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「楽園」という部屋



(私がひどく絶望感に捕らわれたのは)これがあの計画の一端ではないかと感じたからです。味方だと思っていた彼女はやはり敵方だったのだ、というように裏切られた気がしたのでした。

また自分に引き寄せて考えれば、よく社会で経験するような、彼女の職業意識、あるいは営業そのものではないのかということです。私が真心を求めているのに、彼女は保険の外交員のように私の財力であったり、サービスの提供を求めているだけではないかと感じたのでした。なぜなら、すでにそこは「楽園」という名の部屋だったからです。私が純真なものを求めているのに、まあ、それほどではないのですが、泥交じりの現実をみせられる気にさせられていました。

ク*楽園、失礼、という部屋がすでにそこにあって、つまり何らかの意図のもとに設置されていて、私は導かれるままそこに辿り着いてしまった、という事実が私をやるせない気分にさせていました。

「楽園にご招待」計画の楽園が、この部屋であるのでしょうか。

それでも、私は入って待つことにしました。

もう選択の余地はないように感じていたからです。まな板の上の鯉という言葉がありますが、周到な計画であれば、どんなことでも完遂してしまい自分の手に余るというような諦めも、私の中に生まれていたのでした。打たれても立ち向かっていくような不屈の闘志を、私が持ち合わせていないことは知っていました。どちらかと言えば、私は流されてぬくぬくと生きていきたいのです。だから、あえて言いますが、あまり上等ではないソファにゆったりと腰かけ、何が起きるのか確かめる気になっていたのでした。


しばらくすると注文をとりに小さなエプロンをしたスタッフが現れましたが、まがうことなく正真正銘のあの「楽園」マークの彼女でした。ちょっと目配せをすると退出しましたが、すぐ飲み物を持って戻ってきて、私の隣に腰を下ろしたのでした。それは以前とは打って変わってひどく親しげで、くつろいでいるように見えました。

私の目をじっと見ましたが、その目は興奮しているのかうるんで見えました。

「これで大丈夫よ」と彼女は言いました。

何が大丈夫なのか私には理解ができなかったのですが、とにかく彼女がここに現れリラックスしているとしたらうれしいことです。

「来てくれてありがとう」

偽らざる気持ちでした。私は虚勢を張っていて、本当はひどく心細く感じていたのかもしれません。ただ100パーセント彼女を信じているわけではありませんでした。


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