楽園への招待
その画面(見ていたモニター)から、強制執行の官吏が出てくるような妄想が起こらなかったわけではありませんが、もともと私は現実的にものごとを考えるタイプですので、何が起きたのだろうか、ということが先に立って、頭を整理していたのですが全然考えがまとまりません。急に尿意を催してトイレに行き、帰りに顔を洗ってきました。
少し冷静になって戻ってきたと思います。そしてパソコンの前に座りなおしました。
「あなたは楽園に招待されました」ということは、どういうことで、それは取り消しができないだろうか、というのが当面の問題です。私はそのク*楽園、失礼、そのいかがわしい楽園になんか招待されたくはないのです。
それで、恐る恐るですがパソコンを立ち上げることにしました。このままにしておいて、いいことはない、と経験が語っています。私はひとかどの人間として、社会で有能であることに自負を持っています。借金をしたら返すのは当たり前です。ただお金がないと、それもままならないというのも事実です。おっ、少し脱線しました。
電源を入れた後、ひどく長く感じましたが、いつものようにシステムが稼働して、暗証番号を入れるとトップが表示されました。何も変わりはありません。あの出来事はなかったことになったのかもしれません。少なくともスタートに潜り込むようなプログラムはないということです。ネットの回線も通じているので、ホームを呼びます。
ネット新聞の画面になりましたが、彼女の画像は探してもありませんでした。
いくぶんホッとしたものの、そんなわけはないだろう、というような奇妙に錯綜した思いに取りつかれています。私は再度言いますが、現実主義者なので幽霊なんか信じませんし、また同じ理由で、有るものが消えてしまうことなんか、にわかには信じられないのです。「楽園にご招待」とあれほど、はっきり表示されていればコンピュータは記憶していますし、そのプログラムを組んだ人間はどこかでそれをチェックしている可能性があります。ただ私は少し疲れてしまって、それ以上そのことを追及する意欲がなくなってしまいました。それでやはり眠ることにしたんです。
何もなかったように、すぐに眠りは来ました。南太平洋かはわかりませんが、深海で明かりがゆらゆら揺れている夢を見ていました。




