賢者の助手
「何か質問があるのでしょ」
と彼女は微妙な感じで微笑み、尋ねました。
「私は何をするのですか?」
少し考えましたが、単刀直入に聞きました。
「それはもう説明されていたでしょ」と彼女は答え、私が怪訝な顔をすると、少し上の方を見てから話し始めた。
「やはり通じていなかったのね、契約の前にも私は暗示していたのよ」
私は契約書をそれほど信頼していませんでした。わざと分かりにくい言葉で説明されていることはそれを結ばせようとしている者の都合だけです。「離婚」を前提に「結婚」をするのは、現実的ではあるけれど、真実からは遠いものです。私は説明を求めていたのにそれを拒否したのは彼らです。これは違法な利息みたいなものでした。
「妨害されていたのね。私は何度もあなたとコンタクトを取ったのよ。でもあの地獄の賢*に邪魔されていたのね」
彼女は「地獄の賢*」というのを何度も言い直していましたけれど、最後までどうしても言うことができませんでした。ひどいトラウマがあって、その言葉を言うことになにか支障があるようでしたが、そこで切ってしまうと任侠の通り名のような「地獄の賢」は「地獄の賢者」なのだろうと私は推察しました。
「楽園にご招待プロジェクトはもともと政府によって進められた計画なの。国民には公表されてはいないのだけど、海底プラントの開発計画があったの。S教授が最初に考えて、結局はその危険性を考えて反対に回ったのだけど、相棒でもあった地獄の賢*がその研究内容を盗んで地下に潜ったの。そしてそこからいろいろ工作して、プラント事業を立ち上げていったの。利権に群がってくる連中は排除できなかったのね。産業界、学界、政界を巻き込んで、あっという間に計画は進んで、教授は蚊帳の外で、開発は大規模になっていたというわけだったの。さっき面接したのが教授よ。私は彼のスタッフなの」
私は黙って彼女の説明を聞いていましたが、ちょっとこんがらかってきました。でもそのまま彼女の話を邪魔しないで聞いていました。彼女の顔を眺めていたといっても間違えではありません。




