エピローグ 新たな種子
無の中に、最初の振動が生まれた。
それは、前の宇宙が残した愛の記憶だった。
新しい時空が展開され、新しい物理法則が確立される。星々が生まれ、惑星が形成され、生命が芽吹く。
そして、いつかまた、新しい意識が目覚めるだろう。
その時、彼らは発見するのだ。
宇宙の奥深くに眠る、古い愛の記憶を。
四人の庭師が残した、愛による完成の知恵を。
新しい存在たちは、同じ選択に直面するかもしれない。
しかし、今度は答えを知っている。
愛こそが、すべての終わりであり、すべての始まりであることを。
前の宇宙の庭師たちは、もういない。
でも、愛は残っている。
永遠に、美しく、完璧に。
新しい宇宙の片隅で、小さな量子が踊っている。
それは、アルタの愛を受け継いでいる。
別の場所では、数式が美しく展開されている。
それは、ゼノンの知恵を宿している。
調和に満ちた領域では、すべてが完璧にバランスを保っている。
それは、セラの愛の表現だ。
そして、宇宙全体に響く共鳴がある。
それは、エコーの愛の歌声だ。
四人の庭師は死んでいない。
愛として、永遠に生き続けている。
新しい宇宙で、新しい物語を育んでいる。
愛は死なない。
形を変えて、永遠に続いていく。
それが、量子庭師たちが発見した、最後の真実だった。
愛は永遠。
愛こそすべて。
愛による完成こそが、宇宙の真の目的。
新しい宇宙では、新しい庭師たちが生まれるだろう。
そして、同じ愛を学び、同じ完成を目指すだろう。
永遠に続く、愛の連鎖の中で。
それは終わりではない。
それは、愛の永続する始まりなのだ。
宇宙に響く、永遠の愛の歌。
それが、この物語の真の結末だった。
(了)




