表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昭和レトロ自販機来客簿〜悩めるお客様のあたたかい夜食〜  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/18

番外編短編・廃自販機

 田舎の県道沿いを歩いていた。これから、パワースポットで有名な神社に行くためだったが、辺鄙な場所にあり、すでに心も骨も折れそう。


「ハァ……」


 津田永真は、歩きながらため息が出てきた。最近、仕事も恋愛もうまくいかない。副業で十年以上、イラストレーターの仕事もしていたが、AIに淘汰されると言われていた。本業は事務職。こちらもAIに代替されると言われていた。将来のことを考えると余計に気が重く、パワースポットでも行き、運でもあげようと考えていたが。


「へえ。これ、昔の自動販売機?」


 そんな時だった。自動販売機が廃棄されているのに気づいた。田舎の道に何台が連なり、妙な趣きがある。


 錆びつき、ぼろぼろだったが、デザインはいい。色使いもカラフル。色褪せてはいたが、オレンジ、イエロー、ピンク色と、令和には決してない発想の自由さが滲んでいた。


「へぇ……」


 トーストサンドが食べらる自動販売機も廃棄されていたが、珍しい。


 思わず、スマホでこんな自動販売機を写真におさめていた。何かヒントが得られそう。AIに絶対淘汰されないような何かが、ここにある気がする。


 気づくと夢中だった。歩くのも全く苦にならないほどだ。当初の目的もすっかり忘れてしまう。


「お姉さん、昭和レトロな自動販売機に興味があるんか?」


 そんなことをしていたからだろう。地元民に声をかけられてしまった。おそらく農民と思われるおじさんだったが。


「もうちょっと歩くといい。オートパーラー・オリーブっていう自動販売機専用の食堂がある」

「え、なんですか、それ。自動販売機専用の食堂って……?」


 想像がつかないが、おじさんはニヤリと笑う。


「とにかく行ってみたらいい。お姉さんの探しているものが見つかるかもしれんよ」

「そうですか?」


 なんだかわからないが、気になる。


「まあ、とりあえず行ってみます」

「おお、気をつけて」


 おじさんに笑顔で見送られ、さらに歩き始める。


 当初の予定とは全く変わってしまったが、まあ、いいか。


 旅の楽しみは、予定通りにいかないことだ。誰かの名言であった気がする。


「は?」


 そして目的地についたが、本当にその場所は予想外だった。


「なるほど……。自動販売機で食事が提供される食堂ね……。そんなのアリ?」


 それでも、悪い気はしない。予定通りに行かない旅行でも、なんだか楽しくなってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ