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幕間11話:マスターの世界

評価していただきありがとうございます。毎日いいねを下さる方もありがとうございます。大変励みになったので幕間を1話投稿します。

 俺たち3人の混乱と石化が治ったのは丸1日経ってからだった・・・インコを倒してレベルアップしたが状態異常は治らなかった。


「俺は一体何をしていたんだ・・・」

「わたしは何か夢でも見ていたような・・・」


 二人も混乱から元に戻ったようで、何が起こったのか確かめるように辺りを見回している。


 グキュルルルルッ・・・


「お腹空きました・・・」


 トゥリパーノとステッラは混乱が治り空腹で済んでいるが、俺は下半身石化だったのでオルテンシアに飯を食べさせてもらっていた。つまり・・・


「やべえやべえ!足の石化がまだ治らねえ!」

「あと少しの辛抱ですよマスター」

「辛抱できねえよ!」


 片足が石化したままだが、片足ケンケンでボス部屋の隅まで行き、ズボンのチャックを開ける。


 ジョロロロロロ・・・


「危なかった~ふぅ~スッキリ!」

「きゃあ!そんなとこでしないでくださいよ!!」


 ステッラが顔を手で隠して文句を言うが、指の隙間が広くないか?

 オルテンシアは無言で俺が小便をしたところの反対側の壁際まで鞄を持っていき、食事の準備を始めた。


「俺が覚えているのは巨大インコを見たとこまでだ・・・」

「わたしも同じです・・・」

「お前ら耐性なさすぎだろ・・・」

「石化していたマスターが、なんでそんなに偉そうなんですか?・・・」


 俺は混乱は耐えただろっ!石化はしょうがねえ!


「この先に進むには耐性が必要ですね。鑑定で取得可能かどうかは分かりますが、選べるわけではないのであとは運です」


 スキルを獲得する条件がわからねえな。スキルポイントは余ってるのに取得できない・・・ここまではレベルが上がった時にランダムで取得している。これが一般的な取得方法なんだろうか?


「なあ、トゥリパーノ、ステッラ、スキルはレベルアップ時にランダムで取得するしかないのか?」


 二人は一瞬何を言っているのか分からない顔をした。二人で顔を見合わせトゥリパーノが口を開く。


「”スキル”とは恩恵のことだったな。”スキル”は神から与えられる不思議な力で、すべては神次第だ。教会の人間は、魔物を屠り()()()()()()()を助ける者に神が与えてくれると言っているが、戦争で人間を殺しても得ることができるらしいから眉唾だな」


 この世界の浄化?何を浄化するのか・・・俺のいた世界よりよっぽど空気も水も綺麗だけどな。

 魔物だけでなく人を殺してもスキルが得られると言うことは、人も汚染されているということなのか?


「浄化と言うのは?」

「浄化ってのは・・・まぁあれだ」

「浄化とはこの世界の”土”のことだと考えられています。”土”に染み込んでいる毒素が「迷宮」に吸い込まれ、それが凝縮して魔物になるそうです。噂ですが、その魔物を倒すことによって浄化が完了するとか?」


 言い淀むトゥリパーノの言葉を引き継ぎステッラが教えてくれる。

 毒素・・・ね?放射能汚染でもされているのか?ステッラの話を信じるとすると、「迷宮」は誰かが作った物なのか?汚染の浄化装置・・・テラフォーミングマシン・・・まさかね。

 ステッラが説明を続ける。


「帝国にある「迷宮」の近くでは、他の地域より作物がおいしいそうです。特に二つの迷宮に挟まれた帝国の王都では平均寿命が伸びているとか?土が浄化された効果なのではないかと言われています。実際帝国の前女王はすでに80歳近いですが未だ元気にお姉・・・現女王を支えていますし」


 ふぅむ・・・浄化をするとスキルが得られる・・・あまりピンとこないな。他に原因がありそうだけど、俺のいた世界ならナノマシンの効果で説明もつきそうだが・・・


「オルテンシアはどう思う?」


 手際よく食事を作るオルテンシアに話を振る。料理をする手を止めることなく軽く上を見上げて情報を整理しているようだ。


「スキルの取得条件ですか?情報が足りなさすぎるので予想でしかありませんが・・・結局はナノマ・・・鑑定結果に脳力と言うものが存在していますので、脳のシナプスの連結がこの世界のシステムと共鳴して、レベルアップ時の能力向上の一部として精神が具現化して得られるのではないかと・・・」


 これは分かる・・・オルテンシアが俺に説明するのがめんどくさい時に言う言い回しだ・・・


「・・・俺に分かる言葉で頼む・・・」

「つまり・・・こんなスキルが欲しいと願っていれば、レベルアップ時に取得できるのでは?」


 それってつまり・・・


「結局は運頼み・・・ですか・・・」

「そうなりますね。お待たせしました。合成魚のムニエルです」


 ステッラに答えながらムニエルのお皿を渡す。

 食べ飽きた人工魚か・・・ん?ステッラの様子が。


「ステッラ食べないのか?」

「お腹は空いてるんですけど・・・なぜかお魚を見ると共食いする感じが・・・」


 ああ、確か夢の中でお魚になっていたね・・・魚は普通に共食いするけどな・・・


「しかし、すごいお宝だな・・・」


 トゥリパーノはムニエルを口に頬張り正面の宝の山を見ている。ほとんどが金貨だがいくつかアイテムも見え隠れしている。

 金貨ね~俺の世界ではすべて電子化されていて現物の”お金”を見たことがない。お金が利用できたのも俺が産まれる前のことだし・・・世界が崩壊して何もかも意味がなくなった。


 世界が崩壊するのにそんなに時間はかからなかったらしい。俺が産まれる30年以上前に男のY遺伝子の寿命が尽きたのだ・・・遺伝子は分裂するたびに少しづつ劣化していく。

 人類の先祖のDNAを解析したところ、Y遺伝子には約1400個の遺伝情報があったらしい。それが30年前の人類ではたったの45個にまで減少。そしてついに男を形作るSRYという遺伝子が消滅し子供が産まれなくなった。

 様々な遺伝研究がされ対応を模索していたが成果はでず、人類は滅亡の道を歩き始めた。自暴自棄になった人類は戦争を始め、人類だけでなく動植物も巻き込んで滅亡していった。そんな時遺伝研究の第一人者であった俺の親父が、自らの遺伝子とナノマシンの融合に成功し人工の「男」遺伝子を作り出した。


 そして母の卵子のミトコンドリアにも細工をし、試験管の中で産まれたのが俺だ。


 母は人類存続の研究で忙しく、俺の面倒を見させるためにアンドロイドを製作した。それがオルテンシアだ。

 その後も体外受精を何度も試みたが失敗を繰り返し、1年後やっと成功したのが妹だ。妹も試験管の中で産まれたが、食料を求める暴徒に研究所が襲撃され研究所は燃え落ちた。

 助かったのは母の研究所にいた俺と母、そして焼け死んだ親父が身体を丸めて守った、耐火ボックスの中の妹の受精卵だけだった。


 親父と様々な研究成果が灰となり人類の希望は潰えた。


 周りには同年代の男もいたが、全員産まれた時の検査でSRY遺伝子が無く子供が作れないことが分かっている。


 世界に”男”は俺一人になった。


 そして15歳になった時オルテンシアから世界の真実を告げられ、俺は異世界に逃げ出した。世界を救おうとする妹を残して・・・

 妹も連れてこようとしたが、頑なに世界を救うの一点張りだった。母の作っていたテラフォーミングマシンを完成させ世界を救うと・・・完成まで1000年かかる・・・1000年後まで今の人類が生き残れるわけないだろうが!

 最後は大喧嘩したな。そこだけは少し後悔している。


 話が逸れたな・・・


 過ぎたことを後悔してもしょうがない。気分を切り替えて飯を食ったらお宝発掘だ。何かいいアイテムがあればいいのだが。





 昼食後、マスターたちが小一時間発掘して出てきたアイテムは6つです。


「オルテンシア鑑定を頼む」

「はいはい、【鑑定(バリュータジオーネ)1】」


 床に座り込んで一つづつ鑑定していきます。


「魔道ランプ、遠見の眼鏡、幸運の羽帽子、炎の杖、水流の剣、魅惑のペンダントですね。詳細は・・・」

「お!?剣があるじゃねえか!も~らいっと」


 マスターが横取りした剣は【水流】のスキルが付与された剣で、魔力を消費して【水流1】スキルが使えます。意外に脳力値が高いマスターですから相性のいい剣ですね。他に剣を使う人もいませんし、木刀は卒業ですかね?


 魔道ランプは魔石を燃料に使える魔法のランプで、燃料が続く限り雨でも、例え水中でも明かりが消えることはありません。


 遠見の眼鏡は双眼鏡ですね。凸レンズではなく魔法陣を組み込んだガラスで出来ています。


 幸運の羽帽子は命中率、急所攻撃確率が上がる付与ですね。弓職のトゥリパーノに良さそうです。


 炎の杖は20回限定の【火炎1】スキルが使える杖ですね。たいした威力ではないですが、ステッラ向きですね。


 魅惑のペンダントは・・・チラッとステッラを見ます。ステッラは?っと頭を傾げます。アンドロイドの私には効果はありませんし、必要でもありません。しかしステッラは喉から手が出るほど欲しがるでしょうね。


「ステッラ」

「なんですかオルテンシア様?」

「・・・・・・」

「!!」


 こっそりとステッラに効果を教えてペンダントを渡しました。

 ステッラは震える手で受け取ると、滂沱の涙を流して、


「我が家の家宝にしますぅ~!!」


 そう言ってペンダントを胸に抱きしめました。



 その後の話になりますが、ステッラとトゥリパーノが結婚し娘が産まれました。娘のプラトリーナが15歳になった時、成人の儀でそのペンダントをプレゼントしました。プラトリーナもそれを必要とする体型だったらしく肌身離さずつけていたそうです。プラトリーナの死後は再びステッラが預かり、孫のジプソフィーラの為に大切に持っていたとか。

 そしてステッラが亡くなると、ステッラの形見としてトゥリパーノが受け取り、ソフィー様が壊して未発現のスキルの初被検体になるのでした。



【*****】(通称:マスター)

 古代人:男

 管理者特性:スキルポイント10

 年齢:15

 レベル:40↑up(SP20+10)↑up

 状態:良好

 身長:152cm

 体重:48kg

 力 :B(16%)

 体力:C(02%)↑up

 俊敏:C(18%)

 器用:E(08%)

 英知:F(46%)

 脳力:C(03%)

 魔力:E(94%)

 スキル:君主2(7)

     物理耐性2(3)

     加速攻撃1(2)

     衝撃波1(2)

     剣士1

     戦士1

     斬撃1

     力1

     体力1

     俊敏1

     脳力1

     魔法耐性1

     混乱耐性1

     農耕1

     漁業1

     測量1

     道化師1

     管理者権限【F1】0

     (計27)


 装備:水流の剣(水流1)、木刀、チェインメイル


【オルテンシア】

 セルラ・オートマタ:女性型

 種族特性:自己修復【停止中】

 製造経過年数:14

 レベル:1(SP165)

 状態:恋慕

 身長:164cm

 体重:53kg

 B:89cm

 W:56cm

 H:78cm

 力 :B(76%)

 体力:C(43%)

 俊敏:D(05%)

 器用:SS(97%)

 英知:SSS(00%)

 脳力:SS(49%)

 魔力:SSS(00%)

 スキル:鑑定10(55)(要:魔力S)

     索敵10(55)(要:英知S)

     光線10(55)(要:脳力S、魔力S)

     解析10(0)

     (計165)


 装備:右腕レーザー砲、左腕ガトリングガン(弾数455)、眼部レーザートーチ、指部ニードルガン(弾数20)、左右肘部ダマスカスソード、左右拳メリケンサック内臓、左右踵部ダマスカスナイフ、超剛性繊維メイド服、サバイバル用次元収納鞄、魔道ランプ、遠見の眼鏡


【トゥリパーノ・ナターレ】

 人族:男

 年齢:16

 レベル:30↑up(SP15)↑up

 状態:良好

 身長:165cm

 体重:56kg

 力 :D(29%)

 体力:D(33%)

 俊敏:E(84%)

 器用:C(98%)

 英知:E(12%)

 脳力:E(07%)

 魔力:F(22%)

 スキル:弓術2(3)

     乱れ撃ち1

     俊敏1

     器用1

     命中1

     幸運1

     石化耐性1

     農耕1

     工作1

     大工1

     (計12)


 装備:コンポジットボウ、ボウガン、矢(120本)、ボルト(20本)、ダガー、幸運の羽帽子(命中率、急所攻撃確率小上昇)、革の鎧


【ステッラ・デル・ヴィユノーク】

 人族:女

 管理者特性:スキルポイント10

 年齢:15

 レベル:27↑up(SP13+10)

 状態:良好

 身長:144cm

 体重:43kg

 B:76(+7)cm

 W:54cm

 H:71cm

 力 :F(79%)

 体力:E(41%)

 俊敏:F(01%)

 器用:F(06%)

 英知:E(65%)

 脳力:D(82%)

 魔力:D(40%)

 スキル:暴風2(3)

     精霊干渉2(3)

     土砂1

     脳力1

     魔力1

     忍耐1

     魔力操作1

     石化耐性1

     魅了耐性1

     好奇心1

     王族1

     農耕1

     牧畜1

     道徳1

     信仰心1

     劣等感1

     管理者権限【F50】0

     (計20)


 装備:炎の杖(20回)、樫の木の杖、魅惑のペンダント(体型変更小)、革の胸当て

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