりでした。




