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炎の向こう
丘にいる人々の首と胴が、すべて離れた。
――ファスト以外の。
血の匂いが、風に混じって広がる。
赤い霧のように、ゆっくりと。
炎の熱が、肌を焼くように迫るのに、彼の体は、震えながらも熱くならなかった。
「はぁ……はぁ……黙れ……! 皆、黙れ……!」
目は血走り、拳は怒りで白く、
掌に食い込んだ爪から、血が滴り落ちる。
「それを言って、どうなる!? 何も変わらないだろう!?」
ファストは、首と胴の離れた者たちに向かって叫ぶ。
その声が届いた瞬間、それらが燃え始めた。
丘全体が、故郷と同じ炎に呑まれる。
「僕は聞かないぞ……そんな言葉は、絶対に聞かないぞ……何も変わらない言葉は、僕は聞かないぞ……!」
燃える丘の上で、少年は叫ぶ。
声は炎に溶け、煙に混じり、空へ昇る。
「僕は……僕は幸せになってやる……!」
ファストは歩き始める。
どこかへ。
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