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燃ゆる丘の黙秘
丘の頂から、街が燃えていた。
黒い煙が空を覆い、赤い火の粉が夜に散る。
炎は家々を貪り、屋根を崩し、記憶ごと灰に変えていく。
人々は丘に立ち尽くしていた。
彼らの街だった場所を、ただ見下ろすことしかできない。
盗賊団の襲撃。魔物ではなく、人間によって。
人間の手で、すべてが奪われ、焼き尽くされた。
誰かは呆然と口を開けたまま、
誰かは肩を震わせて泣いていた。
だが、怒りの声は上がらない。
誰も拳を握りしめ、誰も叫ばない。
ただ、燃え続ける故郷を眺めている。
絶望が、静かに彼らを包み込んでいた。
ファストもまた、その中にいた。
十三歳の少年は、風に煽られる髪をそのままに、
炎の色を瞳に映しながら、動かなかった。




