36話:夢のアイテムと潜伏期間
狂ったように押し寄せていたカタツムリの群れは、蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
「これで最後かニャ?」
ニンフェアに張り付いていたカタツムリの最後の一匹がプルーニャによって光の粒にされました。
「はぁはぁ・・・なんなんだあのカタツムリは・・・」
カタツムリに群がられたニンフェアは粘液でベトベトで・・・あまり近寄りたくはないですわね・・・
魔力に引かれて群がっていたカタツムリは、ニンフェアの魔力が少なくなるにつれて沸かなくなり、やがてすべていなくなりました。あんな魔物もいるのですね。
「プルーニャお水だしてよ」
「あいニャ~よいしょっと」
【揚水の杖B】を床に突き刺し水を流す。ローブを脱いだニンフェアがもみ洗いしているけど・・・
「と、とれない!?」
ネバネバベトベトは強力でローブは使い物にならなくなりました。
「もう、いいのではないですか?姿を隠さなくても?プルーニャのローブもトカゲの時にボロボロになっていますし・・・」
「そーだニャ・・・穴だらけニャ・・・」
わたしたちはレベルが上がりどんどん強くなってきますが、上に上がるほど魔物が弱くなってくるので、攻略速度が異常なほど速くなってきています。まだお昼前ですが20階への階段が見えてきました。
そのまま階段を上ろうとした時、先頭のプルーニャが止まりました。
「どうしました?」
「にゃんか・・・扉があるニャ・・・」
今まで階段の上に道を塞ぐように扉があったことはありません。イヤな予感がします。
「これは・・・噂に聞くボス部屋かも・・・」
「ボス部屋?」
「ええ、地下9階まで降りたことのある冒険者が10階に降りようとした時、階段に扉があったそうです。そして扉の先には1匹の巨大な蛇がいたとか」
「あ~わたしもそれ聞いたニャ。命からがら逃げ延びたって」
10階にボス、そして20階に扉、間違いなさそうですね。この先にはボスがいます。
「先ほどレベルが上がりましたし、ここで情報操作しておきましょう」
「わかりました」
「どれだけ強くにゃったか気ににゃるニャ~ソフィー、”鑑定”もしてニャ」
「はぁい。【鑑定1】」
以下、20階層目前の鑑定結果です。
【ジプソフィーラ・ディ・ナターレ】
人族:女
年齢:12
レベル:38(SP19)↑up
状態:潜伏期間
身長:145cm
体重:秘匿情報!
B:秘匿情報!
W:秘匿情報!
H:秘匿情報!
力 :F
体力:E↑up
俊敏:F
器用:F
英知:B
脳力:D
魔力:C↑up
スキル:時間遡行2(3)「体力E使用」
魅了1(1)
鑑定1(1)
付与魔術:加速1(2)
付与魔術:吸収1(2)
付与魔術:力1(2)
付与魔術:体力1(2)
付与魔術:情報操作1(2)
(計15)
習得可能スキル:付与魔術:俊敏1(2)、付与魔術:器用1(2)、付与魔術:英知1(2)、付与魔術:脳力1(2)、付与魔術:魔力1(2)
装備:風の杖(17回)、必中のナイフ(強力)、革の鎧(防御力微増)、体力の指輪(体力微増)、身代わりのアミュレット(即死回避1回)、魅惑のペンダント(魅了2回)
【ニンフェア】(ニンフェア・プラトリーナ)孤児院名プラトリーナ
妖精族:女
種族特性:浮遊
年齢:19
レベル:42(SP21)↑up
状態:良好
身長:140cm
体重:37kg
B:77cm
W:55cm
H:74cm
力 :D↑up
体力:D↑up
俊敏:B
器用:D↑up
英知:C
脳力:B
魔力:A
スキル:爆発3(6)
雷撃2(3)
短距離転移1(1)
毒耐性1(1)
麻痺耐性1(1)
睡眠耐性1(1)
隠密1(1)
縮地1(1)
料理1(1)
応急措置1(1)
(計17)
取得可能スキル:斬撃1、貫通1、斧術1、体術1、剛腕1、忍耐1、拳闘1、俊敏1、魔法耐性1、魅了耐性1、石化耐性1、農耕1、行政1、踊り子1、娼婦1、調合1、音楽1、操船1、火炎1、暴風1、魅了1、飛翔1、身体強化1(必要スキルポイント2)(NEW)、幻想1(2)(NEW)
装備:インセクトスレイヤー(昆虫系ダメージ増加)、ショートレイピア、ダガーx2、ナイフx2、革の鎧
【プルーニャ】
猫人族:女
年齢:21
レベル:43(SP21)↑up
状態:良好
身長:138cm
体重:36kg
B:72cm
W:56cm
H:70cm
力 :C
体力:A↑up
俊敏:A
器用:E↑up
英知:E
脳力:F
魔力:E
スキル:俊敏3(6)
回復2(3)
幸運2(3)
斬撃1(1)
体術1(1)
物理耐性1(1)
魔法耐性1(1)
毒耐性1(1)
(計17)
取得可能スキル:忍耐1、弓術1、槍術1、拳闘1、棒術1、蹴術1、指弾1、毒耐性1、麻痺耐性1、睡眠耐性1、魅了耐性1、混乱耐性1、隠密1、農耕1、工作1、商人1、踊り子1、娼婦1、鉱夫1、薬草1、鍛冶1、身体強化1(必要スキルポイント2)(NEW)、狂戦士化1(2)(NEW)
装備:揚水の杖B(水吸引)、切り裂きの剣(斬撃2)、ダガーx2、ナイフx4、革のジャケット、風の胸当て(俊敏微増)、火炎瓶x2、支配の王笏、宝石の剣、ジェラルミンの盾(防御力小増)、貫きの短槍(貫通1回)、力の指輪(剛力5回)、脳力の指輪(脳力微増)、体力の指輪(体力微増)、豪運の腕輪(能力ランク上昇)、隷属の首輪(奴隷支配)、俊足の足輪(俊敏微増)、水精霊の加護(水の精霊召喚微ダメージ)、光のイヤリング(光爆発1回)、魅力のイヤリング(体型変更微)、忘却の髪飾り(記憶消去)
うわぁ・・・レベル爆上げですね~・・・ニンフェアの名前・・・プラトリーナって、わたしのお母様の設立した孤児院出身だったのですね。ん!?
「ちょ!?ソフィー様!なんで自分だけ秘匿情報にしてるんだよ!?ボクのも隠してよ!」
「・・・ニンフェアに負けたニャ・・・」
「プルーニャ出しなさい・・・」
わたしは鑑定結果を凝視しながらつぶやきます。
「ん?何をニャ?」
プルーニャにつかみかかりながら絶叫しました!はしたない?知ったことかぁっ!
「魅力のイヤリング(体型変更微)よ!」
プルーニャが背嚢からイヤリングを取り出すとひったくって再鑑定します!
「【鑑定1】!!」
『魅力のイヤリング(体型変更微:装備中身体の部位の変更が可能。目の色の変更、髪の色、長さの変更、身長や体重の変更、胸、腕、足など各部所一か所変更が可能となる。)』
「なっ!?」
「ニャ!?」
「「にゃんですとぉっ!!」」
これって夢のアイテムです!絶対ほしいですっ!そうです、わたしは貴族の娘!絶対手に入れます!!
「こ、これはわたくしが預かっておきますね」
「ソフィーズルいニャ!わたしにゃんて一番年上にゃのにニンフェアに・・・」
「そ、そんなこと気にすることじゃ・・・」
「「ニンフェアは黙ってな(にゃ)さい!!」」
「は・・・・はい・・・」
どうやらプルーニャとの一騎打ちですね。負けませんわ!
「プルーニャ、わたしの護衛ですよね?ここは主人に譲るべきでは?」
「へっへ~んだ。ソフィーは仲間ににゃったんだから対等ニャ!」
「うぐっ・・・しかしこの3人で一番さ、さみしいのがわたしです・・・ここはわたしに・・・」
我ながら言ってて悲しくなりましたが、背に腹は代えられません!
「ソフィエッタにはまだ早いニャ。それに、”レイド”のお宝からどれか一つくれるって言ったニャ!」
「ああああああああっ・・・・・」
確かに言いました・・・わたしのバカ・・・膝から崩れ落ち両手を床につきます・・・
せめて・・・せめて・・・
「わかりましたわ・・・プルーニャ、いえお姉さま、せめて・・・成人の儀の時には貸してください・・・」
「・・・乙女の情けニャ。その時は貸すニャ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
わたしはプルーニャに抱きついてお礼を言います。
「ソフィー様、そこまでなのかい・・・醜い争いだったな・・・」
ニンフェアが何か言っていますが無視です。持ってる人にはわからないのです・・・
レアアイテム。魅力のイヤリング(体型変更微)に気を取られ気づきませんでした。
わたしの状態が「潜伏期間」になっていることに・・・




