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118話:マスダの島

新連載を始めました。以前予告していたもので男主人公のハーレム物になります。

こちらの作品が完結するまでは週1くらいの頻度になるとは思いますが、一読していただければ幸いです。


【女の子の種】~チャイルドシード~

https://ncode.syosetu.com/n5789hz/

 マスダさんの暮らす島に来て一夜が明けました。

 住民たちは海岸付近の洞窟を住処としていて、上空からでは集落を見つけられませんでした。

 畑は所々斜面を削って作られていましたが、大きく削ることが出来ないため小さな畑が点在している状態です。

 わたしたちは山のふもと付近にあるマスダさんのお宅に泊まらせて頂く事になりました。


「この辺は斜面が特に急でな、俺以外上がってこられないんだ」


 初日は結局朝までマスダさんとお話しし、これまでのこと、過去のこと、マスダさんの秘密をすべてお話ししました。


「わたしはマスダさんの52代目の子孫にあたります」

「俺の子孫か・・・まさかアサガオが本当に俺の妹だったなんてな・・・どおりで初めて会った時「お兄様」と言うわけだ・・・」


 オルテンシア様は終始話を聞いているだけで、1000年前からマスダさんと一緒に転移してきたこと以外話そうとしません。


「マスダさんもわたしたちと一緒にナターレにいらっしゃいませんか?失礼ですがこの島では先が長くありません・・・」

「確かにな。俺が死んだら食料調達の目途が立たなくなる。後でみんなに会わせよう。俺の子供たちや孫たち、あとはついて行きたい者は連れて行ってやってくれるか?」


 この話し方ではマスダさんはここに残るのですね・・・


「もう朝だ。少し仮眠を取ろう。この家は好きに使ってくれ。俺は洞窟の息子の所で寝てくるよ」

「マスター、わたしもご一緒してよろしいですか?」


 マスダさんは美しいオルテンシア様にまだ少し照れがあるようで逡巡されています。


「ん・・・まあ、いいけどな。息子たちにどう説明するかな・・・」


 マスダさんがオルテンシア様を抱え、ヒルガオも一緒について行きます。アサガオ様の元眷属ですがマスダさんになついたのでしょうか?わたしに隷属しているはずなのに自由ですね・・・

 そしてわたしたちは久しぶりにベットで眠るのでした。興奮するニンフェアを奥に追いやり、真ん中にプルーニャを寝かせわたしは逆の端で眠りにつきました。


 お昼が過ぎた頃マスダさんの念話で目を覚ましました。わたしはニンフェアに抱えられ、プルーニャはわずかな足場を器用に飛び跳ね下に降りていきます。


「ここだここ!」


 下に向かうとほんの少しだけ開けた場所に島民とマスダさん、それにオルテンシア様とヒルガオがいます。


「すげえ、ツバキ様以外に空を飛べる人がいるなんて・・・しかもかわいい」

「あんな急な斜面を手も使わずに降りて来たぞあの人・・・しかもかわいい」


 島民のみなさんがざわざわしています。

 語尾に一々「かわいい」がついています。血縁者以外の女性を見ることがないでしょうしね・・・


「みんなに紹介しよう。さっきも紹介したオルテンシア様とヒルガオ、それにニンフェアさんとプルーニャさん、そして俺の子孫のソフィーだ」

「みなさん、ソフィーと申します。しばらく御厄介になりますのでよろしくお願いしますね」


 おおおお!っと男性陣のどよめきが響き渡り、わずかにきゃあきゃあという女性陣の声も聞こえました。

 オルテンシア様とヒルガオ、そしてニンフェアの周囲には男性陣が群がり、わたしとプルーニャの元には女性陣が群がります・・・


「やっぱり胸にゃのかニャ・・・」

「うっ・・・」


 その後一(しき)りお話をしてそれぞれのお仕事に向かいます。


「わたしたちもお手伝いいたします」

「そうか?それなら、魚の漁と畑の世話を頼めるか?」


 漁はニンフェアが、畑の方はプルーニャが手伝いに行きます。


「マスダさんはどうされるのですか?」

「俺は迷宮で少し肉を集めるつもりだ」

「わたしもご一緒します。マスター」


 マスダさんにオルテンシア様がついて行きます。ヒルガオが人差し指を唇に当てて「いーなぁ」って顔をしています。


「わたしもご一緒していいですか?」

「え?ソフィーもか?結構危険だぜ?・・・」


 オルテンシア様がいれば浅い階層なら問題はありません。


「これでも少しは役に立つんですよ」

「わかったよ、俺の後ろに隠れてなよ」

「はい」


 マスダさんがオルテンシア様を抱え、わたしはヒルガオが運んでくれます。リロッコは久しぶりに植木鉢の上に座り日向ぼっこをするようです。





「結構高いね」

「ニンフェアさん足を滑らせないようにって・・・そう言えば飛べるんでしたね」


 海に出るための道は断崖絶壁を削って作った階段のみだった。

 海岸付近は波の浸食でほぼ垂直な崖となっており、50mほどの礫による海岸になっていた。


「この辺に魔物はでないのかい?」


 浜辺と言うとつい最近タートルドラゴンと戦ったことを思い出す。ここにも魔物がいるのかな?


「魔物なんて迷宮以外にいないですよ。まあ危ない生き物はいますけどね」


 話を聞くと大きな岩の隙間などに巨大な鋏のカニや、空気呼吸のできるウツボのような生き物もいるとか?


「ふ~ん・・・あの辺かな?【雷撃(フルミネ)2】」


 バリバリバリ!


 雷撃を放ちながら手を横に振り、広範囲に稲妻を迸らせる。


「「「なっ!?」」」


 あちらこちらの岩の影から感電したカニやウツボが転がり出て倒れた。


「あれって食べられるのかい?」





「みゅ~これが畑かニャ?」


 細(にゃが)い畑が森と森の間の僅かな隙間にずっと続いてるニャ。日当たりも良くにゃいし芋くらいしか育たにゃいニャ。


「ええ、主に甘芋を育てています」


 島民の人が必死に芋の蔓を引っ張って芋を掘り起こしているニャ。


「くそ!土が堅くて芋が掘り出せねえ!」

「わたしにまかせる、ニャ!」


 芋の蔓を思いっきり引っ張ると地響きを立てて芋の蔓が地上に現れ、芋が跳ねるように空中に吹き飛んだニャ。


「次行くニャ」


 呆然と立ちすくむ島民の頭の上に、ポコポコと芋が降ってきたニャ。





「うらあ!」


 俺の水流の剣が女性型の岩の魔物を斬り捨てる。他の迷宮は知らないがこの迷宮では魔物はすべて女性の形をしている。木の魔物も、悪魔みたいな魔物も、半透明な魔物も。


「地下一階でも魔物は結構強いんだ。油断しないでくれ!」

「岩の魔物、ロッチアドンナ。レベル42です。普通の人間では太刀打ちできませんね」


 オルテンシア様が魔物の情報を教えてくれる。片手間に岩の魔物を斬り捨てながら。


「わかるのか?」

「鑑定を持っていますので。マスターならばソロで7階までは問題ないでしょう」


 俺のこともわかるのか?この人は俺より遥かに強いな・・・おそらくアサガオよりも。


「ちなみに俺のレベルはわかるのか?」

「マスターのレベルは113です。10階のボスよりも強いですが相性が悪いです。ソフィー様の付与をいただければ勝てると思いますが」


 10階のボス、ハーピークイーンか・・・あの時はダメージ覚悟で突っ込んで戦わずに通過しただけだったな。ボスを倒さないと先に進めない設定だったら詰んでいたかもしれない。


「付与?ソフィーは何か変わったスキルがあるのか?」

「お見せしましょうか?少しは戦いが楽になりますよ?【付与(コンチェーデレ)魔術(・ラ・マギア:)物理(コンバッティメ)攻撃(ントフィジカ)2】」



 地下3階にやってきた。なんだよこれ!?なんなんだこれぇえええ!?いつも苦戦していた炎を纏った戦乙女を一撃で倒せちまった!剣が軽い!力がみなぎる!

 炎の攻撃を見てからでも余裕で避けれてしまう。まるで足に羽が生えたようだ!

 6匹の戦乙女をあっさりと屠り、3階の奥の肉を落とす魔物のエリアにやってきた。


「すげえな付与魔術ってやつは・・・毎回一日がかりの狩りだってのに1時間で着いちまった・・・」

「すごいのはオルテンシア様ですよ。わたしはほんの少しお手伝いするだけです」


 確かにオルテンシア様はすごい。俺のレベルが113ならオルテンシア様は200はいってるのだろう。俺が10人いても勝てる気がしない。


 そして肉を落とす魔物が現れた。落とすのはウサギ肉だ。そしてこの迷宮は女性型のみ・・・


「バ、バニーガールですか!?」


 ソフィーが顔を真っ赤にして驚愕している。


「ああ、迷宮を抜ける間に会わなかったか?」

「鑑定で迷宮の構造は分かっていましたから、最短距離で走破しましたので・・・」


 妖艶な笑みを浮かべて近寄ってくるバニーガール。オルテンシア様によればコニッニョリッタだそうだが舌を噛みそうだったのでバニーガールと呼ぶ。

 もっと魔物っぽい姿をしていればいいのに、見た目は完全に人間だ。飾りのような耳が本物でなければ。

 剣で斬るのは躊躇われるのでいつも魔法で倒しているが、俺の魔法はあまり強くないのでいつも苦戦する。

 しかし今日はソフィーもいるから狙われないように手早く倒さないと・・・


 バシュシュシュシュ・・・


 オルテンシア様の剣が5体のバニーガールの首を一撃で斬り落とした・・・


 光の粒になってバニーガールが消えた後、地面には3つの肉が転がっていた。


 容赦ないな・・・

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