41話:ブッコロリ
文章力が未熟な為、1~30部分くらいまで情景描写や感情表現など随時修正する予定です。
ここまで読んでくださった方にはご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承ください。
2話:オルテンシア、15話:アレクとルカ君の奮闘を一部加筆修正いたしました。
「毒の効果が【停滞中】になっています。応急措置の効果でしょう。でも治す手段がないので迷宮から急いで出ましょう!」
ルカ君のお腹の傷は回復のおかげで塞がっています。塞いでしまったせいで毒抜きができない状態でもありますが。
「ニンフェア、プルーニャ、アレクを背負って歩けますか?」
「厳しいですけど「浮遊」で少しは軽くできます」
「重いニャ!」
アレクのガタイの良さがここでは仇になってしまいますね。わたしがルカ君を背負って行くしかありません。
「うっ・・・くそっ・・・」
男が目を覚ましました。確かガロファーノ・ガッロでしたか。
「アレクの言っていた凄腕の仲間ってのはあんたら・・・か・・・いいタイミングで来やがったな・・・」
「ガロファーノ・ガッロですね」
「!?どうして俺の本名を・・・」
本名と言うことはアレクたちには偽名を名乗っていたのですね。
「あなたとアレクたちの間に何があったか知りませんが、アレクたちを害した時点で許すことはできません」
「・・・」
アレクとルカ君を背負って脱出する以上、この男を連行してはいられません。悪いですが・・・
「悪いですが見捨てます」
わたしは淡々と告げました。
「はぁ・・・まあいいぜ。あんたらがあと少し早く戻ってきてたら仲良くこの「迷宮」を出られたんだけどな。これでもアレクとルカちゃんとは仲良くやってたんだぜ。あんたらを迎えに下に降りるって言うまではな」
「・・・」
アレクとルカ君をちらりと見ました。心配かけてしまいましたね。後で謝らないと。
「見捨てるってことは殺しはしないんだろ?自力でなんとかしろってことだな?」
なんでしょう・・・少しカチンときますね。もう助かった気でいます。ここで・・・
「ここで殺しとくかニャ?」
「あとあとめんどうになりそうな奴だね」
ビクッ!
・・・わたしは何を考えていたのでしょう・・・お二人に心を見透かされた気分です。頭にきたから殺すなんて・・・ゆっくりと深呼吸をします。落ち着け~落ち着け・・・
「人外かよ・・・」
殺意が湧いてきました。せっかく鎮めたのに・・・ニンフェアとプルーニャが前に出ようとしましたが手で制します。ニンフェアとプルーニャを人外扱いするなんて、せめて蹴飛ばしてやろうかしら・・・アレクとルカ君のレベルがかなり上がっていました。少なくとも一緒に戦ってくれていたのでしょう。
「アレクたちがお世話になったようですし、見逃すのはこれっきりです。ニンフェアとプルーニャに無礼なことを言ったのも含めて・・・次に会ったら殺しますよ。冒険者殺しさん」
ガロファーノがビクッとしました。わたしは余っていたお肉を2つ放り投げ、アレクとルカ君の背嚢と装備を取り返しました。
「行きましょう」
「「は、はい」ニャ・・・」
気のせいか二人もビクッとしています。わたしなんかヨワヨワですのに。
ナターレ領は北以外を海に囲まれた半島の中の半島です。南から北に流れる海流のせいで海からナターレに行くことはできません。陸の孤島なのです。
海から吹き付ける風は季節によって様々な変化をもたらします。今の季節は湿気を多量に含んだ風と海流によって多量の雨を降らせます。水の恵みでナターレ領は豊ですが、極一部の地域では川の氾濫で毎年冠水します。
それが「迷宮」周辺の迷宮の町です。
元々湿地帯で小麦の生産に向いていなかったこともあり、ナターレ領ができてから約50年、未開発地域でした。3年ほど前の洪水で流された領民の一人が、迷宮側の高台に流れ着き生還しました。そこで古い遺跡の入り口を見たという話から探索が行われ「迷宮」を発見したのです。
この大陸にある「迷宮」は、北のヴィユノーク帝国に2つ、東のネルケ諸島連合国の島に1つあるだけで、我がフリージア王国で発見された1つを合わせて全部で4つです。
2年前に最初の偵察調査が行われ、魔物の強さや危険度、産出する魔石やアイテムの数などから領地で独占し兵士に探索させるより、多くの冒険者に探索させた方が効率が良いという結論になりました。
その後は他の3つの「迷宮」冒険者や我が領民、国民らが押し寄せたちまち大きな町になりました。どうやら他の3つの迷宮より魔物が強く、最下層30階まで攻略された迷宮があるにもかかわらずナターレ領の迷宮はまだ地下9階層までしか攻略されていません。この先が楽しみな「迷宮」です。
ところが、その「迷宮」を財務大臣、リカルド・ネル・リッチ侯爵が詭弁を弄し強奪したのです。
明日には侯爵の手の者120名が迷宮に乗り込むとのこと。脱出しようとしているはずのお嬢様方が見つかるのも時間の問題です。なんとか「迷宮」の中に影を送り込んで、お嬢様と連絡を取らなければなりませんね。
「旦那様、手筈は整いました。堤を切って「迷宮」周辺を水没させます」
「大丈夫なのかい?ソフィーたちは」
「ニンフェアたちがついていますし、入り口周辺の兵を排除しなければ救出もできません。今夜決行しなければ明日には120名の兵が「迷宮」に入ってしまうでしょう」
「ふむ・・・「迷宮」周辺を水没させ見張りの兵が退避している間に影を送り込み脱出させる、か」
旦那様の心配は分かりますがニンフェアたちが把握しているのは地下5階まで、お嬢様を連れてそれ以上深く潜ることはないでしょう。迷宮の町で調達予定だったのも食料10日分。必ず入り口付近で機会をうかがっているはずです。
「「迷宮」は高台にあるらしいけどそこまで水没するのかな?」
「いえ、高台があるのは側までで「迷宮」自体は一番低い場所にあります。入り口も奥に開く両開きなので水圧を考慮せず開けられます」
「それでは「迷宮」に水が入ってしまうが流されでもしたら・・・」
「そこは影を信頼していただくしかありませんが、ニンフェアたちなら問題ないでしょう」
元商人組合の凄腕会計室長だった旦那様は、領地の経営手腕は見事な物ですが荒事には消極的です。少し脅しておきますか。
「今が最後の機会なのです。これを逃せばお嬢様は侯爵に捕らえられ、生殺与奪権を奪われます。良くて侯爵の息子と結婚させられ傀儡に、悪ければ二度と会えない場所に行かれるでしょう。ご決断を」
「・・・分かったよ。多少危険だが「迷宮」で1週間生き延びたのであればそれなりに”レベル”も上がっているはず・・・まかせるよ」
「かしこまりました」
お嬢様、もう少しの辛抱です。ニンフェア、プルーニャ、お嬢様に傷一つ、汗一つ流させるんじゃありませんよ。
「はぁはぁ、アレクってこんなに重かったんだね・・・」
「もうだめニャ、少し休憩しようニャ」
「はぁはぁ、そうですね・・・少し休みましょうか」
女の子とは言え年上のルカ君を背負って歩くのはキツイですね・・・もう汗濁です・・・
アレクとルカ君は眠り続けています。時々鑑定してみますが症状は【停滞中】のまま。すでに数時間経っていますが、わたしの付与魔術より効果時間が長いようです。
「念のため後で回復をかけておいてください」
「はふぅ、わかったニャ」
現在は3階に上がり2階を目指して歩いています。ガロファーノは縛ったまま置いてきましたが、あの余裕からすれば自力で縄を抜けられるのでしょうね。追ってくる気配はありませんが。
「んに?」
プルーニャが反応しました。魔物でしょうか?
「ん~・・・かにゃり弱いにゃ・・・怪我してるのかニャ?」
「どうかしたのですか?」
「たぶん魔物だろうけど、かにゃり弱って死にそうにゃ気配だニャ」
他の冒険者にやられたのでしょうか?
「どちらです?」
「その先の通路右だニャ」
「見てきます」
「ソフィー様!」
ニンフェアが制止します。ん~3階ならわたしでもなんとかなりそうなんですけど、これでもレベル44なんですよ・・・
「この気配にゃら問題にゃいと思うけどニャ。影縫いを使うまでもにゃく動けそうににゃいニャ」
「すぐ戻ります」
わたしは弓を構えて小走りに進みます。腰には必中のナイフもありますし。
通路の先で一度止まり右を見ます。少し先にうずくまっている魔物が見えました。血が流れていて本当に虫の息みたいです。
近くまで寄ってみるとブロッコリーのような見た目の木の魔物でした。大きさは植木鉢に植えたらちょうど良いサイズで30cmほどでしょうか?植物なのに血は赤いのですね・・・
魔物は少し顔を上げてわたしを見ましたが、どうでもいいという感じでまた寝そべりました。
ふと思いついたので試してみることにしました。
「あなたを助けてあげます。受け入れてくださいね」
魔物は小さくキュゥ~っと鳴きました。了解と受け取りましたよ。
「【魅了1】」
淡いピンク色の光がわたしの手の平から放たれブロッコリーみたいな魔物を包みます。スーッと光が吸い込まれ声が聞こえた気がしました。
「お、帰ってきたニャ。おかえりソフィー・・・」
「ソフィー様!それは魔物です!」
「ただいま、大丈夫よ「魅了」したから。プルーニャ回復お願いできるかしら?」
わたしが抱っこしている植物型の魔物を見せて鑑定結果を教えます。
【個体名なし】
3階層用ブッコロリ:性別なし
年齢:1
レベル:10
状態:隷属(魅了)、瀕死
力 :F
体力:F
俊敏:E
器用:F
英知:E
魔力:D
スキル:成長
二人ともポカンとした顔をしています。




